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覚醒

「殿!殿!」


なんだか耳元が騒がしい


「一体なんだ」


「殿!もうお昼時でございますぞ!」


目を開けると顔の濃い熊のような大男が僕に向かって話しかけていた


「あなたは誰ですか?、ここはどこですか?」


「殿、まだ寝ぼけておられるのですか?権六(柴田勝家)でございますぞ。ここは殿の寝室ではありませんか」


殿?勝家?


僕は夢でも見ているのだな


「誰かはわからないが夢の中で騒がないでください」


そう言い僕は寝返りを打とうとした、しかし枕が異様に固い



なんだこれ


体を起こしてみると昨日まで僕が使っていた枕とは違い畳のようなものだった


「はは、まるで戦国時代だな。僕はどうやらかなり精巧な夢を見ているらしい、よし!」


僕は体を起こし先ほどの大男に顔を向けた



「あなたの名前は何というのですか?」


「殿、先ほどから一体どうなされました。口調がおかしいですぞ。それに私は権六にございます。お忘れですか?」


権六?柴田勝家じゃあるまいし。


「権六、ならばここはどこか説明してくれ。」



「殿、ここは殿の城の寝室にございます、先ほど丹波殿が殿をお呼びになってましたぞ」


「丹波?丹波長秀か、まるで僕は信長じゃないか」


僕は僕夢のクオリティに笑いが込み上げてきた。見渡してみると部屋も畳張りでふすまで区切られている


すると権六と名乗った大男は大きな口を開けながら笑った



「はははは!殿は何をおっしゃりますか!殿は天下の織田信長公にあられるではありませんか。昨日も『我は第六天の魔王なり』と酒の席でおっしゃていたではありませんか。さては殿昨晩の酒がまだ抜けてないのでありますな!はははは!」


第六天の魔王



いや織田信長でしょうに。僕が信長とかついに頭までおかしくなったのだな。とりあえず夢から目を覚まさねば。本当に頭がおかしくなる


でもどうせ夢なら一度でいいからあの人に会いたい


「権六さん、明智光秀には会えませんか」


そう、光秀様に僕は会いたい。夢でもかまわない



「殿!さんをつけるのはやめてください。それに光秀の野郎に一体なんの用があるというのですか。用ならばこの権六に何なりとお申し付けください!」



「いや僕は光秀様に用があるんです。」


「光秀様?殿、一体どうなされたのですか。さては光秀の野郎が殿になんかしたのですね。この権六、奴に白状させまする」


「いやいや、なにもされてないよ。光秀をよんでくれ」


「そこまでいうのならば、承知しました」


そういうと大男はすこし嫌そうな顔をしながら部屋を出て行った



うわ、すごい襖だな。この夢は本当にリアルだ


ゲームに熱中しすぎてここまでの領域に達したか



布団から体を起こし自分の着ている服も浴衣のようなものだということに気が付いた


しばらく部屋を眺めていると襖の先に気配を感じた



「殿、お呼びでしょうか」


「誰ですか?」


僕の心拍数はかなり上昇していた。誰かはおおよそ見当がついたが、その答えを待つかのようにあえて聞いた


「光秀にございます」


「そうか、入れ」


そう言うと襖があいた。そこにいたのはきれいにまげを結い凛々しい顔立ちの青年が座っていた


ゲームや文献とは少し違うがそれでも思っていたとおりの人だった


「そんな、夢みたいだ。会いたかったです!」


「殿?お体の具合はいかがですか?柴田様がおっしゃられていたとおりいつもとはちがいますね」


「それに、会いたかったとおっしゃられましたが昨日もお会いしたではありませんか」



僕は先ほどから妙な違和感を覚えた。うれしさもあったが心の底で気づいてはいけない何かが見えてくるようで怖かった


恐怖を打ち消すために目の前にいる憧れの人にすがった


「光秀さん、ずっとお会いしたかったんです。握手してください!」



「殿、恐れ多く存じます。今日はすこしお休みになられた方がよろしいかと。後で医者を呼びますので安静にしていてください。それでは」



そういうと光秀は襖を閉め行ってしまった


どういうことだ。僕の夢なのに拒絶されてしまった



心の底から違和感がふつふつと押し寄せる


だんだんと頭が痛くなってきた


「う、いたたたたたた」


めまいもしてきた


頭を抱えていると襖があき初老の男と、小柄なかわいらしい男の子が立っていた


「殿!いかがいたしましたか?蘭丸が参りましたぞ。医者の者もつれてまいりました」


蘭丸?森蘭丸か夢も随分とリアルな設定じゃないか


頭痛はやむことなくむしろ強くなっていった



すると当然激痛が走り、僕は気を失った



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