3限目:画力テスト
『次の試練の案内だよー!次は、美術室に向かってね!』
マ「おっ!次は美術室だって!どんな試練かなー♪」
放送を聞き、マオはわくわくした様子を見せる。
デ「楽しそうだな…。」
マ「うん、なんか楽しくなってきたよ!」
ディムアに尋ねられ、マオは笑顔で答える。
ル「美術室…。次の試練もダメそうな予感だ…。」
落ち込んだまま、ルクはそう呟く。
ロ「どんな試練かはまだわからないですよ。希望を持ちましょう。」
フ「そうよ、ルク。頑張りましょ!」
ル「あ、あぁ…そうだな…。」
またロードとフレイシーに元気付けられ、ルクは頷いた。
放送の道案内を聞き、5人は美術室に来た。
ドアを開けると、イーゼルとスケッチブックのセットが5つ、半円を描くように並べられていた。
フ「えっ…。も、もしかして…。」
その光景を見たフレイシーは、声を漏らした。 『3限目は画力テストだよー!』
ル「うわぁー(泣)」
放送を聞き、ルクは小さな悲鳴を上げる。
デ「絵を描くってことか…?」
ロ「そうですね。なかなか難しい試練が来てしまいましたね…。」
今回も自信のなさそうなディムアの言葉に、ロードも少し不安そうな様子で返す。
マ「えっ!?さすがのロードも、今回はヤバそう?」
ロ「…正直、自信はあまりないです。」
驚いた様子で尋ねるマオに、ロードは苦笑いを見せた。
マ「うぅ、オレまで不安になってきた…!みんな、頑張ろう!」
ロ「はい、頑張りますよ。」
マオの掛け声に、ロードはしっかり頷く。
デ「あぁ…頑張るしかないな…。」
ル「3連続不合格は避けたい…!」
フ「…が、頑張るわ…!」
ディムア、ルク、フレイシーも、不安そうな表情で頷いた。 5人がイーゼルの前にそれぞれ座ると、1人の少女が美術室に入ってきて、彼らの中央に立った。
マ「…えーと、〝デズ〟っていうモンスターだよ。耐性、弱点はまた不明。」
女子高生風の、髪の長い、リコーダーを持った少女を見て、マオはそう説明する。
ル「えっ、モンスター?モンスターを描くの?」 ロ「どうやら、そのようですね。」
ルクが声を漏らすと、ロードは頷いて答える。
デズ「可愛ク描イテネ♪」
デズは5人ににっこりと笑顔を見せた。
『この子を上手にスケッチしてね!私語厳禁だよ!制限時間は30分!それではスタート!』
その合図で、5人はデズのスケッチを開始した。
「…。」
リコーダーを吹いている構えで、ピタッと動きを止めているデズを、5人は黙々と集中して描いている。
ロ(モンスターをスケッチする機会があるなんて、思いもしませんでしたね。)
そう思いながら、ロードは筆を動かしている。
ディ(…意外と描けているかも…。)
実は絵を描くことは初めてのディムアだが、描き始めると楽しくなっている様子だった。
マ(絵を描くことも得意だよ!オレはAIだからね♪)
頭の中で記憶したデズを、マオはスケッチブックにまるで写真のようにリアルに描いていく。
ル(…うん…。学力と料理よりは良いかもしれないな!)
