ギルドと見せかけて
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一体ここはどこなんだ。
アスファルトでなく石畳の小道は嫌でも異世界を彷彿とさせる。
「これはあれか。異世界の定番……んん!ステータスオープン!」
……何にも起きない。
「ステータス!」
何も出ない。
「オープン!」
何も起こらない。
「待って!異世界転生って言ったらチートスキルの安心安全勝ち組人生が定番でしょ!?ってか人に人権丸ッと無視のハーレム淫行ルート強制するんだから何かないの!?せめて魔法チートとか、生産チートとかいろいろあるでしょ!?まさか下級神だから何もできないとか無責任言わないよね!?見守るだけしかできませんなんて前時代の小説にありがちな悲劇のヒロインごっこ神じゃないよね!?」
誰も見てないからってちょっとハッスルしてみた。きっと見守る系神様なら神罰もなかろうとか思ってないよ。たぶん。
するとピコンって電子音のようなものが聞こえる。
『スキル採取の鬼を取得しました。スキル制作の鬼を習得しました。スキル、職業転身を取得しました。称号、神の恩恵を取得しました。称号、神へのぼやきを取得しました。称号、神の願い代行者を取得しました。スキル採取取得により採取道具を装備できるようになりました。スキル制作を取得により制作道具を装備できるようになりました。』
どこからか聞こえたアナウンス終了とともに頭の上にボスッとなにかが落ちてきた。落ちてきたんだと思う。
「鞄?」
頭から落ちたのは茶色い斜めかけの鞄である。
「誰の?私がもらってもいいの?それとも交番とかに届けるべき?」
地面に落ちた鞄を条件反射で拾って上を見上げ、周囲を見回したが何もなかった。
拾った鞄をじっと見つめるとどこからか言葉が浮かぶ。
『魔法の鞄。いろんなものがそれなりな感じで入る。所有者:風音ましろ』
それなりってどれなりだろう?
思わず鞄を開けて手を入れるとエクセルを思わせるような表が浮かんでくる。最小の方にはツルハシ、オノ、釣り竿、のこぎりなどいくつかの道具が入ってるようだ。
いくつか……たぶん道具は10個もない。あ、お金が入ってる。ありがたや~。
まぁ、何もないよりましか。それよりも称号!神へのぼやきって確かにぼやいたけれども!
これ誰かに見られたらリンチとかされないよね。
何がどんな影響を及ぼすかわからない。
そういえば服装が変わっている。ティーシャツに棉パンだったはずなのになぜか紺色のワンピースに靴もスニーカーから編み上げブーツ。
なのにウェストにまかれた日本のベルトが日本刀を支えている。
「変な感じ……。」
とにかくこんなところに突っ立っている場合じゃない。路地を少し歩くと大きな道に出た。
しかし規模を見るに大都市というわけではなさそうだ。
とにかく探すなら冒険者ギルドってとこだろう。もう異世界での定番。やるならこれでしょう。
そう思って歩いていると本屋を見つける。読めるかどうかは置いといて地図くらいは入手しておきたい。
静かな店内にカランカランとカウベルのような音が響いてちょっとドキドキしつつも入ってすぐのレジと思しき場所に見える角を見るにもしや羊さんだろうか獣人が多い世界だって言ってたし。
第一村人発見!
や、村かどうかはわからないけど。
「すいません、この町の地図かこの町周辺の地図はありますか?」
できるだけ丁寧に。第一印象は大事。そう思いながら騒がしくないような声量で話しかけると羊さんは目を見開いた後にすっと細めた。
「はいはい。地図はこちらですよ。」
顔だけ見ると性別どころか感情すらわからない。
案内された場所はたくさんの折りたたまれた紙がある。勧められたのは町の周辺地図の裏にざっくりと町の商業地図が書かれたものだ。
ありがたいことに言葉も通じるし文字も読めた。商業地図の中に冒険者ギルドを見つけたので勧められた地図をレジに持っていく。
地図を包むか聞かれたので必要ないこととお礼を伝えるとまたお目目が大きくなる。横向きの瞳孔を嫌う人もいるけど私は割と平気できれいだなって思った。
さぁて、冒険者ギルド目指しますか!
いぬ科「まだかなぁ~。」