スワンプダンジョンへ
スワンプダンジョン内に入った瞬間、ジメッとした空気が、5人の身体にまとわりついた。
フ「…なんだか、嫌な空気ね…。」
デ「そうだな…。ジメジメしてる。」
フレイシーとディムアは、顔をしかめてそう言い合う。
ロ「湿度が高いですね。足元も悪いようなので、気を付けてください。」
足元の湿った泥に視線を落とし、ロードは仲間たちにそう声を掛ける。
ル「今度こそ、俺の見せ場を作ってやる…!」
そう呟き、ルクは既に銃を構え、早くも戦闘態勢を取っている。
ロ「マオがモンスターの耐性と弱点を教えてくれるので、弱点が銃のときは、ルクの出番ですね。」
ル「おう、任せろ!」
小さく笑ってロードが言うと、ルクは張り切った様子で頷く。
フ「ルクくん、ずいぶん張り切ってるね!」
マ「そりゃそうでしょー!仲間入りしてすぐの戦闘だもん!戦力になるってところ、みんなに見せつけないとね!」
フレイシーとマオは、笑顔でルクに視線を向ける。
ル「…なんか、そう言われるとプレッシャーなんだけど…?」
ニヤニヤしているマオを見て、ルクは苦笑いを浮かべた。
そんなやり取りをしている5人の前に、早速モンスターが現れ、接近してきた。
ロ「モンスターが出ましたね。」
デ「…虫みたいなモンスターだな。」
いち早く気が付いたロードとディムアが、茎の触覚を持ち、蓮の葉っぱに挟まれた牙を剥いているモンスターを警戒する。
マ「はいっ!ルクくんに朗報です!このモンスターは〝花虫〟、耐性は土と水、弱点は銃ですよー!」
ル「よっしゃー!俺の出番っ!」
マオからモンスターの説明を聞き、ルクは喜んだように声を上げ、花虫にクイックショットを放った。
2発の高威力の銃弾をくらった花虫は、消滅した。
フ「わぁ!ルク、すごーい!」
ル「ま、まぁな!」
フレイシーに褒められ、ルクは照れ笑いを浮かべる。
ロ「ルク、ナイスです。その調子でお願いしますね。」
ル「オッケー!」
微笑んだロードに声を掛けられたルクは、意気揚々と頷いた。
マ「…あっ!花虫が増えてきたみたいだよ!」
前から複数の花虫が近付いている光景を見て、マオは声を上げる。
ル「わかった!ここも俺がやる!」
仲間たちの前に出たルクは、近付いてくる花虫に向かって、〝ランダムショット〟を放った。
複数の花虫に1発ずつ銃弾が直撃するが、消滅までには至らず、花虫たちは一斉にルクに反撃を仕掛けてきた。
ル「っ!?」
ルクが慌てた様子を見せた瞬間、ロードはウィンドエッジを唱え、その花虫たちを風で切り裂き、消滅させた。
ル「あ、ありがと…。はは…。」
ロ「いえいえ。張り切りすぎて無理しないようにしてくださいね。」
ル「は、はい…。」
困ったような笑顔を見せるロードの言葉に、ルクは苦笑いをして頷く。
マ「…ルクみたいなちょっとおバカなキャラ、オレ嫌いじゃないよ!笑」
デ「…ルクはおバカキャラなのか…。笑」
ニヤニヤするマオの発言を聞き、ディムアは苦笑いを浮かべた。
気を取り直し、5人はダンジョンの奥へと進む。
今度は、不気味な目と口がついている、キノコのモンスターが現れた。
フ「…このモンスターも怖いよぉ…!」
接近してくるそのモンスターを見て、フレイシーは声を漏らす。
マ「こいつは〝マイコニド〟、耐性は物理と銃!弱点は魔法!ルク、出番だよ!」
ル「どこが俺の出番なんだぁ!?」
意地悪そうに笑うマオの言葉に、ルクは即座にツッコミを入れる。
ディムアはシャワーオブアローを唱え、4本のマジックアローを、マイコニドに連続で突き刺した。
すると、マイコニドは消滅した。
ロ「ディムア、ナイスです。」
デ「…うん。」
ロードに褒められ、ディムアは照れたように頷く。
ル「…あのー、さっきからこの兎もどきが、俺のことをいじってくるんですけど…。」
マ「失礼だなぁ。小動物型AIと言ってくれるかい?」
苦笑いをしながらルクに視線を向けられ、マオは意地悪そうな笑みを浮かべている。
ロ「仲間に入ってすぐいじるなんて、マオはルクを歓迎しているんですね。」
ル「そ、そうなの…?」
穏やかに微笑むロードの言葉に、ルクは唖然として聞き返す。
マ「まぁ、なんかいじりがいがあって、オレは楽しいよ♪」
フ「楽しいって!ルク、よかったわね!」
楽しそうなマオを見て、フレイシーはルクに明るく声を掛ける。
ル「…喜んでいいのか?笑」
なんとも微妙な笑みを浮かべ、ルクは呟いた。
しかし、次に彼らの前に現れたモンスターが、そんなやり取りで和やかムードの彼らの雰囲気を変えてしまった。
フ「…いやぁあっ!?」
