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第五話:出立

「……どうしたんですか、これ」

白波は面食らったように言う。

「逃がして仲間を連れてこられては困るのでな、縛っておるのだ」

「いや、それは分かりますけどなんか凄まじい眼で睨まれてますけど」

「なに、少し『質問』させてもらっただけだ」

村長はニヤリとしながら言う。

「えーと、具体的には?」

「そうじゃな、ここをこうしてこうすると……」

そういって村長はとても言えないような事を……

「え、えーとやっぱりいいです用事はなんでしょうかはい」

白波が遮る。村長は真面目な顔に戻った。

「こいつから聞き出した事だが、この村の正面に広がる森の中にこいつらのアジトがあるらしいのだ」

「アジト……ですか」

「そう、こいつが帰ってこないことを不審に思い、盗賊一味にこの村に攻め込まれるかも知れぬからな、そこでだ」

「そのアジトを先に叩く、というわけですか」

「そういうわけだ。だが、この村で最も強い男はあの鉄男だ。やつが怪我して動けない今、この村に戦える人手は無い」

「なるほど、で、私がそこに行けばいいんですね?」

「そういうことになるな……引き受けてくれるか?もちろん礼は出そう。頼む。」

村長が頭を下げる。

「そんなやめてください、顔を上げて」

白波は困ったように言う。

「分かりました、引き受けましょう」

「本当か!!」

「その人を倒しちゃったのは私ですし、特に急ぐ旅でもないので。私の力を役立てられるなら」

「本当に…感謝する」

村長は再び深く頭を下げる。

「だからいいですってそんな……そのアジトはどのへんにあるんです?」

「ああ、こいつによると木に目印があるらしい。村の入り口から西側に見える白い岩から、葉の色が少し違う木をたどって行けばいいそうだ」

「なるほど、ならさっそく」

そういって白波は席を立ちかける。

「もう今から行くのか?なにか必要なものは無いか?」

村長が呼び止める。

「いえ、大丈夫です。急いだ方がよさそうですしね」

「そうか、ならせめてこれを」

そういって村長は赤い宝石のはまった腕輪を差し出した。

「わが家に伝わるものだが、少しくらいは身の守りになるだろう」

「え、いいんですかこんな…」

「こんな老いぼれが持っていても役に立たんからな。それでは武運を祈る」

「ええ、行ってきます」

そういって白波は村長の家を出た。


「はぁ!?お前なんでそんな危険なことを……」

驚き呆れたように言うのは鉄男である。

「でも、私が行かなきゃこの村が危ないんだろう?なら行くしかないよ」

森へ向かう準備を整えながら、白波は言う。

「そんな荒仕事は俺が」

「でも君は怪我をしてるじゃないか。いいからここで待ってて」

「んなこと言ったって…クソ、村長もただの旅人になんてことを」

「ただの旅人とは失敬な、これでも腕に自信は…」

「分かったよ、でも約束しろ、生きて戻ってくるってな」

「ああ、もちろん」


こうして再び森へ向かう白波。そこで待ち受けるものとは…

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