第十一話・1
俺は今、学校の近くにある喫茶店に来ている。
「あの……」
「どうしたの?」
「なんか、すみません」
「ん? 何が?」
「えっと……」
俺の目の前には黛さんが座っている。例によって、学校の帰りに呼び出されてこの喫茶店に連れ込まれたのだ。
しかも、奢ってもらってしまった。これでいいのだろうか……
問題はそれだけではない。男子高校生と女子大生が二人で喫茶店にいるというのはどうかと思う。しかし、黛さんはまったく意に介していないようだった。
「まあいいわ、とりあえず祠堂以外にも『成香』がいるかどうか、心当たりはある?」
そうだ、俺と黛さんの目的はあくまで柏先輩を守ること。何を一人で舞い上がっているんだ俺は。しっかりしないと。
あの事件から一週間が経った。
祠堂先輩は自宅謹慎となり、自主退学も考えているという。
柏先輩も先生方から話を聞かれたようだが、襲われる心当たりは無いと言い張ったそうだ。つまり真相は、俺たちしか知らない。
そして、『成香』。棗の影響を受け、柏先輩を殺そうと狙う存在。
死者の影響を受けて特定の人物を殺そうとするとは信じ難いが、祠堂先輩を初め、柏先輩に暴力を振るったり殺そうとする人間たちがあの学校にいるのは事実。
柏先輩が自らの無事を望んでいない以上、俺たちが守らなければならない。
しかし……
「正直言って、見当もつきません。僕はまだ学校に入って日が浅いですし」
「まあ、そうよね。『成香』が棗に影響されて生まれるのなら、棗の死を見ていない一年生には『成香』はいないだろうし」
確かに、一年生はまだ柏先輩の存在すら知らないはず。彼女を狙う人間など……
「柏先輩って、ミステリアスな所がかっこいいよね!」
……その時俺は、ふと彼女のことを思い出す。
そうだ。彼女は入学前から柏先輩を知っていた。それも彼女のファンを名乗っている。
もし、それが柏先輩を殺したいという願いによるものだったら?
「黛さん、一人だけ心当たりがあります」
「え?」
「あのとき、俺と一緒にいた佐奈霧さんという女子生徒です」
「あの子? でもあの子は一年生でしょ?」
「いや、それが……」
「お話中のところ失礼するよ、黛くん」
突然の声に、会話が断ち切られた。
俺は知っている。この低めな女性の声を――
「……エミ」
コーヒーの入ったマグカップを持った柏先輩と、トレイを持った樫添先輩が俺たちの横に立っていた。
「ふむ、私を守るための作戦を立てているのかね? 私でなければ歓喜していたところなのだがねえ」
「先輩、もうこんなことはやめてください!」
思わず大声を出してしまったので、店員さんがこちらを見る。俺はそれを一礼して謝ったあと、再度柏先輩に向き直った。
「私にやめるやめないの権限など無いよ。全ては『彼』の意志だ」
「エミ、私たちはそれを止めるために動いているのよ。あいつの意志を砕くためにね」
「なるほど、それで樫添くんが私を監視しているわけか」
柏先輩が後ろにいる樫添先輩を見る。樫添先輩はどこか気まずそうな顔をしていた。
「私は……別に監視しているわけじゃ……」
「まあいいよ。君たちがどんな計画を立てようと、私がどんな抵抗をしたとしても、『彼』はその上を行く。君たちが見るのは、葬式で棺に収められた私の死体だ。その結末は変わらないよ」
「俺たちは、それを絶対に阻止します!」
「くっくっ、いいさ。それより折角こうして喫茶店にきたのだから、仲良く談笑でもしようではないか」
柏先輩は樫添先輩と共に、俺たちの横の席に座って、テーブルを寄せた。
……いい機会だ。今こそ聞いておきたいことがある。
「柏先輩」
「なんだね?」
