消えたメガネ
その日の朝、ロードはいつも通りの時間に起きた。
洗面台へ向かう前に、昨夜メガネを置いた場所を手探りで探す。
しかし、メガネは見つからない。
ロ「…?」
その周りも探るが、見つからず、落ちているということでもなさそうだ。
ロ「…???」
布団へ行き、枕元に置いてある自分のバッグの中も、ガサゴソと探す。
デ「…ん?どうした?」
その物音で、ディムアが起きて声を掛ける。
ロ「あ、おはようございます。」
デ「おはよ…。」
声の方を向いたロードの視界に、ぼやけたディムアが映る。
ロ「ディムア、すみません、僕のメガネを探してもらってもいいですか?」
デ「メガネ?」
ロ「この辺りに置いたと思うのですが、見つからないんです…。」
ディムアはメガネを探す。
デ「ないな。」
ロ「そうですか…。」
常用のメガネが見つからないとわかると、今度は予備のメガネかコンタクトレンズを、バッグの中から探す。
ロ「…おかしいですね…。予備のメガネも、コンタクトレンズもないです…。」
デ「…だ、大丈夫か?」
ロ「いえ、大丈夫じゃないです。僕はメガネがないと、ほとんど何も見えないんですよ…。」
デ「えっ…!?」
いつも冷静なロードも、今回は冷静ではいられないようだった。
ル「おはよー…。って、どしたの?大掃除?」
仲間の中で最後に起きてきたルクは、部屋にいろいろな物が散乱している光景に、唖然とする。
マ「あ、ルク、探し物だよ!一緒に探して!」
ル「探し物?何かなくなったの?」
フ「ロードのメガネがないんだって!」
ル「えっ、メガネ??」
マオとフレイシーは、ルクにそう声を掛ける。
そのときは、メガネなんてなくたって死にはしないのでは…?笑 と、ルクは軽々しく考えていた。
しかし、事態はそれ程軽くはなさそうだった。
ロ「…みんな、ありがとうございます。もう探すの止めて大丈夫です。」
困惑した様子のロードが、仲間たちに呼び掛けた。
デ「でも、何も見えないんだろ…?」
ロ「見えないですね。でも、これだけみんなで探してもらったのに無いとなると、僕がどこかにうっかり忘れてきてしまったのかもしれません。」
マ「そんなことある?昨日だって寝る直前までかけてたんでしょ?予備のメガネもコンタクトレンズもないなんて…。」
ロ「信じ難いことですが…現になくなっているので…。」
「…。」
ロードの落ち込みようを見て、仲間たちの間に一瞬の沈黙が流れる。
デ「…そんなに落ち込むな。今からメガネを買いに行こう?」
ロードの顔を覗き込み、ディムアはそう声を掛ける。
ロ「…そうですね。ありがとうございます。」
ロードは小さく笑みを見せた。
フ「私たちもついて行く?」
ル「まぁ、付き合ってやるか。笑」
フレイシーとルクは顔を見合わせ、そう話した。
マ「じゃあ、早速行こー!」
マオは元気よく手を挙げた。
準備を済ませた5人は、メガロポリスの街に出た。
マ「ちょうどメガロポリスにいて良かったね!ここなら、メガネショップが近くにあるよ。」
ロ「はい、良かったです。」
マオの言葉に、ロードは頷く。
デ「人がいっぱいいるけど…大丈夫か?」
ロ「…人にぶつかってしまうかもしれません。」
デ「…じゃあ、これで…。」
ディムアは恥ずかしそうに、ロードの手を握る。
ロ「助かります。ありがとうございます。」
デ「…初めてここを訪れたとき、人混みが苦手な私にロードがこうしてくれたから、お返しだ。」
ロ「…そんなこともありましたね。」
2人は笑い合う。
マ「ぎゃー!ここに熱愛カップルがぁー!」
フ「ふふっ♪可愛いカップルね!」
ル「いいねぇ!笑」
そんな2人を、マオ、フレイシー、ルクは楽しそうに見ている。
デ「……。」
3人の言葉を聞き、ディムアは顔を真っ赤にしてうつむく。
ロ「照れてるディムアの可愛い顔を見たいのに、よく見えないのがもったいなさすぎます…。」
デ「も、もうっ…!さっさと行くぞ!」
ディムアは照れ隠しで声を上げ、にやけるロードの腕を無理やり引っ張って歩き出した。
一番近くのメガネショップに到着した。
しかし、店は休業中だった。
フ「えっ!お休み…!?」
デ「ええ…なんでこんなときに…。」
フレイシーとディムアは驚いて落胆する。
ロ「…なんか、すみません。」
マ「いやいや、なんでロードが謝るの!大丈夫だよ!近くの違う店舗に行こう!」
落ち込んでしまったロードを慰めるように、マオは明るくそう声を掛ける。
すぐに近くのメガネショップを訪れたが、そこも閉まっている。
ル「嘘だろ?2店舗続けて休業中なんて…。」
ルクは唖然としている。
マ「おかしいな…。みんな、ちょっと待ってて!」
マオはそう言うと、羽を羽ばたかせてどこかに飛んで行った。
ロ「こんなことに付き合わせてしまって、みんな本当にすみません…。」
フ「何言ってるの、ロード!全然こんなことじゃないわ。とっても大事なことじゃない!」
ル「そうだよ。それだけ見えないんじゃ、大変だもんな。」
デ「仲間なんだから、助けるのは当然のことだ。」
また謝るロードに、フレイシー、ルク、ディムアは優しい言葉を掛けた。
ロ「…ありがとうございます。」
仲間たちの優しさが心に染み、ロードは微笑んだ。
しばらくすると、マオが仲間たちの元へ帰ってきた。
マ「みんな、大変だ!メガロポリスのメガネショップは全店舗休業中だった!」
慌てふためきながら、マオは仲間たちに言う。
フ「そ、そんな…どうして…!」
フレイシーはショックを受けている。
マ「それで、今メガネショップの人がいたから、休業中の理由聞いてきたんだ。そしたら…。メガネショップ全店舗に、『営業したら店を爆発する』って手紙が届いてたらしいよ!?」
デ「っ!?ば、爆破予告!?」
想像もしていなかった事態に、ディムアは声を上げた。
マ「ガセ予告の可能性はあるけど、本当に爆発されたら怖いから、どこも営業出来ないんだって…。」
ロ「…それは、穏やかではないですね…。」
ロードとマオは、深刻そうにそう話す。
ル「しかもタイミング悪すぎるな…。こんなときに…。」
ルクは苦笑いをして呟く。
ロ「…メガネ使用者へ何か恨みがあるんでしょうか…。とにかく、僕は今日は出歩かず、大人しく部屋にいた方が良いようです。」
デ「…そうだな。戻ろう。」
5人は部屋に戻ることにした。




