ピラミッドダンジョンへ
3人は、しばらく変わらない景色の砂漠を歩いていた。
デ「…暑っ…。」
あまりの暑さに、ディムアはそう呟いた。
ロ「水はたくさん持ってきたので、熱中症にならないように、水分摂ってくださいね。」
デ「…ありがと。」
ロードに差し出された、水入りのペットボトルを受け取り、ディムアは水を飲む。
ロ「マオは暑くないですか?」
マ「…オレが暑さも寒さも感じないの知ってるのに、聞かないでよ。」
ロ「すみません、冗談です。」
まだ機嫌が直らない様子のマオを見て、ロードは困ったように笑う。
デ「…お前は全然暑そうじゃないな。結構厚着してるのに…。」
ローブにマフラーという冬仕様の格好のロードを見て、ディムアは不思議そうに尋ねる。
ロ「僕は常に魔力で温度調節をしているんですよ。」
デ「魔力で温度調節…?」
ロ「はい。今は暑い環境にいるので、水属性の魔力を自分の周りにほんの少しだけ放出しています。逆に寒いときは、火属性ですね。」
デ「…そうなのか…。魔力をそんな風にも使うなんて…。」
ロードの説明を聞き、ディムアは感心した様子でそう声を漏らす。
ロ「…あ、君の周りにも水属性の魔力を放出しておきますね。」
そう言ったロードは、ディムアの肩に触れる。
すると、心地よい冷気が見にまとった感覚になり、ディムアが感じていた暑さが一気に引いた。
デ「…すごい…。ありがと。」
ロ「いえいえ♪」
ディムアが涼しそうになったのを見て、ロードは満足そうに微笑んだ。
マ「…ほら、見えてきたよ。」
ロードとディムアのやり取りをスルーし、マオは遠くに見えてきたピラミッドダンジョンを指した。
ロ「マオ、ありがとうございます。」
マ「…もうっ!」
ロードに頭を撫でられたマオは、頬を膨らまし、さっさとダンジョンの方へ飛んで行ってしまった。
デ「…本当に大丈夫か?」
ロ「はい、大丈夫です。行きましょう。」
マオがまだへそ曲がりなことが不安そうなディムアに、ロードは笑顔を見せて頷く。
そして、2人もダンジョンへ向かった。
ダンジョンに足を踏み入れると、中は薄暗く、不気味な雰囲気を醸し出していた。
マ「ここが…ピラミッドダンジョンかぁ…。」
マオは小さく呟き、辺りをキョロキョロ見渡す。
ロ「いかにもダンジョンという雰囲気が出ていますね。」
デ「…。」
あまり臆する様子のないロードの後ろに隠れるように、ディムアは中の様子を伺う。
「ウォォォォ~…」
突然、何かの呻き声のような不気味な音が聞こえてきた。
マ「わっ!?」
その物音に驚き、マオはロードの肩に飛び乗った。
ロ「…離れないでくださいね。」
デ「…うん。」
ロードにそう声を掛けられ、ディムアは静かに頷いた。
少し奥に進んだとき、ディムアは腕に違和感を覚えた。
デ「えっ…!?」
ロ・マ「っ!!」
声を上げたディムアに、ロードとマオは視線を向ける。
ディムアの腕に、包帯が巻き付いていた。
その包帯の先を、全身を包帯でグルグル巻きにしたモンスターが持っていた。
身動きが取れなくなったディムアの後ろから、同じ包帯のモンスターが襲い掛かろうとしていた。
2体のモンスターに、ロードはウインドエッジを放ち、同時にダメージを与えた。
ディムアの腕に巻き付いた包帯は、その衝撃でちぎれた。
マ「え、ええと、この包帯グルグル巻きモンスターは〝マミー〟!耐性は雷、弱点は物理だよ!」
咄嗟に頭の中のモンスターデータを引き出し、ロードとディムアにそう伝える。
ロ「…わかりました。物理攻撃は出来ませんが、問題ないです!」
ロードは頷き、〝ウォーターシェル〟を唱え、ディムアを攻撃しようとするマミーに、水の弾を放った。
水の弾を直撃したマミーは、その勢いで壁に激突し、消滅した。
もう1体のマミーに、ディムアはマジックアローを放ち、消滅させることに成功した。
マ「はぁ、ビックリした…。」
マオは呟き、軽く息をつく。
ロ「突然来ましたね。ディムア、腕は大丈夫でしたか?」
デ「…あ、あぁ、大丈夫だ。」
ロードに尋ねられ、まだ鼓動が早いままだったが、ディムアは頷く。
マ「周りが暗くてよく見えないし、どこから襲って来るかわからないから、気を付けてね。」
