廃校の歓迎学園へ
5人は、これから向かう場所の話し合いをしていた。
マ「ねぇ、ロード。次はどこへ行く?」
ロ「魔法の書がありそうな場所がいいですね。」
ル「それがわからないから苦労するんだよなー。笑」
ロードのマオへの返答に、ルクはつっこむ。
デ「魔法の書の情報が少なすぎるからな…。」
フ「そうね…。本当に、お母さんが場所さえ覚えてくれていたらよかったのにね。」
ディムアとフレイシーは、困った表情で顔を見合わせる。
マ「まぁ、カバリア島のエリアは全部回る予定ではいるけど…。早めに見つけておきたいよね。」
自分の頭の中にインプットしてある、カバリア島の地図を思い浮かべ、マオは言う。
ロ「そうですね。…では、最近旅の仲間入りをしたルクくんに、行き先を決めてもらいましょう。」
ル「…へっ?俺が?」
ロードに視線を向けられ、ルクは声を漏らす。
ロ「君の勘を信じてみることにします。魔法の書はどこにあると思いますか?」
ル「えぇっ!?わ、わかるわけないだろ!?」
笑顔のロードにそう声を掛けられ、ルクは困惑し、声を上げる。
マ「そうだねぇ、せっかく仲間になったんだから、魔法の書の場所を当てて役に立とうよ♪」
ル「そんな無茶ぶりするなよぉ…。」
いたずら好きな子供のような笑顔のマオの言葉に、ルクは苦笑いで返す。
フ「お願い!ルク、言ってみて!」
フレイシーも期待しているのか、わくわくした様子を見せている。
デ「…。」
ディムアは無言だが、一応ルクの言葉を待っているようだ。
ル「…あー、えーと、じゃあ、学校とかどう?」
数秒の沈黙の後、ルクは考えを絞り出し、そう提案する。
マ「…学校?」
ル「あぁ…。ほら、魔法の書は本だろ?本って、学校にあるイメージだから、学校に置いてある本の中に、紛れてるんじゃないかなーって…。」
首を傾げるマオに、ルクは苦し紛れにそう説明する。
ロ「…ルク!」
ル「は、はいっ!すんません!もっとよく考えます!」
目を見開いたロードに凝視され、ルクは慌てて謝る。
ロ「…それはなかなか良い発想ですね!」
ル「えっ。」
笑顔を見せるロードに褒められ、ルクはきょとんとする。
ロ「たしか、この辺りに廃校がありましたね?」
マ「うん、あるよ。〝歓迎学園〟だね。」
ロードに尋ねられ、マオは答える。
ロ「では、歓迎学園に行きましょう。」
ル「マジか…。笑」
自分の適当な案が採用され、ルクは苦笑いを浮かべた。
道案内役のマオを先頭に、5人は歓迎学園に向けて歩いていた。
フ「学校行くの、私は少し久しぶり!」
フレイシーは、学校に行くことが楽しみな様子だった。
ル「え、そうなの?フレイシーって、そういえば何歳?」
フ「やだぁ!ルクが先に年齢教えてよー!」
ルクが尋ねると、フレイシーは頬を膨らましてそう返す。
ル「えー?笑 わかったよ、俺は17歳。」
笑いながら、ルクは答えた。
フ「そうなんだ!先輩ね!私は15歳よ♡」
ル「おぉ、フレイシーは俺より2つ年下だったんだ!」
嬉しそうに言うフレイシーの年齢に、ルクは少し驚いたようだ。
ロ「今は学校は通っていないんですね。」
フ「うん。通ってたら一緒に旅してないよー!」
ロードの問い掛けに、フレイシーはお茶目に笑って答える。
ル「ロードはもしかしてハタチ超えてるんじゃない?」
ニヤニヤとロードを眺めながら、ルクは尋ねる。
ロ「超えてないですよ。僕は18歳です。」
ル「じゅ、18!?俺と1こしか変わんなかったの!?」
フ「大人っぽいから、もっと上なのかと思ってたわ…!」
ロードの実年齢を知り、ルクとフレイシーは驚いた。
マ「ロードは1年前の17歳まで学校通ってて、めちゃくちゃ頭良くて、今では研究員の仕事してるんだよ!すごいでしょー!」
ロードのことを自慢し、マオは胸を張る。
フ「すごいわね!頭良くて、研究員なんて!」
ル「モテる男は違うなぁ…。笑」
フレイシーは尊敬するように、ルクは羨むように、ロードに視線を向ける。
ロ「…大したことはしてないですよ。そして、モテた覚えはありません。」
マ「えー?そんなことないでしょー?」
苦笑いをするロードに、マオはニヤニヤしながらそう声を掛ける。
ロ「そんなことあるんです。…話がズレてしまいましたが、ディムアは何歳ですか?」
話を逸らすように、後ろを歩くディムアに視線を向け、問い掛ける。
デ「…私は17歳だ。」
突然話を振られ、少し戸惑いながらも、ディムアは答える。
フ「…えっ!ディムア私より2こも上だったの!? 」
ル「まさかの俺と同い年!?」
衝撃の事実に、フレイシーとルクは、ディムアを凝視した。
デ「…な、何故驚く?」
フ「ディムアって小柄だからか、私より年下かと思った!13歳とか!」
ル「そうそう、俺も年下だと思ってた!」
ディムアの問い掛けに、フレイシーとルクはそう答える。
デ「…私って、そんなに幼い印象だったのか。」
2人のその反応を見て、喜んで良いのかわからず、苦笑いしながら、ディムアはそう返す。
