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鬼姫  作者: 及川
8/15

出会い(8)

「よし、学校行くか」

 準備も終わり、後は学校に行くだけ。そこで全裸の少女が起きて来た。

「……お兄さん、何処行くの?」

「学校」

 御主人様じゃなかった事が若干残念な俺。変態ルートまっしぐらで御座います。

「それより、昨日の続きやろ?」

 全裸の状態で抱き付いて来る。止めろ、廃人となる前に止めろ。ちゃんと学校には行きたい。

「……昨日あれだけ泣き叫んだくせに」

「だ、だってあんなに痛いとは思わなかったもん」

 狼狽する少女。……少女って呼ぶの怠いな。

「お前、名前は?」

「私? 私はユーリ。お兄さんは……御主人様ね」

「やっば、俺シャワー浴びてないや。ユーリも浴びる?」

 御主人様に反応してしまった俺は、ユーリを半ば無理矢理風呂場に連れ込み、石鹸やシャンプーじゃない白い物体を出したりして過ごした。二時間くらい。

「いやー、スッキリしたけど遅刻だぁ」

 気絶したユーリをベッドに寝かせ、パンを咥えながら家を出る。

 そして気付いた。

「遅刻確定してるなら、ゆっくり朝食を取れば良かったじゃないか……!?」

 戻るか? ……戻るしかないのか!?

 俺の馬鹿な思考は、エレベーターが一階に到着したチーンという音と共に消えた。

 欠伸を噛み殺しながら自動ドアをくぐり、一言。

「わーお、サプライズゲスト」

 目の前にはニメートルはある黒服の男がいた。

「いかにも……って感じですなぁ」

「ちょっと来てもらおうか」

 台詞もいかにもって感じ。つまらん。

「へい! かかって来な、モンキー」

 なんて言いながら自分で突っ込む。

「はぁっ!!」

 俺が放つは全力の右ストレートもとい、全力の寸止め。

「殴るわけな……ゴフッ」

 しかし、男のカウンターが鳩尾に入った。

「……あっ」

 暗くなる視界に、汗をダラダラ流す男が見えた。

 ついて……ねぇ。

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