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たのもぉ~!なんてやらない

お越しいただきありがとうございます。


ちょっと胸糞悪い回です。

 やってきました異世界ギルド!!


 突撃隣の晩〇飯!な勢いで二階建ての建物の前にやってきました。田舎の地域公民館よりは大きいけど、役場よりは小さい。二階建ての建物の一階正面はガラス張りで中が見えるどうやら受付と大きな掲示板があるようで、小説とかの定番である食堂や酒場的なものはなさそう。テーブルとイスはいくつか置いてあるようだけど、飲食用というよりは打ち合わせようって感じで筆記具が備え付けてあるように見える。


 人の出入りは多いらしい。頻繁に人が出入りしている。


 ちょっといろんな意味でドキドキしながら人の流れにのって建物の中に入っていく。入って正面のカウンターに目を向けると、いくつかに分かれているらしくカウンターの上に「冒険者登録・Fランク」と書かれただいぶスカスカのカウンターに並ぶ。字が読めてよかった。


 私の前には何かの草を麻袋にいれたのを持つ子供が数人グループになっている。


 これがパーティってやつか。


 服装もTシャツ短パンサンダルとかじゃない。子供だけどちゃんと皮の胸当てしてるし腰には短剣を下げてる。


 おお。これぞ異世界。


 よほど見すぎたのか。最後尾、つまり私の前にいた犬耳の男の子に睨まれた。なんだかごめんなさい。って気になってちょっと視線を外すと、メンバーと思しき一人の女の子がこちらを見てニコッと笑った。


 つられてニコッと笑うとピンク頭のツインテール女子が話しかけてきた。ウサギの獣人ポイ。


 「あなた、このあたりじゃ見ないこね。ここのギルドは初めて?」


 「あ、はい。今日この町について今から登録を……。」


 「そうなの?でもその年で登録って大丈夫?得物もずいぶんあってないように見えるけど?」


 え……。


 ちょっとわからなくて少し黙ってしまった私は悪くないと思う。


 確かに私は二〇代だから遅いと思われているのかもしれない。この世界がいくつで働きだすか知らないけど。


 や、まって。何気にディスられたよね?かわいい顔して恐ろしい。ってか、名に持ってても私の自由じゃないのか?


 「えっと。自分が使う武器に制限なんて聞いたことありませんが何か問題でも?」


 あくまでラノベの話だが。あえて言う必要はなかろう。


 「問題とかじゃなくて身の丈にあうものを使いなさいって言ってるのよ。」


 なんで見ず知らずのウサギにそんなこと言われなきゃいかんのか。しかもなぜか初対面で上から目線だ。なんなんだろうこの子。


 「初対面の方に身の丈なんて図られたくないんですが。」


 「はぁ!?人が親切で言ってんのに何なの劣等種の人間のくせに。」


 つまりこの世界で人間は下に見られるのか。めんどくさいな。誰だよ獣人がいいやつって言ったの。あの光か。うそつきめ。


 「種族でしか個人を図れないような目測なら程度とお里が知れますね。」


 「なんですって!」


 「後ろがつかえてるんで早くしてもらえますか?あなたの番ですけど。」


 受付のおねぇさんが「次の方~」と呼んでいるのでわざと言ってみた。一触即発感があったけどああいう手合いは本気で相手いたら負けだ。よく見ればパーティにほかの女の子はいない。所見にこれだけ突っかかってくるってことはそういう子なんだろう。


 「おい、うちのミミに難癖付けてんじゃねぇよ。」


 お~い。耳が馬鹿なのか?難癖付けてきたのはそちら様ですがぁ?


