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借賊(あらすじを読んでください)  作者: 甲斐谷 郡児
第二章:真実を求めて
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第三十七話:『閉じ込める』

「なんなんだ……?こいつは」

「この人には船の上で一回会ったことがある……けど」

明らかに様子がおかしい……!

「君はその斧の……妖精?か何かなの?」

白波がデビッドらしき人物に問いかける。

「妖精ぃ!?とてもそんなんじゃねぇだろ、この眼光は!」

ジャックが横から慌てたように言う。

「……お前も変わったものだ、妖精だなどと」

そう白波に返すデビッドの眼差しには驚きと軽蔑、何より大きな恨みがこもっていた。

「生憎と、記憶が無いからね、私の事を知ってるのなら、こっちが教えてほしいくらい」

「フン!腑抜けたものよ!お前がここまで早く来るとは予想外だが……奴らが焼け死ぬまで眠ってもらおうか!」

「一体なんでそんなことを!」

「まだお前に会うわけにはいかなかったのでな……そんな面妖な味方まで付けているならばなおさら!そいつには死んでもらおう!」

「面妖で悪かったなぁ、俺にはお前の方がよっぽど面妖に見えるがな」

「……与太話はここまでだ、覚悟するがよい!」

デビッドは背負った槍斧を両手に構えた!

「俺を舐めると怪我するぜ……」

対するジャックは……徒手空拳!もちろん白波もだ!

「フン!強がるな!武器も無しにどう戦うつもりだ!」

「こうするんだよ……ッ!お嬢!走れ!」

「えっ!?」

ジャックは突如背を向けて走り出した!白波も慌てて後に続く!

「フン、賢明な選択だ……寿命がやや延びたと言う意味でな」

デビッドはゆっくりとした動きで後を追う!

「いいかお嬢!一回大幅に時計を戻す!奴も巻き戻りに気付いているようだが、なんにせよこのままじゃあ分が悪い!」

「分かった……!」

そして玄関までたどり着き、勢いよく扉を開け……

「なッ!?」

……られない!

「どうしたの!?」

「あっ……開かねぇ!?」

「なんで!?」

「分からん!突き破るぞ!」

ジャックは身を引いて……扉に思いっきりタックル!だが!

「ぐふぉあ!?なんだこりゃ……石の塊にでも突っ込んだ気分だ……」

扉はびくともしない!

「こいつの『能力』を説明していなかったな……」

後ろから迫るデビッド!

「こいつの『能力』は……『閉じ込める』能力だ、お前たちはもう出られない」

「なるほど……『熱』を『閉じ込め』てたって事か……」

「納得してる場合かッ!追い詰められたぞ……!」

「ジャック」

「なんだよ!?」

「しばらく、素手で持ちこたえてね」

「おう……えっ!?」

振り返ると……そこには!

「私の『能力』……見せてなかったね、後で説明するよ」

壁に張り付く白波!

「おっ、お前!?何をするつもりだ!?」

「多分どこかに武器くらいあると思うからさ!すぐ戻ってくる!」

そう言い残すと、白波は素早く天井を移動し、奥に消えた。

「お、おい!……くっそ!」

ジャックは頼りなげに拳を構える!

「俺は肉体労働担当じゃねぇんだよ……!」

「ふん、お前を殺せばあとはどうとでもなる……覚悟せよ」

「来いよ!俺はなかなか死なねぇぜ!」

「ほざけ!一撃で終わらせてやろう!」

デビッドは大きく振りかぶった槍斧を……振り下ろす!

「くっ……!!」

ジャックは手を伸ばし、目を閉じた……


「武器……なにか手頃な……」

白波は個室の扉を片っ端から開けて武器を探す!

「ろくな物が無い!やっぱり海の男は自分の体が武器なのか……」

最後の扉!素早く開け放つ!

「やっぱり使えそうな物は……ん?これは……」


「な……なんだと……?」

デビットは我が目を疑った……渾身の力で振り下ろしたはずの斧が……空中で止まっている!?

「ハァ、ハァ……これをやるとよぉ、すげぇ疲れるからあまりやりたかねぇんだ……しかも生きるか死ぬかの瀬戸際でよぉ……」

デビッドの体が……『巻き戻って』いく……!

「戻れ……もうちょっと……!」

そのままデビッドの後ろに回りこむジャック!

「よしッ!喰らえッ!!」

能力の解除とともに背中に蹴りを叩き込む!

「ぐはっ!?」

勢いよく振り下ろされる斧の勢いと蹴りのせいで膝をつくデビッド!

「はっ!いい気味だ!」

口でそういいつつ、ジャックは一目散に奥へと逃げた。


「お嬢!なんかあったか!?」

「いやその……これくらいしか……」

「えっ……いや、それでどう戦うんだよ……」

「……ごめん……でも素手よりマシだよ」

「でも流石に無理があるぜ……その『釣竿』じゃあ」

「……あいつはどうしたの!?そういえば!」

「ああ、上手く逃げてきたが……そのうちまた追いついてくるぜ」

「あのさ」

「なんだ?」

「あいつの本体は……多分あの斧なんだよ」

「……さっきもそんな事言ってたが……つまりはこうか?斧が意思を持ってて、人を操っちまう、ってか?」

「多分……」

「おいおい、勘弁してくれよ……ぞっとしないぜ」

「だからさ、きっとあの斧をあいつの手から離せれば、無力化できるはずなんだ」

「……分かった、あの筋肉の塊を倒すよりは可能性がある」

「おのれ!!許さんぞ若輩者め!」

「来たぜ……!」

「うん」


再び、相対した二人と一人。

「この私を愚弄したことを……後悔させてやる!」

片や、筋骨隆々の肉体に大業物の槍斧。

「悪いが、後悔はしない性格なんでね」

「時間が無い、さっさと始めよう」

片や、武器は釣竿のみ。

決着の見えているかのような戦いが今、始まる……!


続く

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