魔術の書の入手
『みんな、おめでとう!これで、全ての試練をクリアしたよ!』
そのとき、そんな放送が流れてきた。
ル「全クリ!やったな!」
フ「じゃあ、これで魔法の書が…!?」
放送を聞き、ルクとフレイシーは笑顔を見せる。
マ「…本当に魔法の書があるんだろうね?」
疑いの目で、マオは上を見上げる。
『本当だよ!今倒したマッドレイが消えた場所にある紙切れを拾ってね!』
ロ「紙切れ…これですね。」
マッドレイが消滅した所に落ちていた紙切れを、ロードは拾った。
デ「数字が書いてあるな。」
その紙に書いてある数字を見て、ディムアは呟く。
『その紙を持って、校長室に行ってね!』
マ「校長室…!?」
想像もしていなかった場所の移動の指示があり、マオは声を上げた。
ロ「行ってみましょう。」
いつの間にか、5人は緊張の面持ちになり、顔を見合わせ、校長室に向かった。
今回も放送で道案内があり、迷うことなく校長室にたどり着くことが出来た。
校長室のドアを開け、5人は中に入った。
『机の引き出しに金庫があるよ!暗証番号は、今手に持っている数字だから入力してね!』
マ「机の引き出し…。あ、ここみたいだよ!」
フ「そうね!暗証番号を入れるボタンがあるわ!」
マオとフレイシーは、暗証番号を入力してロック解除するタイプの引き出しを見つけた。
ロ「…数字を入力しますね。」
ロードは言い、紙切れに書かれた番号を、ゆっくり入力していく。
仲間たちは、固唾を呑んで見守る。
エンターボタンを押すと、ロックが解除された。 そして、引き出しをゆっくり開けた。
中には、1冊の本が入っていた。
ル「…おぉっ!?本当に魔法の書!?」
その本を見て、興奮したように、ルクは声を上げる。
フ「こんな廃校に、魔法の書があったなんて…!」
マ「ルクの勘が当たるなんて…!」
デ「びっくりだな…。」
フレイシー、マオ、ディムアも、驚きで唖然としている。
ロ「…なるほど、これは〝魔術の書〟ですね。」
マ「え?うん、魔術の書…。ん?魔術…?」
本の表紙を見つめて呟いたロードの言葉に、マオは違和感を覚える。
ル「魔術の書?魔法の書とは違う物なの?」
ルクが首を傾げて尋ねると、ロードは本のページをめくり、ざっと目を通した。
ロ「はい。残念ながら、魔法の書とは異なるもののようです。内容も、浄化魔法の習得方法は載っていないんですよね。」
フ「そ、そんなぁ…!?」
本の中身を見ながらのロードの言葉に、フレイシーは落ち込む様子を見せる。
マ「…おーい!これ『魔術の書』じゃん!オレたちが欲しがってるのは『魔法の書』なんだけど!?」
少し怒ったように、マオは上を見上げて、そう声を上げる。
『えぇー!?名前がよく似てるから同じかと思ったよー!ごめんごめーん!』
ル「…いや!その言い方、最初から違うってわかってたっぽいよな!?」
楽しそうな女子生徒の放送に、ルクは苦笑いでつっこむ。
『そんなことないよー!魔術の書がみんなの目的のものじゃなかったのは残念だけど、みんなとの試練楽しませてもらったよー!ありがとー!さようならー!』
その言葉を最後に、放送は終了した。
ル「…せっかく苦労して試練クリアしたのにな。」
デ「また振り出しということか…。」
ルクとディムアは言い、肩を落とす。
ロ「…いえ。振り出しということでもなさそうですよ。」
魔術の書から目を離したロードは、仲間たちに小さく笑みを見せた。
マ「え?ど、どういうこと?」
ロードを凝視し、マオは尋ねる。
ロ「この魔術の書には、〝スピリット〟という魔術の習得方法が記載されています。」
デ「スピリット…?」
聞いたこともない魔術の名前を、ディムアは復唱する。
ロ「はい。スピリットとは、亡くなった人の魂を呼び寄せて生きている人に憑依させ、その魂と話が出来る魔術だそうです。」
ル「えっ…!?なんか怖くないか…?」
ルクは不安そうな表情を浮かべる。
ロ「使い方には気を付けるつもりですが…。このスピリットを使って、僕は何をしようとしているでしょうか?」
デ「え…突然のクイズか?えーと…。」
ロードの質問に、仲間たちはしばらく考える。
フ「…あっ!!私、わかったかも…!?」
ロ「はい、フレイシーどうぞ。」
何かを閃いた様子のフレイシーを、ロードは指す。
フ「私の亡くなってるおばあちゃんに、魔法の書がある場所を教えてもらう…とか…?」
ロ「さすがですね。正解です。」
ゆっくり回答したフレイシーに、ロードは笑顔を見せて頷いた。
マ「そうか!フレイシーのお母さんが話してたよね!おばあちゃんが魔法の書の場所を知ってるって…!」
ロ「そうですね。上手くいけば、この方法で魔法の書の在り処を知ることが出来るかもしれません。」
フ「でも、本当に亡くなった人の魂を呼び寄せるなんて魔術が習得出来るのかな…?」
不安そうな表情で、フレイシーは呟く。
ロ「今この魔術の書を読んだ限りでは、僕でも習得出来そうだと感じましたね。」
ル「そんなこと有り得ないと思っちゃうけど…。ロードなら覚えられるんだろうな…。笑」
自信あり気なロードを見て、ルクはそう呟いて苦笑いをする。
デ「上手くいくといいな…。」
ロ「きっと成功させます。この本を持ち帰って、習得してみましょう。」
マ「うん!とにかく頑張ってみよー!」
ディムアとマオ、仲間たちは、この方法が上手くいくように願った。
そして、5人は魔術の本を持って歓迎学園を後にした。
マ『今日は、ルクの発案で、廃校の歓迎学園を訪れた 。廃校のはずのそこには、怪しい女子生徒がいた。試験を受けて合格すれば、魔法の書の在処を教えてくれるというので、我々5人は試験を受けることに。学力テスト、料理テスト、画力テストは、ロードとオレの天才コンビにかかれば楽勝だった。ドッジボール対決は、相手チームの魔球に苦戦したが、5人で力を合わせてなんとか勝利した。最後は歓迎学園に潜むボス、マッド・レイとの戦いで、危ない薬品を投げ付けてくるという酷い攻撃だったが、ロードが返り討ちにしてくれた。マッド・レイにも無事に勝利し、入手したのは、魔法の書ではなく、魔術の書だった。本来の目的のものではなかったが、ロード曰く、魔術の書に載っている魔術を習得すれば、魔法の書の在処がわかるかもしれないらしい。スピリットという、降霊術のような少し危なそうな魔術だが、ロードならきっと上手く使いこなせるに違いない。魔法の書の入手に、グッと近付けた気がした。』
マ「今はロードは徹夜でスピリット習得中…。ファイト!ロード!」
魔術の書を真剣に熟読するロードを見つめながら、マオは研究所に文章を送信した。
6*歓迎学園で恐怖の試練―完―