ロ「ディムアは可愛らしいですからね。」
デ「…えっ…!?」
微笑むロードの言葉に、ディムアは顔を赤らめてしまう。
ル「…おっと、やっぱり2人はそういう関係だったのか!」
2人のやり取りを見て、ルクはニヤニヤしている。
ロ「そういう関係とは?」
きょとんとした様子で、ロードは尋ねる。
フ「仲良しってことよね!うふふ♪」
マ「そうだね、ロードとディムアは恋人同士みたいに仲が良いんだー!」
フレイシーの嬉しそうな言葉に、マオも楽しそうにそう返す。
ロ「…僕たちは、そんな風にみんなから見られていたようですよ。」
デ「…え、ええと…。。」
ロードが少し照れ笑いをして言うと、ディムアは更に恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。
フ「2人とも、これからも仲良しでいてね♡」
ロ「はい、もちろんです。」
デ「…う、うん…。」
フレイシーの言葉に、ロードは微笑んで、ディムアは恥ずかしながらも嬉しそうに頷いた。
ル「…良い雰囲気の所であれなんだけど、なんか周りの景色が怪しくなってきたな。」
ふと辺りを見渡し、ルクは仲間たちに声を掛ける。
草木が生い茂り、辺りは鬱蒼とした雰囲気だった。
ロ「そうですね。薄暗くなってきました。」
ロードも辺りの様子を伺い、そう返す。
マ「こんな場所に学校なんてって思うでしょ?ちゃんと道は合ってるよ!」
自信満々に、マオは言う。
フ「廃校になってるのよね…怖いわ…。」
デ「…。」
フレイシーとディムアは、少し不安な表情の顔を見合わせた。
しばらくすると、古びた学校が見えた。
マ「あった!ここだよ!」
マオは声を上げ、仲間たちより先に学校に近付く。
ル「ここが歓迎学園かぁ。なんかヤバいの出てきそうな…。」
フ「ね、ねぇ!そんな怖いこと言うのやめよう?」
苦笑いするルクの発言に、フレイシーは怖がる様子を見せる。
ロ「何が出て来ますかね?早速見に行ってみましょう。」
デ「う、うん…。」
躊躇することなく校門をくぐるロードの後ろを、ディムアは戸惑いながらついて行く。
マオ、フレイシー、ルクも、2人に続いた。
校舎の入口まで来たとき、誰かが校舎のドアを開けて出てきた。
フ「えっ…!?なんで廃校に人が…!?」
フレイシーは声を上げ、怖がっている。
ル「…まさか本当に…?いや、まさかな…。」
引きつった笑いを、ルクは見せる。
ロ「制服を着ていますよ。女子生徒でしょうか?」
デ「廃校なのに生徒が…?」
冷静なロードの言葉に、ディムアは不思議そうにそう返す。
マ「こ、怖いっ!」
怖がるマオは、ロードの肩に乗った。
「ふふふ…。あなたたち、ここへ何しに来たの?」
女子生徒は、笑みを浮かべて5人に問い掛ける。
ロ「僕たちは、この学校へ探し物をしに来ました。」
「探し物?何を探しに?」
ロ「魔法の書というものです。」
ロードが答えると、女子生徒は更に楽しそうに笑顔を見せた。
「魔法の書ねー!確かにこの学校の中にあるよー!」
ル「えぇっ!?マジであるの!?」
女子生徒のまさかの発言に、ルクは声を上げる。
マ「…本当かな?オレたちを騙す為に嘘ついてるだけかもよ…?」
ル「あ…確かに…。」
マオが疑って言うと、ルクは静かに呟く。
ロ「…もし君が魔法の書のある場所を知っていたら、教えてもらっても良いでしょうか?」
「んー、別にいいけど、ただで教えるわけにはいかないなぁ?」
ロードの問い掛けに、女子生徒はニヤリと怪しく笑う。
マ「うわっ…怪しい…。」
その女子生徒の表情を見て、マオは嫌な予感をめぐらせる。
ロ「何か要望があるんですか?」
躊躇うことなく、ロードは女子生徒に問い掛ける。
「じゃあ、私たちが出す試練を全部クリア出来たら、教えてあげるよ!」
デ「…試練…?」
楽しそうな様子の女子生徒の言葉に、ディムアは怪訝な表情を浮かべる。
ロ「…わかりました。受けて立ちます。」
迷うことなく頷いたロードは、小さく笑っていた。
「そう来なくちゃ!じゃあ、早速入って来て!」
そう言った女子生徒は、校舎内に走って行った。
ル「…だ、大丈夫か?あの女子生徒の言いなりで…。」
不安な様子で、ルクはロードに尋ねる。
ロ「魔法の書が本当にあるかどうかはわかりませんが、なんだか面白そうじゃないですか?」
マ「で、出た!好奇心旺盛ロード!」
ロードの純粋な笑顔を見て、マオは苦笑いでそう声を上げる。
フ「ちょっと怖いけど…ロードは頼りになるから安心ね!」
デ「…うん、そうだな。」
フレイシーの言葉に、ディムアも少しの笑顔を見せて頷く。
マ「だね!ロード、みんなを守ってね!」
ロ「任せてください。」
マオに視線を向けられ、ロードは微笑んで頷いた。
ル「…やっぱり、モテる男は違うなぁ…!」
心の余裕を見せるロードを見て、ルクは感心するように呟いた。
こうして、5人は廃校の歓迎学園の校舎内へ、足を踏み入れた。




