2限目:料理テスト
『次の試練の案内をするよ!皆さん、家庭科室に行ってください!』
フ「家庭科室…?」
放送を聞き、フレイシーは首を傾げる。
ル「マオ、家庭科室の場所わかるか?」
マ「ううん。さすがに校舎内の教室の場所まではわからないなぁ。」
ルクに尋ねられ、マオは首を横に振る。
『家庭科室までの道順を言うから、放送の通りに進んでね!』
ロ「道順を案内してくれるようですね。」
デ「…割と親切だな。」
ロードとディムアは、小さく笑い合った。
マ「よかった!じゃあ行こう。」
放送の案内を聞き、5人は家庭科室へ向かった。
『では、家庭科室の中へ入ってね!』
家庭科室のドアの前まで来ると、そう放送が入り、ロードはドアを開けた。
中には、数人の生徒がいて、机の上には、ひき肉や野菜、卵などの数種類の食材が並んでいた。
ル「…うわ…。嫌な予感…。」
その光景を見て、ルクは次の試練の内容を理解し、嫌そうな表情を浮かべた。
『2限目の試練は料理だよ!ハンバーグを作ってね!』
フ「やった!料理なら自信あるわ!」
放送を聞き、フレイシーは嬉しそうに声を上げる。
デ「…上手く作れるかわからない…。」
ロ「きっと上手に作れますよ。頑張りましょう。」
自信がなさそうなディムアに、ロードはそう声を掛ける。
デ「…うん。頑張る。」
小さく笑みを見せ、ディムアは頷いた。
マ「ハンバーグなんて簡単だよ!ねぇ、ルク!」
ル「む…無理…。料理無理…。」
マオに明るく声を掛けられるが、ルクは沈んだ様子で呟いていた。
マ「…ルクはダメみたい(笑)」
そんなルクを見て、マオは苦笑いを浮かべた。
『2限目は料理テスト!私語厳禁、制限時間は30分だよ!それでは始めてね!』
その放送で、5人は一斉に調理に取り掛かる。
フ(まずは玉ねぎと人参を微塵切りにしておこうっと♪)
料理が得意なフレイシーは、手際の良い包丁さばきを見せる。
ロ(料理の試練なんて予想外ですね…。)
そう思いながら、ロードは微塵切りにした玉ねぎと人参を、フライパンで炒めている。
デ(ハンバーグ…1回だけ作ったことあるから、作れるはず…。)
レシピを思い出しながら、ディムアは慎重に、合挽き肉と溶き卵とパン粉を混ぜ合わせる。
マ(ふんふん…ハンバーグはこう作るんだね…。オッケー!)
頭の中で、マオはハンバーグのレシピのデータを引き出し、合挽き肉に材料を入れ、ヘラで混ぜている。
ロード、ディムア、マオ、フレイシーが順調に調理する中、ルクだけはかなり苦戦しているようだった。
ル(…ええと、挽き肉を混ぜて…焼けば良いんだよな…。何入れればいいんだ…?)
適当に切った人参と玉ねぎを、生のまま挽き肉と混ぜ合わせ、フライパンで焼いていた。
ル「っ!?」
火加減を間違えたのか、一瞬肉が火に包まれた。
(ルク…大丈夫…?)
てんやわんやしているルクの様子を見て、仲間たちは苦笑いをしていた。
30分後、家庭科室内に、ハンバーグの良い香りが広がっていた。
焦げた匂いも少ししていた。
『タイムアップ!皆さん、調理を終了してね!』
その放送で、5人は調理の手を止めた。
『それでは、皆さんの手作りハンバーグを生徒たちが試食して、合格か不合格かジャッジするよ!』
その放送が流れると、5人の目の前に、3人の生徒が座った。
マ「なるほどねー。生徒はジャッジ要員だったのかぁ。」
フ「わぁー、緊張するわ!」
デ「…本当に緊張する…。」
ロ「ディムア、大丈夫ですよ。」
ル「…もう、どうでもいいや…(泣)」
そんなやり取りをしながら、5人はジャッジを待った。
そして、5人の手作りハンバーグを、生徒たちが食べ始めた。
「…うん!美味い!」
「…おぉ!こっちも美味い!」
マ「オレとロード作のハンバーグだね!」
ロ「そうですね。」
生徒たちが美味しそうに食べるハンバーグを見て、ロードとマオが笑顔でそう話す。
ル「…勉強も出来て…料理も上手いのかよ…なんだこの天才コンビ…。」
フ「すごい!さすがロードとマオね!」
デ「うん…すごいな…。」
ルク、フレイシー、ディムアは、2人を見つめてそう話す。
「…うひょー!これはめちゃ美味い!!」
フ「…あ、それは私が作ったハンバーグね!」
生徒たちが大絶賛するハンバーグを見て、フレイシーは手を上げた。
ロ「さすが料理上手のフレイシーですね。」
フ「えへへ!照れちゃうわ♪」
ロードに褒められ、フレイシーは嬉しそうに微笑む。
「…んー?これは…可もなく不可もなくな味だなぁ?」
「俺は普通に美味いと思うけど…。」
デ「…私のだ…。」
