出会い(8)
「よし、学校行くか」
準備も終わり、後は学校に行くだけ。そこで全裸の少女が起きて来た。
「……お兄さん、何処行くの?」
「学校」
御主人様じゃなかった事が若干残念な俺。変態ルートまっしぐらで御座います。
「それより、昨日の続きやろ?」
全裸の状態で抱き付いて来る。止めろ、廃人となる前に止めろ。ちゃんと学校には行きたい。
「……昨日あれだけ泣き叫んだくせに」
「だ、だってあんなに痛いとは思わなかったもん」
狼狽する少女。……少女って呼ぶの怠いな。
「お前、名前は?」
「私? 私はユーリ。お兄さんは……御主人様ね」
「やっば、俺シャワー浴びてないや。ユーリも浴びる?」
御主人様に反応してしまった俺は、ユーリを半ば無理矢理風呂場に連れ込み、石鹸やシャンプーじゃない白い物体を出したりして過ごした。二時間くらい。
「いやー、スッキリしたけど遅刻だぁ」
気絶したユーリをベッドに寝かせ、パンを咥えながら家を出る。
そして気付いた。
「遅刻確定してるなら、ゆっくり朝食を取れば良かったじゃないか……!?」
戻るか? ……戻るしかないのか!?
俺の馬鹿な思考は、エレベーターが一階に到着したチーンという音と共に消えた。
欠伸を噛み殺しながら自動ドアをくぐり、一言。
「わーお、サプライズゲスト」
目の前にはニメートルはある黒服の男がいた。
「いかにも……って感じですなぁ」
「ちょっと来てもらおうか」
台詞もいかにもって感じ。つまらん。
「へい! かかって来な、モンキー」
なんて言いながら自分で突っ込む。
「はぁっ!!」
俺が放つは全力の右ストレートもとい、全力の寸止め。
「殴るわけな……ゴフッ」
しかし、男のカウンターが鳩尾に入った。
「……あっ」
暗くなる視界に、汗をダラダラ流す男が見えた。
ついて……ねぇ。