2人を結ぶクローバー
翌朝。
ロード、ディムア、マオの3人が起床したときには、フレイシーは既に起きていた。
フ「…あっ!みんな、おはよう♪」
3人に上機嫌であいさつをするフレイシーは、スクランブルエッグが乗った皿を持っていた。
ロ「おはようございます。…もしかして、わざわざ朝食を作ってくれたんですか?」
フ「簡単な物しか作ってないけどね!」
ロードが問い掛けると、フレイシーは照れ笑いを浮かべながらそう返す。
デ「…簡単な物って言ってる割には、すごいクオリティが高い気がする…!」
食卓に並んでいる料理を見て、ディムアは驚いてそう呟く。
マ「わぁ、美味しそー!フレイシーの手料理なんて、絶対美味しいんだろうなぁ…。」
飲食をしないAIのマオでさえも、料理に見惚れている。
フ「えへへ…。実は、今日は私がみんなと仲間になって最初の朝だから、少し張り切って準備してみたの!」
ロ「そうなんですね。ありがとうございます。」
マ「さすがフレイシー、気が利くなぁ。」
デ「ありがと…。」
フレイシーの気遣いに、3人は感謝した。
マ「…どう?ロード、ディムア、美味しい!?」
料理を食べ始めてすぐに、マオが2人の顔を覗き込んで尋ねる。
ロ「もちろん、とても美味しいですよ。」
デ「…うん。すごく美味しい。」
ロードとディムアは、微笑んでそう答えた。
マ「だよねー!オレも食べれたらなぁー!」
2人が美味しそうに食べる姿を、マオは羨ましそうに見ている。
フ「よかったぁ!喜んでもらえて、私も嬉しい!」
フレイシーも、満面の笑顔を見せていた。
彼女の手料理で、朝から幸せを感じたロードたちだった。
マ「今日のクローバー祭りも楽しみだね!盛り上がるかなぁ♪」
フ「そうね!みんなで楽しもうね!」
マオとフレイシーは、笑顔でそう話した。
ロ「2人とも気分が高揚しているのは、クローバー祭りが楽しみだからなんですね。」
その会話で納得したように、ロードは言う。
マ「そうだよー!ロードは楽しみじゃないの!?」
ロ「僕も楽しみですよ。お祭りに行ける機会なんて、なかなかないですからね。」
デ「私も…。お祭りって初めてだ。」
フ「うんうん!せっかくのお祭りだから、楽しまなきゃね♪」
もうすぐで始まるクローバー祭りの話で、4人は盛り上がっていた。
朝食を終え、準備を済ませた4人は、早速イベントガーデンに来た。
祭りの会場であるこの場所は、既に人がたくさんいた。
マ「賑やかだー!」
フ「この雰囲気だけで楽しくなるのよね!」
会場に来て更にテンションが上がったマオとフレイシーは、人混みに吸い込まれるように、あっという間に先に行ってしまった。
デ「…2人とも、もう見えない…。」
2人を人混みで見失い、ディムアは唖然と呟く。
ロ「早いですよね。でも、僕たちは僕たちのペースで行きましょう。」
微笑んでそう言ったロードは、ディムアに手を差し伸べる。
デ「…う、うんっ…。」
その手を戸惑いながらも握り、ディムアは頬を赤らめて頷いた。
昨日も今日も、ロードと手を繋いで歩けることに、ディムアは恥ずかしさもあったが、幸せかもしれないと思っていた。
少し歩いたところで、アルフィナが何かを渡している場所に列が出来ている光景を、ロードとディムアは見つけた。
ロ「…アルフィナさんがいますね。」
デ「そうだな…。みんなに何かを配っている。」
2人はそう話し、何を配っているのかを見た。
よく見ていると、並んでいる人全員にポチ袋を渡している。
もらった人がポチ袋の中身を出した所も見ると、中にはクローバーの押し花が入っていた。
ロ「なるほど。あの袋の中に、昨日ポプリさんが育てたクローバーで作った押し花が入っているようですね。」
デ「そうか…。このお祭りのメインイベントだったな。」
ロ「はい。並びましょうか。」
デ「…うん。」
そう話し合った2人は、その列の最後尾に並ぶ。
ロ「アルフィナさん、お疲れ様です。」
順番が来て、アルフィナの前に立ったロードは、彼女に小さく頭を下げる。
ア「あ!ロードくんとディムアちゃん!ありがとう!はい、どうぞ♪」
アルフィナは2人に笑顔を向け、ポチ袋を1つずつ渡した。
ロ「ありがとうございます。ところで、クローバーの押し花を、どうしてポチ袋に入れて配っているんですか?」
ポチ袋を受け取ったとき、ロードはふと尋ねる。
ア「えーっと、それはねぇ…。中身を見たら、その理由がわかるかもしれないわね?」
そう答えたアルフィナは、お茶目な笑顔を見せた。
デ「…?」
ロ「わかりました。後で中身を見てみます。」
首を傾げるディムアと視線を合わせ、ロードはそう答え、2人はその場を後にした。
ア「はーい!お祭り楽しんでね♪」
アルフィナは、笑顔で2人を見送った。
アルフィナと別れて少し歩いた場所の道端で、ロードとディムアは立ち止まる。
ロ「…アルフィナさんの言っていた言葉が気になりますね。」
デ「…うん。中身を見たらわかるかもしれないって…。」
そう言って、先程受け取ったポチ袋を、2人は見つめる。
ロ「はい。見てみましょうか。」
デ「そうだな…。」
そう話し、2人は同時にポチ袋から押し花を取り出した。
ロ・デ「…。」