「聞かせていただけますか? あなたと棗の間に何があったのかを」
俺の発言に黛さんと樫添先輩が顔を強ばらせたが、柏先輩は微笑みを絶やさなかった。
「ほう、興味があるのかね?」
「正直言って、先輩の思想は間違っているとしか思えません。ですから、その思想のきっかけになった出来事を知ることが出来ればあなたの考えを矯正出来るかもしれません」
「萱愛……」
黛さんは尚も不機嫌そうな顔をしていたが、今は柏先輩の話を聞きたい。
「ふふふ、いいだろう。まずは私と香車くんの出会いから話そうか」
そこからの柏先輩の話は衝撃的な事実が次々と出た。
まずは棗が柏先輩との事件以前にも、人を殺そうとしていたこと。
その時は柳端が止めたそうだし、俺は中学一年のころは棗に出会ってすらいなかったから気づきようもなかったが、それでも自分の身近で起こったことだ。完全に他人事ではない。
さらに柏先輩はそれを見て棗に接触を試みたというのだ。
普通ならそんなことは考えない。そんな人物に関わろうとはしない。どうやら柏先輩は棗との出来事以前から、異常な思想を持っていたようだ。
その後の柏先輩や黛さんたち、棗とのやりとりはおおむね黛さんから聞いたとおりの話だった。
棗はM高の屋上で柏先輩を殺そうとし、黛さんたちに阻止されて自殺した。
それを聞いて、俺の心にどうしようもないほどの後悔が襲う。
「くそっ!」
思わずテーブルを叩いてしまった。
「ど、どうしたの?」
「俺は……同じクラスなのに何も気づかなかった! 棗にも何か悩みがあったはずなんです! だから現実逃避の手段として殺人なんてバカげた行為に走ってしまった! 俺が親身になって悩みを聞いていればこんな事態には……」
棗はきっと、何か強いストレスを抱えていたのだろう。そして精神を病んでしまい、柏先輩を殺そうとした。
それが失敗した結果、自殺したのが精神を病んでいた証拠だ。
俺のせいだ。俺の……
だが、後悔に苛まれる俺を黛さんはどこか冷ややかな目で見ていた。
「ま、黛さん?」
「萱愛……あんた何もわかってないわね」
「え?」
「まあいいわ。この事で言い合っても無意味だし」
何だ、何の話をしている?
「と、とにかく! 柏先輩は棗との一件より前からそんな考え方だったんですね?」
「そうだよ。私は子供の頃に劇的な出来事に遭遇してね。それが今の私の根幹を成している」
「子供の頃?」
「ああ、もう十二年も前になるかな? 私が六歳の頃に目の前にある人物が亡くなってね。私はその人物の遺志を継いでいる」
……十二年前?
「あ、あの柏せんぱ」
「おっと、このことはまだ君に話すべきではなかったね。この話はこれまでだ」
「え?」
「さて、日も落ちてきたしそろそろ帰るとしようか。暗い方が『彼』も狙いやすいだろうからね」
「残念だけど、エミは私と一緒に帰ってもらうわ」
「おやおや、私の友人は全くスキを見せてくれないようだね」
そして柏先輩は黛さんに連れられる形で店を出ていく。
「それでは萱愛くん。私が生きていたらまた会おう」
縁起でもない発言をして、柏先輩は帰っていった。
「……柏ちゃんを守るには、結構骨が折れそうね」
横にいた樫添先輩はつぶやく。そういえば、この人とはあまり話したことがない。いい機会だから聞いておくか。
「あの樫添先輩。柏先輩とは同じクラスなんですか?」
「いいえ、私は別のクラスなの。だから柏ちゃんを守るのも一苦労」
「そうですか。じゃあ柏先輩によく会いに行っている佐奈霧っていう女の子については知っていますか?」
「……」
一瞬だが、樫添先輩は無言になった。しかしすぐに俺の質問に返答する。
「……名前と顔は知っているし、柏ちゃんによく会いに来てることも知っているけど、それだけね」