そのモンスターを目の当たりにした瞬間、フレイシーは悲鳴を上げ、その場に座り込んだ。
「―っ!?」
フレイシーの悲鳴と、現れたモンスターの見た目に、仲間たちは驚いた様子だった。
そのモンスターの見た目はナメクジで、通常のナメクジの目は2つだが、そのモンスターは5つの目を持っていた。
そして、人間よりも大きな身体が、更に気味悪さを引き立たせていた。
マ「…えーと、こいつは〝ジャイアントカタツムリ〟!耐性は水と光、弱点は銃だよ!」
ル「おっしゃ!」
待ってましたと言わんばかりに、ルクは銃を構え、〝クイックショット〟を放った。
2発の銃弾がジャイアントカタツムリに命中したが、消滅には至らない。
反撃しようと口を大きく開けたジャイアントカタツムリに、ロードはフレイムトルネードを唱え、炎で焼いて消滅させた。
ロ「…フレイシー、大丈夫ですか?」
フ「う、うん…。ごめんなさい、見た目が気持ち悪くて力が抜けちゃって…。」
ロードの問い掛けに、フレイシーは視線を落として呟く。
デ「そうだな…。今まで遭遇したモンスターの中では、見た目としては最悪かもしれないな。」
ディムアも、フレイシーを心配しながら、そう声を掛けた。
ロ「そうですね…。まだ奥で複数待ち構えているようですよ。」
フ「っ!!」
ロードが前を見ながらそう声を掛け、そちらに視線を向けたフレイシーは絶句した。
ジャイアントカタツムリが、5人の行く手を阻むように、何体もうろうろしていた。
デ「…こんなに集まっていると、かなり気味悪いな…。」
マ「それに、これだけの数相手してたら、テンタライオンとの戦闘の前に、体力をかなり消耗しそうだね…。」
目の前の光景を見て、ディムアとマオは唖然と呟く。
ロ「はい。ということで、強行突破しましょう。」
意を決したような表情で、ロードは仲間たちにそう声を掛けた。
ル「あ、あぁ、了解。えーと、フレイシーちゃん、走れそう?」
フ「う、うん。頑張るね…!」
ルクが遠慮がちに尋ねると、フレイシーはゆっくり頷く。
ロ「なるべくモンスターのいない道を通ります。みんな、しっかりついて来てくださいね。」
マ「オッケーだよ!」
デ「わかった…!」
ロードの静かな言葉に、マオとディムアも頷いた。
ロ「…行きます!」
そう声に出した瞬間、ロードは走り出す。
仲間たちも一斉に駆け出し、ロードの後を追う。
途中で襲い掛かってきたジャイアントカタツムリに、ロードはウィンドエッジを唱えて吹き飛ばし、仲間たちに近付けさせないように遠ざけていた。
フ「きゃっ…!!」
ぬかるんでいる泥に足を取られ、フレイシーは転んでしまう。
ル「っ!」
そのフレイシーに襲い掛かろうとしてきたジャイアントカタツムリに、ルクはクイックショットを放つ。
ダメージを受けたジャイアントカタツムリに、間髪入れずにディムアがマジックリングを唱え、消滅させた。
ル「大丈夫?」
フ「…うん!ありがとう…!」
ルクはフレイシーの手を引いて立ち上がらせ、仲間たちとともに再び走り出した。
しばらく走り続け、ジャイアントカタツムリの群れを撒いた頃、ロードは足を止めた。
ロ「…ここまで引き離せば、もう追って来ないですね。みんな、お疲れ様です。」
マ「お疲れー!」
ロードに続き、マオが仲間たちに声を掛ける。
デ「…ロードが風魔法で、近付くモンスターに攻撃してくれていたおかげで、私たちは安全に走ることが出来た。…ありがと。」
ロ「いえいえ。みんながぴったりついて来てくれたおかげですよ。」
そう交わし、ロードとディムアは微笑み合う。
フ「ありがとう、ロード!…ルクも、助けてくれてありがとう!」
ル「…えっ?」
フレイシーに感謝されたルクは、きょとんとする。
フ「私が転んじゃって、モンスターに襲われそうになったとき、モンスターを攻撃してくれて、私を立ち上がらせてくれたでしょ?かっこよかった!」
ル「あぁ!なんだ、そんなこと!別に大したことしてないよ!」
尊敬の眼差しでフレイシーに見つめられ、ルクは照れ笑いをして頭をかいている。
ロ「フレイシーを助けてくれて、ありがとうございます。ルク、勇敢でしたね。」
マ「よかったね!ルクの株、急上昇だよ!」
ル「そ、そう?あはは…。」
ロードとマオにもそう声を掛けられ、ルクは照れ隠しで視線を逸らした。
デ「…あのカタツムリのモンスターを撒いたのはいいが、ここは行き止まりか?」
辺りを見回したディムアが、仲間たちに声を掛ける。
ロ「…本当ですね。この先、道がないようです。」
マ「ありゃ。じゃあ、少し戻る?」
ロードとマオも行き止まりを確認し、そう話していたときだった。




