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ラファメア・プロテクション  作者: あおいきりん
3*パートナーとの絆
12/92

マオとはなればなれ

翌朝、マリンデザートの宿を出た3人は、昨日情報屋がいた場所に来た。


情「やぁ、君たち!」


ロ「おはようございます。アイテムを取ってきましたよ。」


ツタンカーメンのイヤリングを、ロードは情報屋に差し出す。


情「おぉ!本当にこんなに早くツタンカーメンを倒したの!?ありがとう!やっぱり君たちすごいね!」


イヤリングを受け取り、情報屋は喜んで言った。


マ「えっへん!すごいでしょ?」


マオは誇らしげに胸を張った。


デ「…お前はロードにくっついていただけだろ?」


マ「…ちゃんと戦闘のサポートしてたじゃん…!」


ディムアとマオの間に、小さな火花が散る。


ロ「では、約束通り教えてもらっていいですか?」


そんな2人の様子を気にしながら、ロードは情報屋に尋ねる。


情「もちろん、教えるよ。メア族のこと。…えぇっと 、メア族を一言で言うなら、『超凶暴な種族』だよ。」


マ「…!」


デ「…。」


超凶暴な種族。


そのワードに、その場の空気が一気に張り詰める。


ロ「…人を襲ったりするんですか?」


情「そう、人間を見つけたら、強力な闇の魔力で襲い掛かるよ。人間だけじゃない。君たちは、メア族とは相反する種族〝ラファ族〟のことは知ってる?」


ロ「…ラファ族…ですか。初めて聞きました。」


そう答えながら、ロードはマオに視線を向ける。


マオもわからなそうな表情をしている。


ディムアは知っているだろう。


しかし、彼女は気まずそうにうつむいている。


情「メア族が闇の魔力を持っていることに対し、ラファ族は、光の魔力を持っている。メア族は人を殺すけど、ラファ族は瀕死の人を光属性の魔法で助けることが出来るんだ。ラファ族と人間は結託し、メア族と戦っている。この戦いは、カバリア島で古くから今も続いている〝ラファメアの戦い〟と呼ばれているよ。」


マ「…。」


その話に、マオは衝撃を受ける。


ロ「…光と闇、生と殺…ですか。本当に正反対の存在ですね。」


興味深そうに、ロードは呟く。


ロ「メア族である者は、必ずしも凶暴な人格だとは限らないですよね?」


そして、ディムアを気にする様子を見せながら、情報屋にそう尋ねる。


情「え?凶暴じゃないメア族?さぁ…俺の知る限りではいないけど…。探してみれば、優しいメア族も存在するかもしれないね?」


首を傾げながら、情報屋は曖昧に答えた。


ロ「…なるほど、わかりました。いろいろ教えていただき、ありがとうございました。」


情「いやいや、こちらこそ!わがままを聞いてくれてありがとう!」


ロードと情報屋は、最後にそう交わした。




情報屋の元を離れてすぐのことだった。


マ「…ほらね!やっぱりオレの思った通りだった!」


ロ「…何がですか?」


マオの興奮した様子に、ロードは少し戸惑いながら聞き返す。


マ「さっきの話聞いたでしょ?メア族は人を殺す凶暴な種族って言ってたじゃない!このままディムアと行動してたら、オレたち本当に殺されるかもしれないよ!?」


デ「…っ!」


マオの言葉を聞き、ディムアは哀しそうな表情を見せる。


ロ「…マオ、まずは落ち着いてください。ディムアは僕たちに危害を加えるような子ではないということが、一緒にいてわかりませんでしたか?」


今度は怯えている様子のマオを宥めるように、ロードはそう言い聞かせる。


マ「そりゃ表じゃそうかもしれないけど、それはオレたちを油断させる為であって、心の中では、いつオレたちを殺そうかタイミングを見計らってるかもしれないじゃないか!!」