「そう、ですか」
まあ、佐奈霧さんは柏先輩によく会っているから樫添さんに存在は知られているだろうけど、それ以上は知られようがないか。
「……わかりました。とりあえず、俺も帰ります」
「ええ、それじゃあね」
俺は喫茶店を後にした。
家に帰ると、珍しく母親が先に帰ってきていた。
「ただいま」
「おかえり、こーちゃん。今日は遅かったわね」
「ちょっと寄り道をしてた。母さんは今日は早いんだね」
「ええ、仕事が早く終わってね。でもこーちゃん。寄り道はあまり感心しないよ?」
「う、わかった……」
母親と交わす他愛のない会話。だけど俺は、今の会話に少し寂しさを感じていた。
「か、母さん」
「なに?」
「えっとさ、その『こーちゃん』っていうのはどうにかならないかな。もう俺、高校生だし」
「あら、母さんにとって、こーちゃんはいつまでもこーちゃんだよ?」
「う、うん……」
母親が息子を愛称で呼ぶ。別に不自然なことではない。
だけど俺は……
母さんから『小霧』と一度として呼ばれたことがなかった。
翌日の朝。
俺は柏先輩の教室の前に立っていた。
もし佐奈霧さんが柏先輩を狙うつもりなら、朝のうちにここに来て彼女を呼び出すかもしれない。クラスメイトを疑いたくはなかったが、これも柏先輩のためだ。
だが俺の前に現れたのは意外な人物だった。
「……あれ、柳端?」
「……」
柳端は俺の言葉に返答することもなく、何も言わずに俺を見ている。
何で柳端がここに? こいつは柏先輩が嫌いなんじゃないのか?
そういえば、柳端は棗に関して何か知らなかったのだろうか。いや、知っていたはずだ。知っていたからこそ棗を止めようとして刺されたんだ。
「柳端、棗がやったことは黛さんから聞いたよ」
「……!」
その言葉に反応して、柳端はこちらを睨みつけてきた。
「なあ、棗はどういった悩みを抱えていたんだ? きっとあいつは大きなストレスに耐えきれなかったんだ。そうなんだろ? そしてお前はそれを知ってあいつを止めようとしたんだろ? でもどうして俺に相談してくれなかったんだ?」
「萱愛……」
「俺たちはクラスメイトじゃないか。俺に相談してくれればきっと棗を……」
その時。
「ぐうっ!!」
突然俺の視界が激しく動く。それが、俺が柳端に殴られたせいだと理解するのに数秒かかった。
倒れはしなかったが、大きくよろめく羽目になった。
「な、何をするんだ!」
「お前、お前なら香車を救えたというのか!? 柏の手から!? 何もわかっていないお前が!?」
棗を救う。やはりあいつは大きな悩みか何かを抱えていたのか……
「棗は柏先輩に恋心か何かを抱いていたんだろ? それが叶わないから暴走した。そうじゃないのか?」
「……柏 恵美は人の心を惑わす悪魔だ。香車は何も悪くない」
「柳端、全てを柏先輩のせいにするのは良くない。棗が暴走したという現実を受け入れるべきだ」
「……」
例え棗の暴走に柏先輩への想いがあったとしても、全責任を柏先輩が負わなければならないなんてことは無いはずだ。
「『現実を受け入れろ』だと? 自分に都合の悪いことは一切聞き入れないお前が?」
「え?」
「自分の考えは正しいと信じて疑わず、『自分は他人の間違いを正してやっている』という傲慢な思想に囚われたお前が? 冗談のレベルが高すぎて笑えないな」
「な、何を言っているんだ? 棗も柏先輩も間違っているじゃないか。俺の言っていることの何がおかしいんだ? むしろ棗を全面的に肯定しているお前こそどうかしている!」
もしかしたら柳端も棗の死以降、精神を病んでいるのかもしれない。だから棗の死の責任を柏先輩に被せようとしているんだ。