わずかに合格の手応えを感じたルクは、筆を握る手にも力が入っている。
フ(…ヤバいわ…。絵心がないのがバレバレ…!泣)
実は絵を描くことが大の苦手なフレイシーは、描きながら、心の中で泣いていた。
『終了ー!皆さん、筆を置いてね!』
そして、スケッチ開始から30分後、放送が鳴った。
筆を置いた5人は、小さく息をつき、力を抜いた。
『それでは、デズちゃん本人に、皆さんの絵が合格か不合格かジャッジをしてもらうよ!』
ル「おぉ…まさかの本人が審査か…。」
予想外の展開に、ルクはそう声を漏らす。
デズ「ミンナガ描イテクレタワタシノ絵、見セテネ♪」
そう言ったデズは、5人の描いた絵を順番に見始める。
デズ「ワー!可愛ク描イテクレテアリガトウ!♪」
ロードの作品を見たデズは、嬉しそうに笑顔を見せる。
ロ「…気に入ってもらえましたか?よかったです。」
安堵したように、ロードは小さく笑った。
ル「…不安そうにしてたくせに!やっぱり上手いんじゃないか!」
ロ「いえ、自信がなかったのは本当ですよ?」
そうやり取りするロードとルクは、お互い苦笑いを浮かべている。
デズ「キャー!写真ミタイネ!ステキー!」
マ「そうでしょう?笑」
自分の作品を見たデズの反応に、マオはニッと笑って答える。
ディ「…ロードとマオは、何をやっても完璧だな…。」
フ「そうね…。本当に2人ともすごいわ。」
画力の高い2人の絵を見て、ディムアとフレイシーは唖然としている。
デズ「アラ、アナタモコンナニ可愛ク描イテクレタノネ!嬉シイ♪」
ロードとマオに続き、なかなかの高評価だったのは、ディムアの描いた絵だった。
ディ「…よ、よかった…。」
ディムアはそう漏らし、小さく笑った。
フ「本当ね!ディムアの絵も可愛くて上手よ!」
ロ「そうですね。上手に描けています。」
マ「へぇー!意外な才能ってやつだね!」
ル「人は見かけによらないんだなぁ。」
ディ「…あ、ありがと…。」
仲間たちに褒められ、ディムアは頬を赤く染め、照れ笑いを浮かべた。
デズ「…私ッテ、コンナニポッチャリシテルゥ?」
ルクの描いた絵を見ながら、デズは首を傾げる。
ル「えっ!?あ、ちょっと顔と身体のバランスが悪くて、ぽっちゃりしてるような絵になっちゃったかな!?ごめん…!」
ルクは慌てて説明をする。
デズ「デモ、コンナ私モ可愛イカモー!アリガト♪」
ル「…ふぅ…。危ねー…。」
デズの笑顔を見て、ルクは安堵で息をついた。
ロ「ルクの絵も、個性があってなかなか良いですね。」
フ「うん!素敵な絵だと思うわ!」
ル「そ、そう?照れるな…。」
ロードとフレイシーに褒められ、ルクは照れたように笑みを見せた。
マ「誰しも1つは得意なことがあるってことだね!」
ル「…はいはい、そういうことっすかね。」
笑顔のマオの言葉に、ルクは適当っぽく返した。
そして、最後のフレイシーの絵を見た瞬間、デズと仲間たちは一瞬固まった。
デズ「…ウフフ!ナニコレェ?落書キ??」
フ「…ごめんなさい…。私、絵心がないの…。」
デズの言葉を聞き、フレイシーは恥ずかしそうにうつむいて呟く。
デズ「フゥン。ミンナミタイニ、ワタシヲ可愛ク描ケルヨウニ、練習シテヨネ!」
フ「は、はい…。」
デズに軽く叱られ、フレイシーは肩を落とした。
マ「フレイシーって、絵を描くのが苦手だったんだね。」
ル「なんか意外だな。」
フ「そうなの…。ごめんなさい…。 」
マオとルクに声を掛けられ、フレイシーは悲しそうに頭を下げる。
ロ「謝ることではないです。誰にだって得意不得意はありますよ。」
ディ「うん。フレイシーは、料理が上手なんだから、自信持っていいんだぞ。」
フ「…うん。ありがとう!」
ロードとディムアに励まされ、フレイシーに少し笑顔が戻った。
『それでは、結果発表!合格者は、ロードさん、マオさん、ディムアさん、ルクさん!不合格者は、フレイシーさん!』
ル「よしっ…!初めて合格した!」
3つ目の試練で初の合格に、ルクは静かに喜ぶ。
フ「…うぅ…。やっぱり…。」
わかっていた結果にも、フレイシーは落ち込んでしまった。
『不合格者が1名出てしまったので、罰ゲームの時間だよ!モンスターを倒してね!』
その放送の直後、美術室の中に、複数のモンスターが出現した。
