超絶・思春期・自己発電(自慰)
ポン。『5』
ポポン。『3』
ポン。『なんと6』
ポーン『0』
ポポポポ『嘘つけ!』
俺たち『中町フォーエバークラブ』はグループチャットで『オナニーした数』を報告しあっている。
俺たちは全部報告するし何も隠さない。それが本当の友達だと思ってる。
中学生になってからは毎日オナ⚪ー回数を報告してからだらだらダベる。
東小のぬりかべ『壁山』と西小のドラゴン『竜崎』南小のハリケーン『風丸』そして俺。北小の雷『雷太』。
全員通う小学校は違ったが拳と拳で語り合った『心友』だ。
ポン。『なんだー?風丸はまだオナ⚪ーしらねんか?』
ポン。『んー?いつするかもどーすっかもわかんねー。俺。妹と同じ部屋だしさー』
ポン。『あーかわいそーに。握って擦りゃいいんだよ!とにかく擦れ!』
ポン。『やるときはかーちゃんに見つかるなよ!』
中1でオナ⚪ーしまくる俺ってヤバイのかな?もしかして風丸の方が普通なのかも知れない。少し不安になってきたが一度覚えたらあれは止められるわけがない。寝る前にあと一回やっとこう。
明日は日曜日!二桁目指すぞ!
・
ポン。『竜崎!なんかやべーかも!』
次の日。グループではなく俺に直接メッセージが来た。
ポン。『なんだ!?喧嘩か!?助太刀するぞ!』
ポン。『ちげー!オナ⚪ーだよ!なんか初めてイケそうな気がする!』
おいおい。そんな報告いらねーよ。初めてだからって興奮し過ぎだよ。
『なんかさ!オメーのこと考えてるとモワーッとしてさ!チャレンジしてみようと思ったんだ!』
やっ。やめろ!『目覚める』な風丸!最初が俺だと今後大変だぞ!
ポポン『しゃーー!多分イケた!これで俺もみんなと同じだよな?』
俺は『お疲れ様。ちゃんと拭けよ』と返してスマホの電源を落とした。
今日はもう……出来る気がしない。二桁は諦めよう
風丸は俺たちと同じ事をして会話に入りたい一心だったんだろーけど。なんかしんどい。
『え?』
この日は中学生になって初めて『フォーエバークラブ』で駅前に集まった。
学ランの3人とセーラー服の風丸。
「みんなに会えてうれしーぜ!」
⚪⚪中一年風丸楓子。名札にはそう書いてある。
風丸って名字だったのか。ってかお前女だったのか。
俺も他の二人も不良として動揺していないフリをしていたが一切下ネタをしない時点で風丸を意識しているのは丸わかりだ。
それなのに風丸から話をふってくる。
「なぁ『握って擦れ』って言ってたけど何を握りゃいーんだ?俺は摘まむぐらいしか出来なかったよ!いーな!!お前らは握れて!」
女だと分かった瞬間に意識してしまう自分と自分の息子が情けない。
俺たちは解散するまで半日前屈みで過ごした。
『雷太!お前のおかげだよ。ありがとーな。また手伝ってくれよ。じゃーな』
解散する直前に風丸は俺の肩を抱いて耳元でそう言った。
ゾワゾワしたしゾクゾクしたし腕に当たったほんのり柔らかい感触が忘れられない。
単純過ぎる俺は風丸を好きになってしまった。
ポン。『なぁ今日はみんな何回した?なぁなぁなぁ』
ポン。『いや。もう俺らそーいう話やめにしねぇ?』
ポン。『うんうん。そーだな』
ポン。『はー!?折角俺も覚えたのに~!ブーム終わりかよー』
ポン。『と、ところで俺。今日は三年と喧嘩してよー』
ポン。『マジ?勝ったよな?雷太!?』
次の日俺は貧血で学校を休んだ。
恋の力は恐ろしく俺は二桁弱という自己新記録を達成した。
……結果倒れた。
自分の性欲に自分で自分が怖くなって俺は父さんに相談した。
『世の中の男の9割は似たような経験があるから気にすんな』
と父さんは言い、俺にパソコンを買ってくれたのだった。
毎月のこづかいの他にウェブマネーカードをくれた。
・
・
「笑い話だよなぁ」
「いいお父さんだよ本当に」
楓子と結婚して何回この話をしただろう。
何度でもしたい俺たちの初恋の話。