出会い(10)
「昼食、人数は多い方が良い。友達でも呼びなさい」
やる事もやった俺は巫条を放置して部屋を出た瞬間メイドに拉致られた。そのまま引っ張られて来た場所が客間。メイドが言うには昼食が出来るまで暇潰ししろと。
仕方なしにぽけーとテレビを見ているとその人はやって来た。
巫条の父親にして退魔師、屋敷の現当主の巫条殺陣脇。漢字を聞いたら焦った。
まぁ、取り敢えずそんなこんなで俺は友達を呼ぶ事になった。
『……もしもし』
「あっ、間違えた」
即座に通話終了ボタンを押す。
いやぁ、メールで住所打った方が速いはず。わざわざ電話しなくて良かったし。
一人でうんうんと頷きながら早夜にメールを打つ。
俺を嘗めるなよ。俺は『女子高生みたいでキモい』と実の母親に言われた程のボタン連打技能を持っているんだぜ。
取り敢えず早夜には住所と『早く来い、学校さぼって来い』とだけメールする。
しかし、数秒後『死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死ね』と返事が来た事には驚いた。
俺はそれを華麗に無視してユーリに電話する。
『……はい』
俺の部屋にある電話機に電話するともの凄く眠そうな声が聞こえて来た。多分、今の今まで寝ていたのだろう。
「あー、俺だ俺」
ちょっと意識してオレオレ詐欺に挑せ『お兄さん!?』速攻失敗。しかし、嬉しそうな声が聞こえて来た。
「そっから大きい屋敷的なもの見えるか?」『……うーん、見えない』
「そっか、じゃあ」『あっ、見えた』
見えないなら仕方ない。じゃあなとだけ言って通話終了しようかと思ったが、どうやら見えたらしい。
「だったらその屋敷まで来い。以上」
それだけ伝えて一方的に切る。
「……眠い」
知らず知らずに疲れが溜まっていたらしい。俺は欠伸を噛み殺しながら、客間にあったソファーに横になる。
「うわっ、何だこれ」
やたら柔らかい。これが金持ちと貧乏人の違いってやつか。
ボケてても仕方がないので、俺は意識を手放した。