ロ「はい、ありがとうございます。やっぱりマオは頼りになりますね。」
マ「…べ、別にそんなこと言われたって、嬉しくないっての!」
ロードに笑顔を向けられ、マオは照れ隠しのようにそっぽを向く。
ロ「まぁ、ダンジョン内は真面目に危ないので、この先も気を付けましょう。」
デ「…うん、そうだな。」
ロードに注意を促され、ディムアは頷いた。
その後も、数種類のモンスターに遭遇し、マオがデータ収集を進め、ロードとディムアがモンスターを倒し、順調にダンジョンの奥へと進んで行った。
マ「…なんか、そろそろツタンカーメンが出てきそうな気がする。」
デ「…本当か…?」
ふとしたときのマオの呟きに、ディムアが怖々と聞き返す。
ロ「確かに、ダンジョンの入口よりも雰囲気にだいぶ不気味さが増している気がしますよね。」
そう発言するロードは、相変わらず平然とした様子でいる。
デ「そう言っている割には、全然怖がってなさそうだな…。」
ロ「怖いという感情は、僕は滅多に持たないですね。寧ろ、これからどんなモンスターが待ち構えているのかと思うと楽しみなんですよ。」
デ「楽しみ…!?」
笑って言ったロードを、ディムアは驚いたように凝視する。
マ「ロードはホントにどんなことでも物怖じしないよね。…だからいつでも頼りになるんだけどさ。」
ロードの肩に乗るマオが、小さく笑ってそう呟いた。
ロ「マオとディムアが一緒にいてくれれば、モンスターとの戦闘も怖くなく楽しくなるということですね。」
マ「エヘヘ…。オレもロードといるの楽しい!」
ロードとマオは、笑顔を見せ合っていた。
デ「…。」
返答に困ったディムアは、そんな2人の様子を見つめる。
デ(そういえば…もう機嫌直ってるな…。)
先程までへそを曲げていたマオが笑顔を見せていることに、ディムアは思わず小さな笑みを浮かべていた。
そんなやり取りをしている3人の前に、突如何かが現れた。
マ「…わっ!モンスター!!」
マオがそう叫んだときには、眩く光るマジックアローが放たれていた。 そのマジックアローは、ロードとディムアに1本ずつ直撃した。
ロ・デ「…っ!!」
ディムアは、その衝撃で体勢を崩してしまった。
ロードは、咄嗟に魔力でアローを弾く。
その直後、ロードがサンダーカウンターを発動すると、マジックアローを放ってきた1体のモンスターに、大きな雷が落ちた。
雷を直撃したモンスターは、消滅したようだ。
マ「眩しいっ…!!」
雷のあまりの眩しさに、マオは目を強く瞑る。
デ「うぅっ…!」
立ち上がる前のディムアに、モンスターが素早い動きで襲い掛かる。
そのモンスターに、ロードはシャワーオブアローを唱え、マジックアローを3本連続で突き刺し、消滅させた。
ロ「…ディムア、大丈夫ですか?」
デ「…うん、大丈夫だ。」
ロードに声を掛けられ、ディムアは頷き、立ち上がった。
マ「…まだモンスターはいるから気を付けて!まず〝イシス〟、魔法を使ってくるよ!耐性は風、弱点は物理と銃!次に〝ネフティス〟!耐性は風、弱点は銃だよ!」
目の眩みがいくらか直ったマオが、目の前にいる2種類のモンスターの説明をした。
ロ「わかりました!風以外の範囲魔法で行きます!」
そう言ったロードは、〝フレイムピーラー〟を唱え、数体のイシスとネフティスを炎で焼き尽くした。
デ「っ!!」
ロードの炎魔法を逃れたイシスのマジックアローを間一髪で避けたディムアは、ライトニングを唱えた。
雷がイシスに直撃し、動きを止めた。
その直後、ロードの2度目の範囲魔法のライトニングで、周囲に残っているイシスとネフティスに雷を落とし、一気に消滅させた。
マ「す、すごい眩しかったぁ…!」
辺りにモンスターがいなくなったことを確認し、マオは声を上げる。
ロ「…すみません。暗いダンジョン内で魔法で戦うとなると、どうしても目が眩んでしまいますね。」
息を小さくつき、ロードは困ったように笑みを見せる。
デ「少し激しめな戦闘だったな…。」
ロ「そうですね。さすがダンジョンです。」
マ「モンスターの動きは早いし、魔法も使ってきたからね…。この分だと、ツタンカーメンも…。」
3人がそうやり取りし、マオがそう言いかけたときだった。




