犯人の正体
準備を済ませた5人は、洞穴を出発し、ゴーストブルーの更に奥へ歩いていた。
ロ「…犯人が近いということで、今のうちにルクに確認しておきたいことがあります。」
ル「えっ?俺に…?」
ロードにそう声を掛けられ、何のことかと、ルクは彼を見つめる。
ロ「これから僕たちが戦うであろう犯人は、君と関わりの深い人物の可能性が高いのですが…。その人物と真正面から戦うことが出来るか、君の意思を聞いておきたいんです。」
ル「…俺と関わりの深い人物…?」
ロードの言葉を聞き、ルクは考える仕草をしている。
マ「…もしかして…あの人が犯人なの…!?」
マオはピンと来たようで、声を上げた。
ロ「…先程、ルクの『以前の俺に考えが似ている』という言葉を聞いて確信しました。君と一緒に行動を共にしていた彼女ですから、君と考えが似ているのも当然ですね。」
ル「…っ!?まさか…犯人は、ベリッサ…!?」
ロ「…はい。彼女だと思います。」
ハッとして声を上げたルクに、ロードは静かに頷く。
デ「⋯あの人の仕業だったのか…!!」
犯人がベリッサだという事実に、ディムアも衝撃を受けていた。
フ「えっ!?ベリッサって、確かルクと以前仲間だった人…!?」
マ「うん…。ルクと一緒に、ディムアを捕まえようとしてた魔法使いだよ。」
恐る恐るそう口にするフレイシーに、マオは頷き、ベリッサについて簡単に説明した。
ル「…え、でも、本当に犯人はベリッサなのか⋯?考えが俺と似てるってだけじゃ、決定的じゃない気が⋯。」
そう呟いたルクは、かなり困惑した様子でいる。
ロ「…では、もう1つ、彼女が犯人だと確信した根拠を話しますね。」
ル「…あ、あぁ…。」
ロ「僕は滅多にメガネを落とすことはしないので、僕がメガネがないとほとんど見えないということを知る人物は、マオくらいしかいないと思っていました。…でも、今思い返せば、ルクとベリッサとの2回目の戦闘中に、僕は一瞬メガネを落とすという失態をしてしまっていました。」
デ「…っ!確かに…!」
ル「⋯あぁ!思い出した⋯!!」
ロードの話を聞き、過去のそのときの戦闘を思い出したディムアとルクが、同時に声を上げた。
マ「そうだね!確か、そのときは、俺がすぐにロードに落としたメガネを渡せたから事なきを得たけど…。」
ロ「そうです。それでも、メガネをかけずに放った1度のライトニングを外したので、僕は裸眼がかなり弱いと確信したのでしょうね…。」
マオの言葉の後に、ロードはそう続け、困ったような表情を浮かべた。
ル「…マジか…!その一瞬を見逃さなかったなんて…!!」
デ「…あんなふうに見えて、かなり鋭いな…。」
ルクは声を上げ、ディムアは静かに、2人とも驚いている。
マ「それで、ロードの戦闘を不利にする為にメガネを盗んだってわけだね…。」
ロ「そういうことのようです…。」
ロードとマオは言い合い、視線を落とした。
ル「…ベリッサめ…!とんでもないことをしやがって…!!」
ベリッサに対し、ルクは怒りを露にしているようだった。
ロ「…かつては君と共に戦っていた人ですよ。戦えそうですか?」
ル「あぁ、もちろん!仲間だったのはもう過去のことだし、何より今の仲間であるロードの大事なメガネを盗んだってことが、本当に許せない!ちゃんと反省してもらわないとな!」
ロードの問い掛けに、ルクはしっかりと頷き、そう返した。
ロ「その言葉を聞いて安心しました。」
ル「当たり前だろ?ベリッサとは、真っ向勝負するからな!」
2人は笑顔を見せ合った。
フ「私は、そのベリッサさんとは戦ったことないけど…。戦うときに気を付けることはある?」
