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鬼姫  作者: 及川
14/15

出会い(14)

第一部終了です。

「――お兄さん」

 あんな話しをした後では出来る事も出来ない。なので廊下でぼーと過ごしていると、何時来たのか分からないがユーリに声を掛けられた。

「どうした?」

「いや、何も。……ただね、」

 一拍置いて一言。

「魔力が荒れてるなぁ〜と思って」

 相も変わらずゴスロリ姿のユーリは、そう言うとふふっと笑った。

「何があったのかは知らないけど、お兄さんは変わらずお兄さんでいてもらわなくちゃ、私が困るよ。

 ぶっちゃけお兄さんはどうでもいいんだけど、私にとっては大切……というより重要な人だからね」

 ……どうでもいいけど重要? どっちが正しいんだ?

「だって……私の願い事を叶えるには、お兄さんが必要なんだもん」

「願い……事?」

「そう、願い事。私がずっと叶えたかった夢。私が生きているうちに描いた夢じゃなくて、私が死んでから思い描いた夢」

 ……そういえば、ユーリは生者ではなかった…………あれ? 何故だ? 初めて会った時、初めて俺がユーリを見た時、俺はユーリを左眼で視た。なのに何故、今のユーリは右眼で見ている?

「……夢って、何だ?」

 無意識のうちに言葉を漏らした。……いや、意識した上で、無意識に言葉を漏らしたのかも知れない。


「私の夢、それはね――」


 長い……いや、永い空白。


「――死ぬ事、だよ」


 ユーリの口から出た言葉は、以前から知っていた。初めて会話した時も、死にたがっていた。

 それでも俺は、息を呑んだ。

「だからね、お兄さん」

 その続きは、言われなくとも分かる。


「約束だよ? 絶対に私を殺してね?」




 こうして、俺はユーリとお互いがお互いと共に存在する理由を完全に理解した。

 俺という存在はユーリの望みであり、ユーリという生きた死者は俺の希望でもある。

 そう。この瞬間、完全にお互いの利害が一致した。

 陳腐な言葉を用いるなら、この瞬間こそが必然であり、運命だったのかも知れない。



いや〜結局第一部、終わりました。第二部……というか、第二章が何時更新かは分かりません。……夏休み、欲しいな。

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