 というかあの子、ウサギでミミって小学校の飼育ウサギレベルのネーミングである。ちょっと笑いをかみしめた私は悪くないと思う。ちゃんと我慢してあげたもん。


 そうか、あのピンクちゃんミミちゃんか。ならなんだかいろいろ仕方ない気がしてきた。


 ここは私が大人になろうではないか。


 「……。」


 「おい、聞いてるのかよ。」


 「……。」


 聞こえてます。無視してるだけです。返事して難癖付けられたなんて言われたらたまりませんから。


 「おい!」


 犬のせいだからですかね?キャンキャンうるさい。耳が痛い。……あ、だめ。笑いそう。


 笑いを我慢していると今度は横から声がした。


 「おいピーター!絡んでんじゃねぇぞ。」


 「絡んでんじゃねぇよ。礼儀を教えてやってるんだ。」


 なんですかねぇ礼儀ってぇ~。それがこの世界の礼儀なら私はいらないかなぁ。


 「一方的に絡んできただけじゃん。」


 「あんだと!」


 「はぁ~、きゃんきゃんうっさい。」


 「おれはミミの忠告を聞かないお前にだなぁ!」


 「そのミミちゃんは終わったみたいですがあなたはいいんですか?それとも順番を譲って下さると?」


 「んなわけねぇだろうがっ!」


 すごい大股で行ってしまった。はぁ。やれやれ。


 と、思っていたら隣の列からさっきのわんこ君に話しかけていた猫耳のやつがニヤニヤしながらこっちに来た。もうその段階でめんどくささが漂う。


 「お前見ない顔だな。」

 

 「ソウデスネ。ハジメマシテ。」


 なんだろうこの絡み具合。チンピラしかおらんのか。


 「珍しい得物持ってんじゃねぇか。俺鑑定持ちなんだ。見てやろうか?」


 男の言葉に周囲がどっと笑ってニヤニヤしてる。


 え~。雰囲気悪すぎじゃないここ?なんなのさ。


 「必要ありません。順番が来ましたので失礼します。」


 受付に文句言いたいくらい柄悪いなここ。だが受付のお姉さんは我関せずだ。


 「ご用件をお伺いします。」


 「冒険者登録をお願いします。」


 「ではこちらに記入をして、この針で血を出しこのプレートに垂らして。」


 ちょいちょい。お姉さん態度尊大でない?


 言われた通りに記入してみた。日本語で。どうやら通じたようだ。


 ファンタジー!や、あの光の采配か。


 差し出された針で人差し指を指して血がぷっくり出たので垂らすっていうよりなすりつけるとドッグタグのようなものが反応して文字が現れる。


 血液つかうってことはDNA反応する鉱物があるってことなんだろうか。やばいな異世界。


 「では以上で登録は終わりになります。ギルド利用と規約はこちらに記載してますので目を通しておいて。」


 渡された分厚い本を床に叩きつけたい衝動をこらた私をだれかほめてほしい。


 「アリガトウゴザイマシタ。」


 カウンターから踵を返すとまだいた。ウサギと犬とさっきの鑑定士もどき。


 明らかにこっちのいく手を阻んでいる。


 よけようとしても体をずらして通せんぼしてるし周りもニヤニヤしてるだけで何も言わない。マジでなんだここ。


 「なんですか。」


 「身の丈に合わないその剣は俺がもらってやるよ。」


 なんだこの鑑定士野郎。今度はカツアゲか。


 「何ですかその泥棒宣言。それがこの町の常識なんですか?」


 「ああ?仕立てに出れば調子に乗りやがって。」


 どこの三下何だろう気が遠くなりそうだ。言葉が通じなさ過ぎてもう嫌だ。


 きっと使って見せれば黙るんだろうけど……。


 や、こんなとこで真剣で大立ち回りなんてしゃれにならないし、私はこの世界で誰かを傷つける度胸もまだないのだ。


 しょうがない。


 少し下がって助走をつけて天井にある梁をつかんで揺れた反動で唖然としてるウサギの顔面を踏み込んで大きくジャンプすると反動を殺すために受け身をして一度転がると鑑定士もどきが剣を抜くのが見えたので鞘事腰から抜いて右足で踏み込むと同時に鞘だけを腰に戻し、柄を引き抜き下から振り上げて男の喉でぴたりと止める。


 その間、男は刀身がまだ鞘から抜けてもいない。


 「まだ何か用ですか。」


 「な、なんだよ。ちょっとからかっただけじゃねぇか。」


 「そうですか、では今後は話しかけないでください迷惑です。」


 いうが早いか顎からそらした刃を立ち上がりに合わせて斜めに振り上げて迎えの鞘に納めると、こんな所に長居は無用と冒険者ギルドを出た。


 

白いいぬ科の人々「グルルルルルルルルルル」

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