マ「そっか、フレイシーは初めて戦うんだよね!ベリッサは、わりと強めな雷と風の魔法を使ってくるよ。雷の攻撃は、くらうと痺れて動けなくなっちゃうときもあるから気を付けて!」
遠慮がちに尋ねるフレイシーに、マオはベリッサについての説明をする。
ル「あと、おっとりそうに見せかけて、キツい暴言吐いたりすることがあって戸惑わせてくるから、注意した方がいいかも…。」
ロ「それはルクらしいアドバイスですね。」
ルクの言葉にロードは返し、2人は苦笑いを浮かべる。
フ「…強そうね…。頑張って戦わなきゃ…!」
ベリッサと戦うことに、フレイシーは怖がりながらも意気込んでいる。
マ「ベリッサの特性はまだわかるからいいとして…。問題は、さっきディムアを襲ってきた女だよね…。」
ロ「…はい。姿をくらませながら攻撃をするという戦法は、かなり厄介ですね。未知の敵なので、本当に用心して戦いましょう。」
マオが言うと、ロードは深刻な表情を浮かべ、仲間たちにそう声を掛ける。
デ「…そうだな…。みんな、気を付けて…。」
先程襲われたディムアは、あの怪しい女と戦うことに、とても不安を感じている様子だった。
ロ「…今のメガネがない僕は不利な状況ですが、ディムアのことは絶対護ります。」
デ「…っ!?」
ロードの真剣な言葉を聞き、ディムアは頬を赤らめる。
フ「私も!ロードとディムアがもし危険な状況になったら、助けに行くわ!」
ル「ベリッサやあの女に、これ以上好き勝手させてたまるか!」
マ「みんなでディムアを護ろうねっ!ロードのメガネも早く取り返そう!」
マオ、フレイシー、ルクも、2人をサポートしながら戦う準備は万全の様子だった。
デ「みんな…ありがとう…!!」
ディムアは仲間たちと笑顔を見合わせた。
ベリッサと謎の女と戦う為、5人は、ゴーストブルーフィールドを更に奥へと進んで行く。
周りには、深海魚のようなモンスターと、魚の骨だけのモンスターが、うろうろしていた。
フ「…何だか、また気味の悪いモンスターね…。」
モンスターに気付かれないように、フレイシーは静かに呟く。
マ「深海魚っぽいモンスターは〝デスシーサーペント〟、耐性は魔法、弱点は銃。魚の骨のモンスターは〝フィッシュボーン〟、耐性、弱点は不明…。」
ロ「耐性が魔法ですか…。なるべくなら戦いたくないですね。」
マオのモンスターの説明を聞き、ロードは呟く。
ル「あぁ…。体力は温存しておかないとな。」
マ「そうそう、この後の戦いに備えないとね…。」
ルクとマオは、静かに交わす。
このまま、モンスターに見つからずに通り抜けられることを願った。
しかし、運悪く、1体のデスシーサーペントに気付かれてしまった。
ル「見つかったか…!」
ルクは銃を構え、クイックショットを放つ。
2発の銃弾を直撃したデスシーサーペントは、消滅した。
その銃声に反応した周囲のモンスターたちが、一斉に5人に接近してきた。
マ「わっ!?一斉に来た!!」
一気に集まって来るモンスターを見て、マオは声を上げる。
ディムアはフレイムトルネード、フレイシーはガルベスタタイフーン、ルクはランダムショットを放ち、近付いて来るモンスターを消滅させた。
ル「また数が多いな…!走るか!」
フ「うんっ!」
そう言ったルクとフレイシーは、走り出す。
デ「…行こう!」
ロ「はい!」 ディムアはロードの手を引き、ルクとフレイシーの後ろを走る。
走りながら、襲い掛かって来そうなデスシーサーペントには、ルクが銃で攻撃し、フィッシュボーンには、ディムアとフレイシーが魔法で攻撃した。
数はあまり多くなく、モンスターたちをすぐに撒くことが出来た。
そして、モンスターから逃げた先に、5人を待ち構えるように立つ、1つの人影があった。




