迷子になったルク
ある森で、ルクは出会いたくない人物と出会ってしまった。
ロ「こんな所でまた会うなんて、奇遇ですね。」
ル「あ…そ、そうだな…あはは…。」
笑顔のロードに声を掛けられ、ルクは苦笑いを浮かべる。
マ「うわぁ、お前かぁ…。あれ、相方がいないじゃん?」
ル「あー、心配しなくても、すぐに来るから!俺たちにかかれば、お前らなんかすぐやっつけてやるからな!」
弱みを見せたくないルクは、つい嘘をつき、強がりを言った。
フ「あの人は誰…?」
デ「メア族の私を捕まえようと、私たちに付きまとっている変な人だ。」
フ「そうなの!?怖いね…。」
ロードの後ろで、フレイシーとディムアはひそひそと話す。
ロ「相方がいないのなら、僕たちからすれば絶好のチャンスですね。今のうちに、君を倒してしまいましょう。」
笑顔のまま、ロードはルクに向かって杖を構えた。
ル「うぇっ…!?ちょっ…まっ…!!」
ルクは逃げようとするが、体力を消耗しきっていて、足がもう動かなかった。
尻もちをついて、後ろに立つ木にもたれかかった。
ル(お、終わった…俺の人生…。)
不敵な笑みを見せて詠唱をするロードの目の前で、ルクは死を覚悟した。
遡ること1週間前―。
ルクとベリッサは、スワンプの街のカフェにいた。
べ「んー☆美味しーい☆」
カフェの人気商品のパフェを、ベリッサはご満悦な表情で食べていた。
ル「…こんなとこでのんびりしてていいんかね?」
そんなベリッサを見ながらコーヒーを飲み、ルクは苦笑いを浮かべる。
べ「えー?ルクもパフェ食べたかったのー?今から頼めばいいじゃなーい☆」
ル「そんなこと言ってないよ。俺たちがこうしてるうちに、あのメア族が遠くに行っちゃうかもしれないだろ?」
べ「さっきも言ったでしょ?あの人たちはきっとこの街を通るんだから、ここで待ってればいずれは会えるんだってー☆」
ル「…まぁ、それならいいんだけどな。」
ベリッサの相変わらずのマイペースぶりに、ルクは思わずため息をつく。
ル「…それにしても、あのメア族と一緒にいるあいつが邪魔すぎる…。あいつさえいなければ、メア族を捕まえることが出来るのに…。」
べ「そうだねー☆あの人強くて大変だけど、頑張らないとねー☆」
ロードの元からディムアを奪い取る為、ルクは作戦を練っていた。
軽食を終えたルクとベリッサは、喫茶店を出た。
その2人の元に、一人の少年が歩み寄ってきた。
?「ねぇねぇ!お兄さんとお姉さん!」
ル「ん?何?」
?「さっき話してたの聞こえたんだけど、お兄さん達、メア族を探してるの?」
ル「あ、あぁ、メア族探してるけど…。」
ルクが答えると、少年は真剣な表情になり、小声になる。
?「僕さっき偶然見ちゃったんだけど、メア族が〝スワンプの森〟に行ったのを見たよ…!」
ル「…え!?」
ルクは驚き、少年を凝視する。
べ「えー本当にー?どうして森に行った人がメア族だってわかるのー?」
?「森に行く前、フィールドで、モンスターを闇の魔法で倒してたのを見たからね!」
少し疑った様子のベリッサの問い掛けに、少年は自信満々に答えた。
べ「そうなんだー!闇の魔力を使ってたってことは、メア族で間違いなさそうだねー☆」
ル「そうだな!教えてくれてありがとう。スワンプの森に行ってみるよ!」
ベリッサに頷いたルクは、少年に礼を言った。
?「うん!気を付けてね!」
少年に見送られ、2人はスワンプの森へと向かった。
2人がスワンプの森に入り、数時間が経った。
ル「はぁ…。全然いないな…。」
べ「メア族どころか、人が1人もいないよねー☆」
ずっと歩き続けている上にモンスターと戦い続け、2人に疲労の色が見て取れた。
ル「もうとっくに森を抜けたのかもしれないな…。」
べ「そうだねー☆もう森出よっかー☆」
2人はそう言い合い、森の出口を目指そうとした。
ル「…?あれ…。俺たち、どっちから来たっけ…?」
周りを見渡し、ルクは嫌な予感がして呟く。
べ「えー?んー、こっちからかな?それともこっちー?」
ベリッサも、来た道がわからなくなっているようだった。
ル「と、とりあえずこっち行ってみよう!」
べ「うん、そうだねー☆」
ルクが選んだ道を、ベリッサも一緒に進む。
しかし、いくら進んでも、出口は出てくる気配はない。
ル「…ダメだ…こっちじゃないみたいだ…。」
ルクは足を止め、落胆した。
べ「…んー、じゃあ、私はあっち行くから、ルクはこっちの道行ってみて?☆」
ベリッサの提案に、ルクは更なる不安を覚える。
ル「え?二手に分かれるのは危険じゃないか…?」
べ「でもー、分かれた方が効率よくないー?☆どんどん暗くなってきちゃってるしー☆」
二手に分かれるのは高リスクだと思ったが、確かに辺りは薄暗く、もうじき夜になってしまう。
完全に暗くなってしまうと、出口を見つけるのが更に困難になるだろう。
それを考えると、分かれて探した方が時間効率よく出口を見つけられるかもしれない、とルクは思った。
ル「…そうだな、わかった。お互い出口を見つけたら、連絡し合おう。」
べ「オッケー☆」
こうして、2人は二手に分かれ、出口を探すことになった。
しかし…。
夜が明けても、その次の日になっても、ルクは森から脱出することは出来なかった。
一向にベリッサから連絡もなく、ルクから連絡しても繋がらず、合流も出来なかった。
ル「…う、嘘だろ…?俺、こんな場所で死ぬのか…!?」
スワンプの森の中で、ルクの心の中は絶望と後悔の感情で埋め尽くされていた。




