表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
季節をこえて君といたい  作者: 木幡慎一
16/22

十五話

遅くなりすみません!

投稿が遅れている、もしくは遅れそうな場合は活動報告に次回の投稿予定日を書いておきますので興味のある方は覗いてみてください!

 教室に戻ると、僕はすぐに五、六人の男子に囲まれ、再び廊下に連れ出される。

 正面に立った髪が短い以外に特徴のない男が興味心というよりは殺意のある表情で「おい、お前まさか、宮園と付き合ってんのか?」と僕に迫った。すかさず周りの生徒が「宮園さんだろ? さんをつけろよ」とヤジを飛ばすが正面の男は気にせず僕を睨みつけている。

「え?僕が? そんな、誤解だよ。付き合ってないよ」

 そう答えると、僕を囲んでいるクラスの男子達は安心したのか強ばった表情を柔らかくした。安堵した表情みて、彼らは僕と同じくただの宮園さんのファンだということに気がつく。普段の行動は違えど、彼らは僕と同じく宮園さんをずっと見守ってきていたのだろう。

「そ、そうだよな、でもおかしいんだよ」と不満と切なさ入り混じった複雑な表情を見せる。

「おかしい?」

「そうだ! おかしい! なんで男に興味無いはずの宮園さんがお前にだけ話しかけるんだよ!」

 そうだ、おかしい!理不尽だ!、と周りの男達も同調した。

「それは、僕にだってわからないよ…… 」

「いいか? この世は理不尽だ。それは認める。俺がどんなに頑張っても、イケメンでいい匂いがして、オシャレで爽やかに笑顔を振りまけるやつには勝てねぇよ」

「いい匂いって…… そこはなんとかなるんじゃあ……」

「うるせえ! 俺が言いたいのはだ……」と僕の両肩に手を強く置いて目を見つめる。表情は真剣そのものだ。

「な、なに? ……」

「……お前も俺ら側だろ?」

「……」

 違う、と強く否定したかったが、僕にはできなかった。少し前までの僕は間違いなく彼ら側だ。

「…… 言ってることはわかるよ。でも諦める必要はないだろ?」

「諦める必要が……ない?」

 僕の言葉に彼は目を丸くして驚いた。

 なにを言っているんだこいつは?表情からそんは言葉が聞こえてきそうだ。

「そ、そうだよ。君の言う通り爽やかイケメンはたしかに実在する。でもそれを僕らが一番気にしちゃいけないだろ。戦う前から負けを認めるのは宮園さんが一番嫌うタイプのはずだよ」

 口ではこう言っているが僕の心はこの囲んでいる人達よりは上だという自負があり余裕をみせた。

「お、お前は、わかってない…… 残酷なこの世界を。勘違いを通りこしたやつが行き着く場所がわかるか?」

 彼はなにかに怯えていた。

「そんなの……」

「消えるんだ……」

「え? ……」

「勘違いをして失敗すれば女子の記憶からも消え、自分の記憶からもなかった過去として生きていかなきゃいけない」

 過去になにがあったんだろう、と多少気になったが、僕はこれ以上言っても無駄だと思い口を閉ざした。

 黙っていると「つ、付き合ってないのは、ほ、本当だろうな? う、嘘だったら許さねぇからな!」と真横で鼻息荒く興奮気味に別の男が声を荒らげる。斉藤と言う男だ。普段はおとなしく目立たないタイプだが宮園さんの事となると話しは違うらしい。

 そして、僕は彼を知っていた。彼とはよく授業中や休み時間に目が合う。

「き、君は…… たしか…… 斉藤くん?」

「な、なんだよ。お前と友達になんてならないぞ。いつも宮園さんのことちらちらみやがって」

 そう、この男と目が合う回数が多いのはお互いに宮園さんの事を見ているからである。酷い時は宮園さん越しにこの男と目が合い僕はなんとも言えない気持ちになった事がある。

「み、見てないよ。見てるのは君だろ?」

 友達になりたくないのはお互い様だよ、と言い返したくもなったがめんどくさくなりそうなので辞めた。

「なな、なんだと?」と斉藤はわかりやすく同様し顔を赤らめた。

「おい! オタクども!教室の近くで集まってなにやってんだよ! 邪魔だよ」

 男勝りの荒々しい口調でその声が沙也加さんの声だとすぐにわかった。

「お、お前は……」と正面の男が言うと沙也加さんは男に近づき「はぁ? お前ってウチに言ってんの?」と目を鋭くさせた。

「ご、ごめんなさい」男はすぐに謝った。僕が複雑な感情でその光景を見ていると沙也加さんが僕に気がつく。

「あれ? 海斗じゃん! なにしてんの!」

 周りの男達は沙也加さんに話しかけられた僕を驚愕の表情で僕をみている。きっと沙也加さんは彼らに恐れられた存在だったに違いないと察した。

「あ、沙也加さん、それが…… 相談を受けてたというか」

「相談? こいつらの? やめときなよ。それより、ちょっとあんたに話しあんだよね放課後付き合ってよ」

「え? 放課後はちょっと、どうしたんですか?」

「マジ? なんかあんの?」

 周りの男達が僕を睨みつけていた。言いづらそうにしている僕に気がついた沙也加さんは僕を囲んでいた男達に「ねぇ、あんたらいつまでもいんの? 消えて?」と凄むと男達はすぐに教室へと戻っていった。

「あ、ありがとう。今日の放課後は宮園さんの家に呼ばれてて」

「え?! 姫の家?! なんで?」

「なんか、お姉さんが来たとかで……」

「あ、真奈さん帰ってきたんだ、そっか、それじゃあ仕方ないからまた今度話すわ。でもあんた、真奈さんは手強いから気をつけなよ」と意味深な言葉を残すと沙也加さんも教室へ戻っていった。

読んでいただきありがとうございます!

評価や感想コメントお待ちしておりますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