マ「…えーと、こっちの美術部員っぽくて、ナイフを持った物騒なモンスターは〝美術部員ペイル〟、顔だけの石膏像は、そのまま名前も〝石膏像〟!耐性も弱点も不明だよ!」
ロ「学園内のモンスターは、耐性も弱点も不明なんですね…。」
マオのモンスターの説明を聞き、ロードは呟く。
フ「ナイフが危ないわね…!」
ディ「気を付けよう…。」
フレイシーとディムアは、怖々とそう交わした。
デズ「ミンナ、頑張ッテー♪」
そう言ったデズは、リコーダーを吹き、音楽を奏で出す。
ル「な、なんだ?応援歌?」
デズの奏でる音楽を、ルクは一瞬気にしたが、モンスターが一斉に襲い掛かってきて、それどころではなくなった。
ルクはランダムショットを放ち、複数のモンスターにダメージを与える。
その直後、同じモンスターに、ロードがガルベスタタイフーンの風で切り裂いてダメージを与えるが、それでも消滅しなかった。
「っ!?」
反撃で、ペイルはナイフをロードたちに振り下ろす。
ナイフの攻撃をギリギリ避け、ディムアはライトニング、フレイシーはウィンドエッジを放つと、ようやくモンスターの一部を消滅させることが出来た。
マ「な、なんかモンスターの防御力高くない!?」
ロ「そうですね…。攻撃の効きが悪い気がします。」
マオが声を上げると、目の前のモンスターたちにフレイムトルネードを放ちながら、ロードはそう答える。
ディ「…なんだか、この音を聞いていると、力が入らない気がするんだが…。」
フ「私も、そう感じるわ…!」
モンスターの攻撃を避け、体勢を整えながら、ディムアとフレイシーはそう話している。
マ「…もしかして、あのデズのリコーダーが、みんなの魔法攻撃力を下げてる!?」
2人の会話を聞き、マオはそう推測する。
ロ「…なるほど。それは厄介ですね。」
楽しそうにリコーダーを吹いているデズを見て、ロードは苦笑いをする。
ロ「…マオ、デズと楽しい話をして、リコーダーを吹かせないようにしてもらえますか?」
マ「えっ!?…わ、わかったよ!やってみる!」
ロードの指示に、マオは戸惑いながら頷き、デズの方に飛んで行った。
マ「ね、ねぇねぇ!デズちゃん!」
マオが声を掛けると、デズはリコーダーを吹くのを止める。
デズ「…ン?ナニヨ?今ミンナヘノ応援デ、リコーダー吹イテタノニ…。」
少し迷惑そうな表情で、デズはマオに視線を向ける。
ロ「…マオがデズと話している今のうちに、モンスターを倒しましょう!」
ディ「わかった!」
ル「了解!」
フ「マオ、ありがとう!」
ロードの声掛けに、ディムア、ルク、フレイシーは頷き、モンスターへの反撃を開始する。
マ「リコーダーもいいけどさ、オレはデズちゃんと話がしたいなー!」
デズ「ソウナノ?何話スノ?」
マ「えーと、最近夢を見たんだけどね…。」
マオは適当な話をして、デズがリコーダーを吹かないようにしていた。
その間に、ロードたちは順調にモンスターを倒していき、ようやく全てのモンスターを倒すことが出来た。
『お疲れ様ー!それでは、美術室から出てね!』
マ「…あぁ、もう行かなきゃ!もっと話していたかったなー!」
その放送を聞き、マオは話を切り上げ、デズにそう伝える。
デズ「マオトオシャベリ楽シカッタヨー!アリガトネ♪」
マ「あ、あはは…。じゃあまたね!」
デズ「マタネ♪」
笑顔で手を振るデズに、マオも苦笑いで手を振り返し、仲間たちとともに美術室を出た。
ロ「上手くいきましたね。マオ、ありがとうございました。」
美術室を退室し、廊下に出ると、ロードはマオにそう声を掛ける。
マ「それはいいんだけど、デズを攻撃して消しちゃえば手っ取り早かったんじゃない?」
ロ「攻撃してこないモンスターを倒すのは気が引けるんですよね。」
マオの問い掛けに、ロードは困ったような笑みを見せて答えた。
マ「だよね。ロードならそう言うと思ったよ!」
マオはニッと笑って言った。
フ「リコーダーの音を聞くと、魔法攻撃力が下がっちゃうなんて、びっくりしたわね…。」
ディ「あぁ…。魔法で戦う私たちにとっては、かなり痛い効果だったな…。」
フレイシーとディムアは、まだ困惑した様子でそう話す。
ル「でも、ロードとマオがすぐ対応してくれてよかったよな!」
マ「えっへん♪」
ルクの言葉に、マオは笑顔で胸を張る。
そんなマオを、仲間たちは微笑んで見ていた。




