島の長と話す
フェアリーアイランドの港では、ロードとディムアとマオが待機していた。
マ「ここにも何か見たことないアイテムが落ちてるかもしれないからね…。見ておかないと…。」
独り言を呟きながら、マオは地面をよく見ていた。
ロードとディムアは、海を眺めていた。
デ「…やっぱり、私は生きているのが歓迎されない種族なんだな…。」
ロ「そんなことないですよ。確かにメア族は、人やラファ族を襲うというイメージが付いてしまっているようですが、君は違いますから。」
落ち込むディムアの顔を覗き込み、ロードは彼女を励ます。
デ「…自分では、よくわからない。他のメア族と私、何が違うのか…。」
ロ「…僕も未だにディムア以外のメア族と出会ったことがないので、あまり説得力はないかもしれません。でも、全てのメア族が君のような穏やかな性格だったら、そんなイメージが付くことは絶対ないと思うんです。なので、君は特別なメア族なんだと思います。」
デ「…。」
小さく笑うロードを、ディムアは見つめる。
デ「…そういう風に思うようにしておく。」
ロ「はい。お願いします。」
そう言ったディムアは、ロードから視線を逸らす。
デ「…そうだ。ロードに…言っておきたいことがある。」
少し悲しそうな表情で、ディムアは言う。
ロ「何でしょう?」
そんな彼女の顔を、ロードは覗き込む。
デ「浄化魔法が習得出来ても、私には唱えないで欲しい。」
ロ「…はい?何故ですか?」
予想もしていなかったディムアの言葉に、ロードは少し困惑する。
デ「さっきフレイシーに憑依していた魂が言ってただろ。浄化魔法を唱えた者には、何かしらのリスクが掛かるって。…私の為に唱えてくれるのに、お前の身に何かあるのは…嫌なんだ…。」
ロ「…君は本当に優しいですね。僕のことは心配しなくていいんですよ。」
ロードが微笑み掛けるが、ディムアは首を横に振る。
デ「いや…ダメだ。そんなことになるなら、私はこのままでいい…。」
ロ「…まぁ、まだどんなリスクを負うのかわからないのが現状なので、具体的なことがわかってから今後のことを考えるのでも、遅くはないのではないでしょうか?」
デ「…あ、あぁ…うん…確かに…。」
ロードの意見に、ディムアは戸惑いながら頷く。
ロ「なので、とりあえずは魔法の書を入手しましょう。フレイシーとルク、上手く話が付けられると良いのですが…。」
デ「…そうだな…。」
そんな話をしながら、2人の帰りを待っていた。
ルクとフレイシーは、島の長を探して歩いていた。
ル「…長ってどんな人なんだろうな。ちゃんと俺たちの話を聞いてくれるといいけど…。」
歩きながら、ルクはふと不安を漏らす。
フ「大丈夫よ!一生懸命話せば、ちゃんとディムアを受け入れてくれるわ!」
ル「…うん、そうだな。頑張ろ。」
前向きなフレイシーを見て、ルクは小さく笑う。
フ「…あ、ルク。さっきはありがとう。」
ル「ん?何が?」
フ「私だけで行ってこいってあの男の人に言われたとき、とても不安な気持ちになったの。でも、すぐにルクが一緒に行くって言ってくれて、とても嬉しかったから…。」
恥ずかしそうに言い、フレイシーはルクに微笑み掛けた。
ル「あ、あぁ、そういうことか。だって、普通に考えて、女の子を一人だけで知らない場所に行かせるのって可哀想だろ?だから、俺もついて行かなきゃって思っただけだよ。」
フ「優しいのね!ありがとう!」
ル「そ、そんなことないよ…あはは…。」
フレイシーに感謝され、ルクは照れ笑いを浮かべた。
ル「…あ!ほら、人が見えてきた。あそこで少し話を聞いてみよう。」
フ「うん、行きましょ!」
2人は人がいる方へ歩を進めた。
家の庭の花壇に水をあげている女性に、ルクは声を掛ける。
ル「…あ、あのー、すいません。」
「はい?何でしょう?」
水やりの手を止め、女性はルクとフレイシーに視線を向けた。
ル「ええと、この島の長っていう人と話がしたいんですけど、その人のいる場所を教えてもらえませんか?」
「長…ですか?一体、どんなご用件で…?」
少し警戒した様子を見せ、女性はそう聞き返す。
ルクとフレイシーは、長と話さなければならない理由を、女性に話した。
「…そうなんですか。メア族がすぐ近くにいるというのは怖いですね。…この先にある湖に囲まれた家に、長の〝サニヤ〟さんは住んでいますよ。」
2人の話を聞き、あまり気が進まない様子だったが、女性はサニヤという名の長の居場所を彼らに伝えた。
フ「わかりました!ありがとうございました!」
ル「すいませんした!」
2人は女性に頭を下げ、その場を後にした。
ル「…あぁ、なんか不審がられてたっぽいなぁ。」
フ「そうね…。やっぱり、メア族っていうだけで怖がられちゃうのかな…。ディムアは、本当に優しい子なのに…。」