生徒のどっちつかずな反応のハンバーグは、自信のなさそうなディムアが作ったものだった。
ロ「ディムアの手料理は、絶対美味しいと思いますよ。」
デ「っ!?そ、そうか…?」
ロードにそう声を掛けられ、ディムアは頬を赤らめる。
ロ「はい。よければ、今度ご馳走してもらえると嬉しいです。」
デ「…う、うん。わかった…。」
微笑むロードの提案に、ディムアは照れたようにうつむき、小さく頷いた。
マ「…ほう、今度の2人のデートは、ディムアの手料理で食事会かぁ!いいねぇ♪」
フ「とっても楽しい食事会になりそうね♪」
2人のやり取りを見て、マオとフレイシーは、楽しそうにそう話した。
「…。」
最後のハンバーグが出てきたとき、生徒たちは絶句した。
「…。」
生徒たちだけではなく、ロードたちも、その丸焦げなハンバーグを見て、言葉を失ってしまった。
ル「…だから…料理無理って言ってるじゃんかよぉ…。」
その真っ黒なハンバーグを作ったルクは、しゃがみ込んで顔を伏せて、悔しそうに呟く。
ロ「…ルク、今回は上手に出来なかったかもしれませんが、次はきっと成功しますよ。」
フ「…うん、そうね!次は一緒に作りましょうね!」
ル「…あぁ…ありがと…。」
ロードとフレイシーに励まされ、ルクは少し元気を取り戻したようだった。
『それでは、結果発表だよ!』
生徒たちの5人の手作りハンバーグの試食を終え、放送が入った。
『合格者は、フレイシーさん、ロードさん、マオさん、ディムアさん!不合格者は、ルクさん!』
デ(ご、合格した…!?)
合格するとは思っていなかったディムアは、驚いていた。
ル「…ですよねー。泣」
不合格になってしまったルクは、苦笑いを浮かべていた。
『不合格者が1名出てしまったので、罰ゲーム!モンスターを倒してね!』
「っ!」
その放送の合図で、5人の周囲にモンスターが複数出現した。
こん棒を持ち、まさに鬼の形相をした、赤と青の鬼のモンスターだった。
フ「こ、怖いっ…!!」
その恐ろしい見た目に、フレイシーは声を上げる。
マ「ええっと、このモンスターたちは、見た目の通り〝赤鬼〟と〝青鬼〟!耐性、弱点は不明だよ!」
デ「また不明か…!」
マオの説明を聞き、ディムアはそう声を漏らす。
ロ「問題ないです。武器に気を付けてください!」
ル「お、おうっ!」
ロードに声を掛けられ、気持ちを切り替えたルクは、銃口をモンスターたちに向けた。
襲い掛かってくる赤鬼に、ディムアはフレイムトルネードを唱える。
しかし、上手くダメージを与えることが出来ず、赤鬼がディムアに向かってこん棒を振り下ろす。
デ「っ!!」
ディムアが目を強く瞑った瞬間、ロードの放ったアイスクリスタルの氷塊が、その赤鬼を強打し、消滅させた。
デ「…ありがと…。」
ロ「いえいえ。」
恥ずかしそうに言うディムアに、ロードは微笑み掛けた。
フレイシーは、周囲の赤鬼と青鬼に、ガルベスタタイフーンを唱えた。
大きな風で切り裂かれ、消滅したものもいるが、まだ生きているモンスターもいる。
そのダメージを受けたモンスターたちが、同時にフレイシーに向けてこん棒を振り下ろそうとした。
フ「いやっ…!!」
その恐ろしい形相を見てしまい、フレイシーは目を瞑る。 そのモンスターを、ルクがランダムショットを放ち、消滅させた。
フ「ルク…!ありがとう!」
ル「お、おう!」
ルクとフレイシーは、笑顔を見せ合う。
こん棒攻撃を避けながら、ロードとディムアはライトニング、フレイシーはガルベスタタイフーン、ルクはランダムショットを放ち、モンスターを一掃させることに成功した。
その瞬間、家庭科室のドアは開いた。
『はい、お疲れ様ー!それでは、家庭科室を出てね!』
その放送を聞き、5人は家庭科室を退室し、廊下に出た。
ロ「2つ目の試練も、無事に終わりましたね。」
マ「うん!今のところ順調だね!」
ロードが言うと、マオは笑顔で頷く。
ル「ぜんっぜん順調じゃないんだけど…?」
2つの試練とも散々な結果で終えているルクは、落ち込んだ様子でそう返す。
フ「次はルクの得意分野の試練だといいわね!」
ル「うん…そうだな…。」
フレイシーの言葉を聞き、ルクは小さく頷く。
マ「いやぁ、ハンバーグをあんな爆弾みたいに真っ黒に焼けるのは、ある意味才能じゃない!?」
ル「…こ、この兎モドキめ…。あとで覚えてろよ?」
意地悪そうな笑顔を浮かべて発言したマオを、ルクは横目で見て、そう呟いて返す。
そんな2人を、ロード、ディムア、フレイシーは、苦笑いで見ていた。