「萱愛、一つ言っておいてやる。お前があの場にいたら、香車を助けることは絶対に不可能だったよ」
「……!」
「おやおや、君が人を殴るとはね。随分と珍しいものを見せてもらったよ」
その時、教室から柏先輩が出てきた。
「大丈夫かね、萱愛くん? どうやら唇が切れているようだが」
「え?」
唇に手をやると、指に赤い液体がついた。殴られた時に切れたようだ。
だが次の瞬間、柏先輩は自分のハンカチを俺の口に当てて血を拭う。
「せ、先輩!」
「じっとしていてくれないかな? 手元が狂ってしまう」
「だ、大丈夫ですよ!」
「まあいいじゃないか。ふむ、血は取れたようだね」
柏先輩は血のついたハンカチに指を当て、一滴の血を指にとる。
「え? なにを……」
「しかしね、君たちが見るのは私の血であって欲しいのだよ」
そして血のついた指を自分の首に押し当て、横に引く。
「……!」
「お前……!」
「『彼』はまだ私を狙っている。次に君たちが見るのは死体になった私かもしれないことを心に留めておきたまえ」
そして首に赤い線をつけた柏先輩は教室に戻っていった。
「……柏 恵美、俺はお前を許さない」
静かにつぶやいた柳端もまた、教室から離れていった。
一人残された俺は、この異常な光景に頭の処理が追いつかず、しばらくたたずむ他なかった。
昼休み。
俺は教室を出ようとした佐奈霧さんを呼び止めた。
「佐奈霧さん」
「どうしたの萱愛くん?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、大丈夫かな?」
「……うん、いいよ」
ちょっと不満そうな顔を見せた気がしたが、佐奈霧さんは教室に戻ってくれた。
「それで、何を聞きたいの?」
「あのさ、柏先輩のことなんだけど」
「……そのことなんだ」
あれ? 柏先輩の話題なのに何か残念そうな……気のせいか?
「入学前から先輩のことは知っていたの?」
「うん。お姉ちゃんが先輩と同学年だったからさ。それで知ったんだ」
お姉さんか。確かに柏先輩は目立つというか話題に出しやすい。家族から聞いていても不思議じゃないか。
「お姉さんは柏先輩の友達だったの?」
「いや、直接は関わっていないみたい」
「あれ、それじゃあどこで柏先輩と会ったの?」
「お姉ちゃんの友達に会いに行ったときに見たんだよ。すごい格好良くてびっくりしちゃった」
「それって、いつのこと?」
「確か二年くらい前だったかな」
二年前。
もしその時から柏先輩を知っていたとしたら、棗の事件も目撃しているかもしれない。
つまり彼女も――『成香』である可能性はあるのだ。
「あのさ……二年前にこの学校で起きた事件って知ってる?」
「事件? ああ、私たちと同い年だった中学生が自殺したっていう話? 有名な話だから知っているけど、なんでその話を?」
「いや、もしかしたら佐奈霧さんもその事件を目撃したのかなと」
「……うん、したよ」
「……!」
やはり佐奈霧さんは棗の死を見ていた。
ということは、彼女は……
「そういえば、その後からよけいに柏先輩が気になり始めたんだよね。なんでだろ」
間違いない。
彼女は、『成香』だ。
このままでは彼女は柏先輩への殺意を抑えられなくなるかもしれない。そうなる前に俺が止めるんだ。
しかし、どうする?
『成香』の詳細を話しても彼女が信じてくれるとは思わないし、そもそも彼女が『成香』なら俺の言うことに従わないかもしれない。
そうなると無理矢理にでも動きを封じるか? いや、彼女はまだ何もしていない。正当な理由なしにそんなことは出来ない。
ならどうする? 彼女を監視しているか?
