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青色模様  作者: 海老優雅
8/11

明日香さん追加(主要メンバーはほぼ揃いました。)

明日香ちゃん追加です!

その日も俺たちは三人で秘密基地で過ごしていた。

 最近、ここに向かっているときなどにはよく、高校生になって秘密基地というのもどうなんだろうと思うのだが、なぜか毎日ここへ来てしまう。

 雨宮は窓際で最近流行っているのだという携帯小説を眠そうに、時折お茶を飲んだり眼を擦ったりしながら読んでいる。天草は左の耳にイヤホンをつけて音楽を聴きながら宿題をしていた。

 俺はそんな二人を見ながら何をしようか考えていた。が、まぁここで俺がすることなんて限られている。まぁとりあえず本でも読もう。かばんの中に入っている本は二種類。

 一冊は今流行りのアイドルの書いたらしい小説。昨日たまたま妹と連絡を取ったときに妹が勧めてきたものだ。べた褒めしていたためどんなものかと思ったのだが、そこまで心に響くと言う感じのものではなかった。題名には少し惹かれるものがあったのだが、内容はまあどこにでもあるという感じのものだった。

 おそらくこれを読む人の多くはいままでろくに文学作品に触れ合ったことのない人たちで、これを執筆している人の所属しているアイドルグループのファンなのだろうなと思った。

 いや、べつにこの小説の内容自体を批判する気は全くない。俺の好みに全く合わないというわけではないし、読むのが苦痛だというタイプでもなかった。ただ休み時間に読みきるまでに何度かチャイムなどとは関係なく自らの意思で何度か本を閉じてしまったというくらいだ。

 俺はいままで国語の教科書や、なんとなくかっこいいと思って読んだ本以外では、ラノベ以外読んだことがないから、文法がしっかりしているとか、話の構成がいいだとかあんまり分からない。ただ読みながら引き込まれるかどうかで判断するしかない。それと後は内容以外の周辺情報。そのときこの小説は作者のスタンスだとか内容だとかであまり楽しめなかったというだけだ。

 きっと作者を知らされず、あとがきを読まずにこれに触れていたならもっと面白く読めただろう。残念だ。

 妹には適当におもしろかったとでも言っておこう。

 もう一冊は北原白秋の詩集。

 本屋でたまたま目にして開いてみて最初に目に入った邪宗門とタイトルのつけられた詩が俺の心を打った。俺は学者ではないからどこがすごいとかそんなことをうまく説明できるわけではない。もしかしたら現代ではカタカナで書かれる単語の漢字表記をなんとなくかっこいいと思っただけなのかもしれない。越歴機(エレキ)風琴(オルガン)喇叭(ラッパ)…見つけては覚えて学校の講演会の作文の宿題なんかに中学生の頃はよく使ったものだ。もうすでに一周はしているのだが、まだ全然解読できている部分は少なく、いつもカバンの中に入れて持ち歩いてたまに開いて読んでいる。

 

 空に真赤な雲のいろ。

 玻璃に真赤な酒の色。

 なんでこの身が悲しかろ。

 空に真赤な雲のいろ。

           (北原白秋『空に真赤な』より)

 

  数編読んだところでざっという音が聞こえて、俺は入り口の方を見た。いつもなら虫か風かと思い気にも留めないのだがそれとはまた違ったように思えたからだ。

 他の二人も同じようで訝しげに入り口の方を見ていた。

「俺、ちょっと見てくるよ」

 そう言って俺は本を閉じて入り口の方へと向かった。

 おそらく野良犬野良猫、もしくはイタチというところだろう。しかし開かれたドアの先に居たのは犬猫畜生ではなく、一人の女の子だった。

俺はとりあえずその女子を中へ入れた。

「はじめまして先輩方?同じ学校の一年の明日香奈々瀬です。よろしくお願いします?」

「えーと明日香さんはここでなにしていたのかな?」

「あ、奈々瀬でいいですよー雨宮詩乃先輩ですよね?私はまあなんていうか散歩していただけですよ」

「って言っているけどどう思う天草」

「んー正直ただの散歩でここまで来るとは思えないな。俺だってここのことはこの前早乙女をストーキングして初めて来たようなところだしな」

「え、何お前やっぱり俺のことストーキングしてたのかよ。普通に引くんだけど」

「天草くんってやっぱり変だよねー」

「変だなんて心外だなー。オレはただ早乙女のことが心配だっただけだって」

「あのーなんか話がずれてる気がするんですけど私の話じゃなかったんですかー?」

「そうだったな。それでなんでこんなとこに居たんだ?俺もちょっとただの散歩でこんなところに来るとは思えないんだけど」

「多分誤魔化せないと思うしなんかさっきの会話聞いて少し安心したんで正直に言いますけど私も天草先輩のことをストーキングしてたんですよねー」

「だってよ天草よかったな」

「オレみたいな人間をストーキングしてくれる人がいるなんて、嬉しいな」

「それで、先輩たちの方こそこんなところで何してるんですか?」

「ああオレたち三人は幼馴染なんだ。それで昔からよく放課後ここに集まってるんだよ」

「おい天草、お前は幼馴染じゃないだろ」

「まあまあそういうな。これ以上話をややこしくしたくないんだよ。まあもしあの子が頭いい子だったらさっきのオレの話との矛盾に気付いちゃっているだろうから少しまずけどまあ大丈夫だろ」

「えーそうなんですかーびっくりですー。でもすごいですね。昔からの幼馴染が高校生になっても仲良しなんて、映画みたいですー」


「ま、まあね」

 雨宮も少し戸惑っているようだったがすぐに状況を整理して対応しているようだった。

「ほらな気づいてないだろ?」

「まあ、たしかに。」

「でもここいいところですねー。雑音もほとんどないし、空気も美味しいし、この小屋の中もかなり綺麗ですし」

「まあ中に関しては雨宮がこまめに掃除してくれてるからな」

「へへへ。確かにここの空気おいしいし雑音も少なくて落ち着くよね。あ、あとここ夕日も綺麗なんだよ」

「へーそうなんですかー。ロマンチックですねーへー私も今度見てみたいですー」

 さっきからなんていうかこの子の話し方はへーとかあーとか相槌が多い気がする。それから基本的に相手に同意する言葉が多い気がする。不思議と雨宮も似たような話し方になっている気がする。

 これがイマドキの喋り方というやつだろうか。

 基本的に相手に同意し、相槌を打つ。相手に不快感を与えないように時折自分の意見を入れる。最近の人、いや昔の人もかもしれないが、このスキルがないと最近は友達ができないのだから困ったものである。

 それからしばらくとりとめのない話をした。

「あ、私そろそろ友達との待ち合わせなんで失礼しますー。またお話しましょうねー」

 そういって謎の一年生明日香奈々瀬は帰っていった。


次第に大きく動き始めます。

台風みたいなもんです。

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