2人は、お互いがもらった押し花を見比べる。
ロ「…すごいですね。僕たちのクローバー、両方4つ葉のクローバーですよ。」
デ「…え?すごいのか?」
ロードが微笑んで言った言葉を聞き、ディムアはきょとんとする。
フ「…あ!ロードとディムアがいたわ!」
マ「もぉ!どこ行ったのかと思ったよー!」
そのとき、2人の元へ、フレイシーとマオが駆け寄ってきた。
ロ「すみません。人混みに飲まれてしまいました。」
ロードはそう答え、困った笑顔を見せる。
マ「すごい人だもんね。あ、それよりさ、2人ともクローバーの押し花、もうもらった?」
ロ「はい、先程アルフィナさんからもらいましたよ。」
マオの問い掛けに、ロードは頷く。
フ「…えっ!?ま、待って!?ロードもディムアも4つ葉のクローバーの押し花が出たの!?」
2人が手に持つ4つ葉のクローバーの押し花を見て、フレイシーは衝撃を受けている。
デ「あ、あぁ、4つ葉だったな。」
その反応に戸惑いながら、ディムアは頷く。
マ「マジ…!?こんなことってあるんだ!!」
ロ「どういうことですか?」
同じような反応をするマオとフレイシーに、ロードは尋ねる。
フ「押し花を担当した人たちに聞いた話をお母さんから教えてもらったんだけど…。全部で2万枚くらい押し花を作って、4つ葉のクローバーだったのはたったの2枚だけだったんだって…!」
デ「…えっ!?2万枚も作って2枚だけ…!?」
フレイシーの話を聞き、ディムアも驚愕する。
ロ「…そうですね。クローバーは、ほとんどが3つ葉で、かなりの低確率で4つ葉が育ちます。あまりにも見つけることが難しいので、4つ葉のクローバーは幸せの象徴と言われているんですよね。」
そう説明しながら、ロードは自分とディムアが受け取った2枚の4つ葉のクローバーの押し花を見つめる。
マ「そうそう。しかも、何がすごいかって、全部で2枚しかない4つ葉のクローバーの押し花が、ロードとディムアの手元に渡るって…めちゃくちゃ確率エグくない!?」
興奮したように、マオは声を上げる。
フ「そうね!私こういうおまじない系は信じるから…2人に運命的なものを感じちゃうかも…!?」
デ「…運命…!?ロードと…私が…!?」
瞳を輝かせたフレイシーの言葉を聞き、ディムアの顔は真っ赤になった。
ロ「…ええっと、そうですね…。ディムアと僕が出会ったことで、僕たちもみんなも幸せになるという意味合いでしょうか…?」
言葉を捻り出してそう言ったロードも、頬が少し赤くなっていた。
フ「わぁ!ロードのその考え、とっても素敵!きっと、2人の出会いはみんなを幸せにしてくれるのね!」
マ「うひゃーっ!ロードがそんなロマンチストだったなんて!!」
ロードの言葉を聞き、フレイシーは感動し、マオはニヤニヤが止まらないでいる。
デ「…ロードと出会ったことで…私は幸せになれるかもしれない…。」
ロ「…はい。僕も、ディムアと出会えて幸せだと思います。」
そう言った2人は、照れたように微笑んだ。
マ「いいねー!オレもロードとディムアを見てたら幸せな気持ちになったよ!」
ロ「そうですか?それはよかったです。」
ニッと笑ったマオに、ロードは笑顔で返す。
フ「えへへ、私もー!なんか、幸せすぎてお腹すいてきちゃった!」
デ「…確かに、私もお腹すいてきた…。」
フレイシーの言葉を聞き、ディムアは自分のお腹に手を当てて呟く。
マ「じゃー屋台見てみよう!」
フ「そうね!何食べようかなー♪」
マオとフレイシーは、美味しい食べ物を求めて、屋台の方へ走って行った。
ロ「…僕たちも何か食べますか。」
デ「…う、うん。」
まだ少し頬を紅潮させたままのロードとディムアは、視線を合わせてそう交わし、再び手を繋ぎ、屋台の方へと歩き出した。
2人それぞれがズボンのポケットに入れた4つ葉のクローバーの押し花は、2人の宝物となった。
マ『今日は、メガロポリスに到着した。資料館に行って、カバリア島について情報収集をした。資料館で、なんとラファ族に会えた。名前はフレイシー。彼女は、この島の戦い、ラファメアの戦いについて調べていて、メア族を救いたいという我々と同じ考えを持っていた。彼女の話で、メア族の闇の魔力を消し去る魔法、浄化魔法の存在を知った。浄化魔法を習得するには魔法の書が必要なようだ。彼女の母親のアルフィナに、魔法の書の在り処を尋ねたが、知ることは出来なかった。今後は、浄化魔法を習得する為、魔法の書を探す旅になる。その後、メガロポリスで開催されるクローバー祭に参加した。祭りで必要なクローバーが荒らされてしまったので、メガロポリスダンジョンにいるポプリの所に行き、魔法でクローバーを一瞬で咲かせてもらった。祭りでは、そのクローバーの押し花が配られた。オレとフレイシーは3つ葉だったが、なんとロードとディムアには4つ葉のクローバーが当たった。きっとこれは2人が出会ったのは運命だという意味なんだろう、と感じた。ロードもディムアも、すごく幸せそうだった。』
マ「…ちょっとヤキモチ妬いちゃったことは内緒。」
マオは少し切なそうに笑って独り言を呟き、研究所に文章を送信した。
4*ラファ族との出会い―完―




