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幕間1秘書のマルシカ


 私は冒険者ギルドでギルドマスターの秘書をしているマルシカ。元冒険者の勘が働くのか、今日は朝から嫌な予感がしてならなかった。

「今日はお出掛けにはならないのですか?」

 珍しく真鍮の守り盾のメンバーが待機場に居たので声を掛けた。この時間、他の冒険者は既に仕事を請け負って出払っている。

「今日は休息日と決めていたのですが、いつもの癖で足が向いてしまったのですよ」

 リーダーのルベルカさんが、仲間の顔を見て苦笑いをしている。

「そうですか。たまにはゆっくり休んでくださいよ」

「そうしますよ。皆、解散するぞ」

 ルベルカさん達と話をしていると、入り口の扉が開いてミリアナさんが駆け込んできた。

「マルシカさん、助けて! タカヒロが!」

 息を切らすミリアナさんが泣きついてきた。

「マスターを呼んできて! 何があったの?」

 受付嬢に指示を出すと、落ち着かせるためにミリアナさんを椅子に座らせた。

「何があった!」

 マスターが凄い勢いで階段を駆け下りてきた。

「試練のダンジョンのボス部屋にミノタウロスが現れて、タカヒロが!」

「タカヒロが遣られたのか!」

 真鍮の守り盾のメンバーが全員、驚愕の表情を浮かべている。

 ミリアナさんが首を横に振っているので、大事には至っていないようだが要領が得なかった。

「落ち着いて、詳しく話せ!」

 マスターが険しい表情でミリアナさんを見詰めている。

「タカヒロを鍛えようと試練のダンジョンに潜ったら、コボルトキングが現れ、ボス部屋にはオーガじゃなくてミノタウロスが居たのです」

「本当なのか?」

「そんな話、聞いた事がないぞ!」

 マスターだけでなく、真鍮の守り盾も疑問の表情を浮かべている。ダンジョン内の魔物が変わる事は、今までなかった事なのだ。

「それで、ミノタウロスはどうしたのだ?」

「タカヒロが力を奪ったので、ボス部屋で倒れています」

「力を奪った? 要領を得ないが、タカヒロは無事なのだな?」

「うん。ボス部屋でミノタウロスを見張っています」

 ミリアナさんが大粒の涙を流した。タカヒロ君の事が心配なのだろう。

「真鍮の守り盾の諸君、力を貸して貰えないだろうか?」

「分かりました」

「マルシカ。試練のダンジョンに行くから、直ぐに準備をしてくれ」

「分かりました」

 職員に後の指示を出すと、馬車の準備をしてダンジョンに向かった。


 私達八人にとって試練のダンジョンはさほど危険な場所でもなく、駆け足で進んでいった。

「魔物がいませんね?」

「そうだな」

 殆ど会話もなくただただ先を急ぐと、一日でボス部屋の前に辿り着いた。

 ミリアナさんが急いで扉を開くと、土の壁に覆われていて中に入る事が出来なかった。

「タカヒロ、皆を連れてきたわよ」

 ミリアナさんが声を掛けると、突然壁が消えたので全員が驚いている。

 玉座のような椅子に腰を下ろしていたタカヒロ君が、ゆっくりと立ち上がったので安堵した。


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