明日香パート
次は明日香の一人称パートです
今日はいろんなことがあったと思う。最近気になっていた先輩をたまたま下校中に見つけて尾行していただけなのに山の中に入っていくことになってあんな小屋に行くことになるなんて思ってもいなかった。
正直高校生にもなってあんな古い小屋に集まって遊んでるなんて思わなかった。
私にはあんなに仲のいい幼なじみいないから羨ましいなぁ。
それにしてもあの3人の集まりというのはなかなかおかしなものだと思う。
天草先輩は剣道部の主将で、一見すると普通の高校生で、リア充っぽい雰囲気まであるのに、実際はかなり変な人で、どちらかと言えば他人から近寄られないタイプだと思う。放課後にあんなところにいって複数人でゆっくりするタイプだとはおもってなかった。どちらかと言えば、1人でぶらぶらしながらふらっと雑貨屋さんに入ったり、本屋でよくわからない文学作品を読んだりしてると思っていた。きっと私と昔会って話したことがあるのも忘れてるんだろうなぁ。
最初に初めましてって私が言ったことに対するツッコミがなかったし。
雨宮先輩は今日が初対面だったけどなんか少しイメージと違ったなぁ。廊下とかで見た感じだともっときゃぴきゃぴしててもっと華やかな人たちと街の方に行ってカラオケしたり甘いものをたべたりしてるイメージだったのに。
話してみると意外と表裏が合って本当はあっちは演技というか周りに合わせてるって感じで今日の話し方とか仕草とかが自然なんだろうなって感じだった。
そして早乙女先輩。あの人が1番あのメンバーの中ではあそこにいるのが意外だった。
基本的に学校では誰かと楽しげ話しているのは愚か、楽しげ誰かと一緒にいるところすら見たことがない。いつも何か難しい顔をしているか、本を読んでいる。もしくは3年のヤンキーっぽい先輩に絡まれてるかって感じだ。
だから学校の中にいるとき良い意味か悪い意味かは別にして比較的目立つ2人と一緒にいるのは驚いた。
何より驚いたのは2人と一緒にいて違和感がなかったことだ。
2人が合わせているのか、あれが本来の早乙女先輩なのかはわからないけど、とにかく自然に話して、自然に笑っていて驚いた。
あんな表情ができるならもっと周りと話したり、遊んだりすればいいのに。
今日私は、また嘘をついてしまった。
私がストーキングしていたのは天草先輩なんかじゃない。早乙女先輩だ。
私にはときどき不思議なことが起こる。本当のことを言いたくても言えないときがある。
頭が急にズキンと痛んで、次の瞬間私は意識の外に追いやられて嘘をついてしまう。
どんなときに嘘をついてしまうのかはイマイチわからない。
でも感覚的にいうと、私の言葉には本心からの言葉と相手に合わせて言う言葉があって、割合としては1割に満たない、本心からの言葉。その中の特に大事な言葉を言おうとしたときに嘘をついてしまうのだと思う。
そしてこの嘘つきの現象、この正体はきっとこの街に伝わる呪いのようなものにあるのだと思う。
昔、友達から聞いた。きっと1回や2回じゃきかないと思う。結構な回数聞いているだろう。
でもどんな呪いに関する噂も大したものではなかった。
大きく分けて2パターン。1つ目のパターンは呪いとはなんなのかに関する話。これに関しては友達からも多少は聞くが、多くの場合、近所おばあちゃんから聞かされたような気がする。
近づくと呪いにかかる場所とか、どんな呪いがあるのかとかそんな感じのもの。
2つ目のパターンは呪いにかかっている人に関するもの。こっちはほぼ全て友達からの情報だ。同級生が呪いにかかっているとか先輩が呪いにかかっているとかそんなの。
そのうち9割以上はホンモノの呪いである可能性すらないと思われるもの。
ただそんな中、1人だけ、ホンモノの呪いだと思える人がいた。それが早乙女先輩だ。
彼の呪いの噂は彼は二重人格になる呪いを受けていて、たまに人格が入れ替わることがあるという噂だった。
最初に噂を聞いたときは半信半疑、いや、ほとんど嘘だろうと思っていた。もしくは、よく似た誰かと見間違えたとかそんなところだろうと思っていた。
でも違った。あれはあきらかに二重人格といっていいものだった。
あれは確か今年の春だったと思う。私は塾の帰り、夜の10時くらいに商店街を歩いて家に帰ろうとしていたのだが、商店街を半分くらい行ったところで突然雨が降り始めた。
少しくらいの雨なら走って帰っていたところだったのだが、その時の雨は、少し強く、この雨に濡れたなら参考書や、頑張って作った単語帳はもちろんボロボロになるし、私も風邪を引いてしまうだろうという強さのものだったので、私は仕方なく古書店の屋根の下で雨宿りをすることにした。
なかなか止まない雨と英単語帳とを順番に眺めて感覚で10分くらいがたった頃、私は突然声をかけられた。
「雨、降られちゃいましたね。」
制服から察するに同じ学校の人だとわかった。おそらく私と同じく塾の帰りだったのだろう。
「ほんと、突然降り出して、嫌になっちゃいますよね」
「傘、よかったら使ってください」
そういって彼は持ち手にカラスのマークの入った黒い大きな傘を私に差し出した、
私は最初、もうすぐ止みそうですからいいですと断ったのだが、彼はこの雨日が明けるくらいまで止まないんですよといって笑って半ば強引に私に傘を押し付けて去っていった。
次回も明日香視点でお送りします