教えてもらった、サニヤの家に向かいながら、2人はそんな話をする。
ル「そうだよな。ディムアは普通のメア族とは違うってことを、頑張って伝えよう!」
フ「うん!一生懸命伝えれば、きっとわかってくれるわ…!」
ルクとフレイシーは、視線を合わせ、しっかり頷き合った。
しばらく進むと、湖が見えてきた。
その小さい湖の真ん中の小島に、ポツンと1軒の家が建っていた。
ル「あっ…!本当に湖の真ん中に家がある!」
フ「すごい所に建ってるのね…!」
その家を見て、2人は驚きの声を漏らす。
そして、湖の中にのびている橋を渡り、サニヤの家の前まで来た。
緊張の面持ちで、2人は家のドアをノックした。
?「…はい?どちら様ですか?」
家の中から、落ち着いた雰囲気の女性が出て来た。
ル「え、えと、突然すいません。俺…あ、いやっ、僕たちは、カバリア島から来ました、ルクとフレイシーといいます。サニヤさんのお宅でしょうか…?」
慣れない敬語を使いながら、ルクは女性にそう声を掛ける。
?「はい。サニヤならおりますが…。どういったご用件ですか?」
そう尋ねられ、2人が説明をしようとしたときだった。
?「〝トリシア〟、どうしたの?お客さんかい?」
家の奥から、優しそうな老婆が出て来た。
ト「え、ええ。こちらのルクさんとフレイシーさんが、お母さんにお話があるそうよ。」
トリシアは、母親であるサニヤに、ルクとフレイシーを会わせる。
フ「サニヤさん…ですか。は、はじめまして!フレイシーといいます!」
島の長であるというサニヤに、フレイシーは頭を下げた。
サ「…っ!!あなた、もしかして…セレティナの…!?」
驚いた様子のサニヤは、フレイシーにそう尋ねる。
フ「えっ…?セレティナは、私のおばあちゃんですけど…。」
きょとんとした表情を浮かべ、フレイシーは答える。
サ「やっぱり!!あなた、セレティナのお孫さんだね!?そのペンダント、セレティナがいつも身に着けていたものとそっくりだし、あなたもセレティナに似ているから、もしかしたらと思ったんだよー!!」
アルフィナからお守りとして預かった、フレイシーが着けているセレティナの形見のペンダントを見つめ、笑顔で言ったサニヤのその言葉に、ルクとフレイシーは、驚きで目を見開く。
ル「…フレイシーのおばあさんのこと、知ってるんですか?」
サ「知ってるも何も、昔一緒に旅をした大切な仲間だよ!」
ル・フ「っ!?」
その事実に、ルクとフレイシーは更に衝撃を受けた。
サ「セレティナのお孫さんに出会えるなんて、思ってもみなかったよ。いやぁ、フレイシーちゃんを見ていると、旅をしていた頃のことを思い出すねぇ。」
そう言ったサニヤは、フレイシーに優しい笑顔を向ける。
ル「こんな偶然ってあるんだな…。」
唖然としたルクがそう呟くと、フレイシーはハッとする。
フ「…もしかして、サニヤさんも、おばあちゃんと一緒に、メア族を救いたいと思って旅をしていましたか?」
サ「あぁ、よくわかったね!そうだよ、メア族を助ける為の旅も、セレティナとしていたことがあったよ!」
サニヤのその言葉に、フレイシーとルクは視線を合わせる。
フ「…サニヤさん、お願いがあるんです…!」
その後、フレイシーは、魔法の書を求めてこの島に来たこと、メア族のディムアも島に入る許可が欲しいことを、サニヤに説明した。
サ「…なんとまぁ…!メア族を救いたいという意思は、代々受け継がれているんだね…!」
フレイシーの話を聞き、驚くとともに、嬉しそうな表情をサニヤは浮かべた。
フ「はい!サニヤさん、ディムアは私たちの大切な仲間なんです!島に入れてもらえませんか…!?」
そう懇願したフレイシーは、真剣な眼差しをサニヤに向けた。
サ「ええ、ええ。大切な仲間のセレティナのお孫さんが、こんなに一生懸命にお願いしてくれているんだもの。ダメなんて言うわけないよ!」
フ「よかった…!ありがとうございます!」
ル「ありがとうございますっ!」
サニヤの快諾の言葉を聞き、フレイシーとルクは頭を下げ、安堵して笑顔を見せ合った。
ト「…お母さん、本当に大丈夫?あのメア族を通すなんて…。」
サ「トリシア、この子たちを信じなさい。この子たちが大丈夫だと言っているんだから。」
不安そうな様子で耳打ちをするトリシアに、サニヤは少し厳しくそう返す。
サ「…さて、じゃあ早速港に行こうかね。トリシアはお茶を準備して待っててくれるかい?」
ト「…わかったわ。お気を付けて。」
サニヤがそう伝えると、トリシアは渋々頷く。
サ「さ、フレイシーちゃんとルクくん。仲間たちを迎えに行こう!」
フ・ル「お願いします!」
サニヤの掛け声に、2人は同時に頷いた。 こうして、3人は港に向かった。