それが一番現実的な気がする。もし彼女が決定的な行動に出たら力ずくで止めて説得すればいい。
全ては皆を守るためだ。おそらくそれが最善の行動。
昼休みが終わり、予鈴が鳴る。
「あ、昼休み終わっちゃった。じゃあまたね、萱愛くん」
自分の席に戻る佐奈霧さんを見て、俺は必ず彼女を止めると決心した。
放課後。
「じゃあ萱愛くん。私は柏先輩に会ってから帰るね」
「うん、また明日」
柏先輩に会いに行く。もしかすると、今日行動を起こすのかもしれない。
俺は佐奈霧さんをこっそり尾行することにした。
佐奈霧さんはなぜか三年の教室ではなく、柏先輩が昼食をとっている校舎裏に向かっていた。
なんでこっちに? 柏先輩は教室にいるんじゃないのか?
佐奈霧さんは校舎の角に立って校舎裏を覗いている。俺はひとまず佐奈霧さんから見えない位置から校舎の中に入る。
ここからなら窓から校舎裏が見える。いったい佐奈霧さんは何を見て……
「……!」
俺の目に映ったのは、一人でフェンスの向こうの崖を見ている柏先輩だった。
なんでここに!? いや、それ以前になんで一人なんだ!? 樫添先輩はどうした!?
これはまずい! もし佐奈霧さんが行動を起こすとしたら今しかない!
俺は校舎を出て、すぐそばにいた佐奈霧さんに声をかけようとした。
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私は『彼女』とは反対側の校舎の角から、柏ちゃんを見ている。
……これで、良かったのだろうか。
柏ちゃんは私に有沙の死を乗り越えさせてくれた。その点では彼女に感謝している。
だけど私は、どうあっても柏ちゃんの思想は理解できない。どこかで柏ちゃんに反発している。
だからだろうか、今回の『彼女』の計画に協力してしまったのは。
『彼女』の目的達成のために、柏ちゃんを利用してしまったのは。
「樫添さん」
突然背後から声をかけられ、振り返る。そこにいたのは……
「……黛センパイ」
「やっぱり、エミを一人にしたのね」
黛センパイの言うとおり、私は今、柏ちゃんの護衛をしていない。
わざと柏ちゃんを一人にしたのだ。『彼女』のために。
「黛センパイ、私は……」
「わかってる。エミに危険が及ばないのであれば、『あなたたち』の邪魔はしないわ」
「……知っていたんですね」
「ええ」
私は黛センパイから棗の影響を受けた『成香』の存在を聞いた。
そしてそれを『彼女』に話したのだ。
それを知った『彼女』は、私に柏ちゃんから離れるように要求した。私はその要求を断ることが出来なかった。
だって『彼女』は……
「樫添さん、私はあなたが萱愛のことを知っていたことを不思議に思ってたの」
「……あの男が柏ちゃんの病室に来たときのことですね」
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「黛くん、萱愛くんは私を助けてくれたのだよ」
「ご、ごめんなさい。私、エミが誰かに突き落とされたとばかり……」
「いえいえ、お友達を思っての行動なら、無理も……」
「え? 萱愛?」
「え、樫添さん知り合いなの?」
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「普通に考えれば入学したばかりの新入生のことなんて知っているはずがない。なのにあなたは知っていた。だから私はこう推測したの。『萱愛のことを誰かから聞いた』って」
「その通りです」
「そして誰から聞いたのか? おそらくその人物は萱愛と同学年で、なおかつ樫添さんと親交がある人物」
「それが『彼女』だと?」
「ええ、あなたは前に償いのためにエミに復讐しようとした。そしておそらく今回の理由も償いのため」
「……」
「以前、私はあなたの電話の着信履歴を見てしまったのよ。そしてあなたは頻繁にある人物と連絡を取っていた」
「黛センパイ、もう認めますよ」
「……その人物との協力関係を?」
おそらくセンパイは感づいている。ならば隠しても無駄だろう。
「はい、『彼女』……佐奈霧 緑は、皿椈 有沙の妹です」
「やはりそうなのね、そしてその子の目的は……」
「ご想像の通りです」
彼女の目的は柏ちゃんの殺害、
……ではない。




