実は人間じゃないんだよね。
「実は僕、人間じゃないんだ」
彼の一言に、アイスティーをかき混ぜていた手が止まった。
からん、と氷のぶつかる小さな音が私の沈黙を埋める。
「――って言ったらどうする?」
彼は笑顔で言葉を足した。柔らかくて穏やかな、昔から変わらない表情を前にして、そうだなあと考える。
人間じゃないとしたら何だろう。
幽霊、妖怪、吸血鬼。なんか違う。
人狼、ゾンビ、アンドロイド。しっくりこない。
一番合いそうなのは――ああ。人造人間。これかも。
「まあ。君がそう言うんなら、そうだろうなと思うよ」
彼は「そっか」と頷いて、ミルクレープにフォークを入れる。半分くらいで崩れた。ちょっと不器用な所も変わらない。
「驚かないんだ」
「だって、私が君を寄せ集めて作り直したからね。その気付きは、成長の一歩だと思――」
「えっ」
「えっ? ……あっ!?」
彼の驚いた声で、自分の失言に気付いた。背筋が一気に冷える。
「うわ、ごめ……やらかした、じゃなくってえ!」
思わず頭を抱える。どうしよう。いや、バラしてしまった物はしょうがない。落ち着けと言い聞かせて一呼吸。
そして私は、彼に真実を告げた。
「実は君、人間じゃないんだよね……」
二人はきっと、昔から仲が良い。こんなことになるくらいには。
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