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借賊(あらすじを読んでください)  作者: 甲斐谷 郡児
第二章:真実を求めて
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第二十九話:憑依

「この盾……すごく重いですわ」

ソフィアがリディアを探しつつ呟く。

「この槍と同じ材質のようだけれど……こんなの見たこともないですわ」

そう言いながら盾をしげしげと眺める。

「? 何かしらこの窪みは……?槍にも突起が……もしかしたら」

ソフィアは槍の突起を盾の窪みに合わせた。

「やっぱりピッタリですわ……きゃっ!?」

そのまま盾は自動的に半回転、変形し斧刃を形成した。ソフィアは驚いて槍斧を取り落とす。

「……なるほど、だから紫輝様は『槍か斧』なんて変な命令を……」

納得しつつ拾おうとしたとき、斧刃が妖しく輝き出した。

「っ!?」

ソフィアは目を閉じた。


『ここは……?』

目を開けたソフィアの前には闇が広がっていた。

『お前は誰だ?』

『!? 誰ですの?』

ソフィアが振り返るとそこには白い影。

『質問をしているのは私だ、答えろ』

『その声は……紫輝様!?』

『シキ?……生憎と人違いだ』

『え、でも……』

『そんな奴は知らぬ』

『そんな……』

『そんなことより私の質問に答えろ、お前は誰だ』

『……答える必要はありませんわ、ここはどこですの?』

『なるほど、ソフィアか……』

『なっ!?』

『ここで嘘をつくことはできんぞ……ここはお前の精神世界』

白い影が指差す先を見ると、そこには

『私はソフィア、紫輝様の忠実なるしもべ』

と空間に浮かぶ文字が。

『……ならばなんでここにあなたがいるんですの!?出て行きなさい!』

『お前が呼び起こしたのであろう?』

『何の話ですの!?そんなことより!早くあの小娘を片付けなきゃ……』

『それもシキとやらのため……というわけか?狂信ほど愚かで……脆弱な物は無い』

『それ以上……それ以上言うとどうなるか……』

『私の知ったことでは無いわ……面倒な奴め、しばらく眠っておれ』

『あっ、何を……!』

白い影はソフィアを包みこみ、そして……


「あっ、いたぞ!」

鉄男がソフィアを発見し叫ぶ。

「その斧!返してもらうぜ!白波をどうした!お前は何者だ!」

「落ち着け……耳障りぞ」

喚く鉄男に返すソフィアの声は身も凍るような恐ろしさを纏っていた。

そしてゆっくりと振り返り……

「!?」

鉄男をまっすぐ見据えるその目は酷薄な緑色に輝いていた。

「ふむ……この体は手足が長くてよいな」

ソフィアは自分の体を見つつ満足げに呟く。

「何訳の分からないことを言ってる!白波をどうしたんだ!」

「落ち着けと言っているだろう……白波?誰のことだそれは……」

「とぼけるな!お前がその斧を持ってるって事は……まさか……」

「ほう?白波とはあやつの事か?そんな名になったのか」

「……なんだ?ただとぼけてるだけにしては様子が……?」

「……まあ、あやつの事などどうでもいい、どうせ死んではおらんだろう……そんなことより」

ソフィア……のような何かは、言葉を切って鉄男を見た。

「……ふむ、お前『能力持ち』では無いのか……?それにしては上質な魂だ……」

そして何事かを呟きながら斧を構え迫る!

「な、なんだ!来るな!」

鉄男は剣を構えつつも圧倒的な威圧感に圧されて後ずさる。

「お前の魂を頂く……私もいつまでもこんな状態でいるわけにはいかんのでな」

そういいつつ、ソフィアは斧を振り上げる……が!

「くっ……!?体が上手く動かん……」

「な、何か分からんが……喰らえ!」

鉄男は突如として膝をついたソフィアに切りつける!

「小童が!舐めた真似を!」

ソフィアは咄嗟に回避するものの、腕を負傷!

「おのれ、『能力持ち』でも無い屑が調子に乗りおる……クソっ、使えん体だ!」

ソフィアは背を向けて逃げ出した!

「なんだ、何が起こっているんだ!?何だこいつは!?くそっ!待て!」

鉄男は後を追う!

「待って、待ちなさい!鉄男!」

やっと追いついたリディアも息を切らして後を追った。


『何をやっている!下手をうてばお前も死ぬのだぞ!』

再び精神世界……眠っていたソフィアの精神体は覚醒している!

『……私は……紫輝様の忠実なるしもべ……私はあの斧を持ち帰る……絶対に!』

そう叫ぶソフィアの目はどこか危険な光を孕んでいた。なんという凄まじい執念!

『チッ、狂信者め……』

『ここは私の精神世界……そう言いいましたわね……?なら!』

突如!白い影の立つ辺りに巨大な亀裂が!

『なっ……味な真似をッ!!』

白い影は大跳躍で回避!

『やっぱり、ね……さあ、容赦はしませんことよ!』

ソフィアは空中から取り出した投槍を上空の影に投擲!凄まじい速度で迫る!

『いい度胸だ……生きては帰さんぞ!』

影は素早く槍を打ち払い、急降下して着地!自らも斧を創造しソフィアに斬りかかる!

『生きて帰さない……?笑えるジョークですわ!ここは私の世界!生きて帰れないのはあなたよ!』

ソフィアが手を翳すと先ほど打ち払われ、砕けた槍の破片が影に襲いかかる!

『小癪な飛び道具で私を倒そうなどと思わぬことだ!』

斧を横薙ぎに薙いで破片をすべて払い落とす!そしてそのまま遠心力を乗せた回転攻撃だ!

『いいですわ、剣は淑女の嗜み……ですわッ!』

それをソフィアは生成した一振りの長剣で受ける!

強烈なインパクト!発生した衝撃波により互いに後ずさる両者!

『ほら!かかっていらっしゃい!』

ソフィアは片手で手招きをして挑発!

『減らず口を!すぐ叩けぬようにしてくれるわ!』

影は得物を長槍に変形させ、構えて突進!残像が見えるほどの速度だ!だが!

『ぬうッ!?なんだ……これは……!』

その勢いは急にゼロへと減少!何故なら!

『ずいぶんと安い挑発に乗ってくださること……ここは私の精神世界、そう教えてくれたのはあなたよ』

影の足元には鎖が雁字搦めに巻きつき、捉えて離さない!罠だ!

『おのれ……貴様!』

『恨み言なら死神にでも聞いてもらうことですわ……死になさい!』

ソフィアは影に接近!剣を高く掲げるように構え、一刀両断……!するかに見えたが!

『待ってくれ!ソフィア!』

『!?』

気付けば目の前に立っている影は……紫輝へと姿を変えている!ソフィアは攻撃を躊躇った!

『フン、だから狂信はもろいと言うのだ……その躊躇が命取りだぞ!』

『紫輝様を……愚弄するなッ……ぐふっ!?』

怒りのままに振り下ろそうとした腕に力が入らない……!

たった今自分が吐いたものはなんだ……?血?まさかそんな……

胸に違和感が……その違和感の正体―――深々と刺さった長槍を確認したその直後、ソフィアは斃れた。


「やっと……自由になったわ」

ソフィアは急に立ち止まり、振り返った。

「!! やるか……!」

鉄男は身構える。

「! な、何よこいつ……」

追いついたリディアは異様なオーラに戦慄する。

「お前も……その後ろの小娘も……その魂を頂く!」

そう言い放つ、ソフィア……だった者はその緑色の目を輝かせた。


続く

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