ロ「そんなことありません。先程、情報屋が言っていましたよね?『優しいメア族もいるかもしれない』と。ディムアがその優しいメア族だということですよ。」


マ「オレはそんなの信じないよ!ロード、お願いだよ!もうディムアと行動するのやめよう!?」


マオがロードの言葉を受け止めず、彼にそう懇願した直後だった。


ロ「…いい加減にしてください!」


強めの口調でそう言ったロードの表情には、怒りと哀しみの感情が入り交じっていた。


マ「っ…!!」


マオは肩をビクつかせた。


ロ「確証もないのに決め付けることはよくないですよ。…それに、今の君の発言が、ディムアをどれ程傷付けたかわかってますか?」


マ「…。」


静かな怒りを見せるロードから視線をそらし、マオは黙り込む。


ロ「自分が同じことを言われたらどんな気持ちになるか…考えてみてください。」


マ「…わかったよ!!オレが悪いんでしょ!?オレもう出ていくよ!!」


哀しそうに声を上げ、マオはその場から飛び去った。


ロ「…。」


後を追いかけることなく、ロードは遠くなるマオの背中を見つめた。


デ「…追いかけなくていいのか?」


ディムアはロードに静かに問い掛ける。


ロ「…はい。彼には、少し考えを改める時間が必要だと思うので、しばらく一人にさせます。」


ディムアに視線を向け、困ったような表情をロードは見せる。


デ「まぁ…あんなこと言うのも無理はない。メア族が危険だという事実を知ってしまったんだからな。」


ディムアは哀しそうに呟いた。


ロ「…人の気持ちについて、まだまだ勉強不足だったようですね。彼の代わりに謝ります。本当にすみませんでした。」


ロードはディムアに頭を下げる。


デ「…別に気にしてない。メア族だから、人殺しって言われるの、慣れてるしな。」


悲しみを吹き飛ばすように、ディムアは小さく笑う。


ロ「…君は、メア族に生まれてきてしまったばかりに、今までとても辛い思いをしてきたんですね。」


ディムアを見つめるロードの瞳は、哀しみを帯びている。


デ「…。それはそうと、私が危険な種族だと知っても、お前は何とも思わないのか…?」


自分を怖がる様子のないロードに、ディムアは恐る恐る尋ねた。


ロ「僕が今君に対して思っていることは…『護りたい』ということです。」


デ「…っ!?」


想像もしていなかったロードの答えに、ディムアは胸の高鳴りを感じた。


ロ「人々は、君をメア族だというだけで、攻撃してくるんですよね。なので、僕はその人々と戦って、君が傷付かないように護ります。」


デ「…あ、あり…がと…。」


微笑むロードから視線を逸らし、ディムアは小さく呟く。


生まれて初めての感情に、戸惑いを隠せなかった。


ロ「いえいえ。…もう少し経ったら、マオを探しに行きますか。」


デ「そ、そうだな…。」


ロードの言葉に、ディムアは小さく頷いた。




ロード、ディムアの元を勢いよく飛び出してきたマオは、マリンデザートから少し離れたフィールドを、沈んだ気持ちでふらふらと飛んでいた。


マ「…はぁ…。どうして、ロードはあんなに怒っちゃったんだろう…。オレ、間違ったこと言ってないと思うんだけどな…。」


先程のロードとのやり取りを思い出しながら、マオは独り言を呟いている。


マ「危険だってわかったメア族と一緒にいようとする、ロードの方がおかしいんだよ…。なんか最近ディムアと仲良くなってるっぽいし…。うーん…ロードこそ考え直してくれないのかな…。」


ここ数日、ロードとディムアが親しくなっていることにも、マオはもやもやしていた。


ロードがメア族のディムアを受け入れていることが、マオにはまだ理解出来ないでいた。


マ「…まぁ、とりあえず少し時間を置いたら戻ってみよ。ロードの考えも変わるかもしれないし…。」


そう思い、マオはあてもなくフィールドを進んでいた。


ふと、前方の岩陰に、何かの気配を感じた。


マ「…?」


恐る恐る、マオは岩陰に近付く。


そこには、自分よりも小さい、茶色の兎が地面に座り込んでいた。


?「っ!」


マオと視線が合うと、兎は身体をビクつかせた。


マ「え、ええと…。キミ、こんなところでどうしたの?」


?「あの…あたし、お姉ちゃんとはぐれちゃって…。」


マオが遠慮がちに声を掛けると、兎は小さな声でそう返した。


マ「そうなんだ。早くお姉ちゃん見つかるといいね。」


そう兎に告げ、マオはその場を通り過ぎる。


?「あっ…。」


兎は何か言いたそうだったが、言葉が出ず、去ってしまうマオの背中を見つめていた。


マ「…。」


そのとき、マオはふと考えた。


マ(ここにロードがいたら、この兎のお姉ちゃんって人を一緒に探してあげるんだろうな…。ロードは本当にお人好しだから…。)


そう思うと、マオは引き返し、兎の目の前に戻ってきた。


?「…?」


兎は、不思議そうな様子でマオに視線を向けている。


マ「キミのお姉ちゃん、一緒に探すよ。」


?「えっ!いいの?」


マオの言葉に、兎は驚いたように目を見開く。


マ「まぁ、暇だしさ。」


マオは少し寂しそうに笑う。


?「そ、そうなの?ありがとう…。あたし〝ショコラ〟っていうの。あなたは?」


マ「オレはマオ。よろしく。」


シ「マオさん、よろしくね!」


ショコラは笑顔を見せた。


マ「…なんか、さん付けされるの慣れてないから変な感じ。マオでいいよ。」


シ「そっか。じゃあ、マオって呼ぶね。私のことも呼び捨てでいいからね。」


マ「わかったよ、ショコラ。」


少し照れ臭そうに、マオは彼女の名前を呼ぶ。


マ「…それで、お姉ちゃんとはどこではぐれたの?」 シ「ええと…〝カバリア遺跡〟の街…。」


マ「カバリア遺跡の街…?ちょっと待って。」


ショコラが控えめに言った街の場所を、マオは頭の中にインプットしてあるカバリア島の地図で確認する。


マ「ここからずいぶん離れた街みたいだけど…。本当にカバリア遺跡の街ではぐれたの?」


シ「う、うん。そうだよ。」


マオの問い掛けに、ショコラは少し戸惑って頷く。


マ「んー…まぁいいや。とりあえず、カバリア遺跡の街に向かうよ。」


シ「うん!ありがとう、マオ!」


ショコラは笑顔で言った。 こうして2人(2匹)は、カバリア遺跡の街に向かった。


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