プロローグ
俺は川上哲也。しがない農業従事者である。基本的にはいろいろな道具を使い、農地を耕し、政府に文句をたれながら生活をしている。
そんな俺は、きょうはトラクターを運転しながら、鼻歌交じりに施設の中を耕していた。
「さーて、あとちょっとでおわりか・・・。しかし、きょうも日差しが強い。遮光ネットつかってなきゃしんでるよこれは。」
そんなことをボヤきつつ、畑を耕している。
約30m前後、幅5m40cmのハウスは、ある程度広い。東京とかの一般家庭からすれば、かなりひろいだろうが。しかし、トラクターを運転している俺は、そんなハウスではせまいのである。
たとえば、そう。ハウスの出口のパイプに頭がひっかかってしまうくらいに。
「よし、こんなもんで・・・グェ!」
後ろを向いていた俺は、案の定パイプにひっかかってしまった。よくある、トラクター事故のひとつであった。
いつもはこうではない。普段より、すこし急ぎすぎてしまっただけだ。
しかし、俺は首の骨を折ってしまったらしい。
なんでかはしらないけれど、自分をちょっと遠くで見ている俺がいる。あきらかに、事故をおこして首から上がちょっと残念なことになっている。
うん、俺、死んでる。
親にはわるいけれど、俺は死んでしまった。ちょっと実感がわかない。なので、冷静になっている。
しかし、場面は切り替わっていく。
ないている親、姉貴、兄貴。兄貴には、苦労かけただろうな。どんくさい俺が、家を継ぐっていって聞かなかったわけだし。
姉貴にも、悪いことをした。こんど、一緒に飲みにいくはずだったのに。
最後に両親だ。1年前、じーちゃんが他界して、おちこんできたところにこれだ。すまない。すまない。
そんな場面をみながら、俺はゆっくりと目を閉じた。
「・・・・ん?」
俺は目をあける。真っ白だ。何もない・・・というのはアレで目の前に机がみえる。
その机の上には、箱。なにやら、1番くじのようにも見える。さらに紙も置いてあった。
---あなたはしにました。あなたは生前善行をつんでいたので、これを引くことができます---
どういうことだろうか。さっぱりわからない。
そこで、後ろから声が聞こえる。
「あ、今回なくなった方ですか?」
男とも、女とも取れない声が後ろから響く。
なんとなくは予想ができるが。
「あ、はい。」
そういって振り向くと、あまり特徴のない、整った顔のした、中性的な人物がいた。
「えっと、私はあなた方の世界で俗に言う天使、というものです。えっと、わかっているとはおもいますが、あなたは死にました。」
面と向かって言われるとちょっとショックである。
「ですが、あなたには罪があります。」
あー、わからないでもない。たしか、酒は厳禁だとか、両親より早死にはダメだとか。
「わかっているようでしたら、それでいいのです。で、あなたには転生をして、罪を償ってもらう権利が発行されました。」
ん?今しゃべってなかったような・・・・・・・転生?
「この世界とはそういうものです。ですので、おきになさらず。ええ、転生です。あなたの生前の善行によって救われた方も多々おりますが、その善行は罪を流すものではありませんでした。ですので、転生していただきます。」
へぇー で、何に転生するんだろう。
「そういったものがおきにくい世界へ旅立っていただくのです。これは修行の旅でもあります。あなた自身を磨く旅に。」
わかった、ようなわからないような。
「で、あの箱は何なのでしょうか?」
天使、にきいてみる。
「えっと、ですね。次の生によるほかにない、能力です。あなた方の言葉で言えば、チート、ですか。」
チート、か。そんなのにあこがれてきたけれど、人生、平々凡々だったからなぁ。しいていうなれば、女の子とあまり話せなかった、というのもあるね。
だけど、親の死に目を見られなかったのが、残念でならない。まぁ、死んでしまったものはしかたがないが。
「えっと、よろしいですか?」
「あ、はい。」
返事をすると、なにやらごそごそと箱を用意してくる。机にあった箱だな。
「そうです。では、この中から好きなカードを4枚、取り出してください。」
と、言うと箱を差し出してくる。どれにしようかな・・・とごそごそやっていると、早くしてください、という目でこちらを見てくる。
とりあえず1枚目。
「これです。」
「はい。ではですね、これは・・・自動回復、ですか。」
なかなかのチート能力である。これがあれば、下手に死ぬことはない。さて、2枚目だ。
よっと。
「これかな?」
ちょっとフランクになってしまった。
「えーっとですね。言語、閲覧能力、ですか。これは手があれば読み書きをすることもできますね」
ん?・・・まぁ要するにどんな言語も話せるし、聞き取れる。文字も書けるってところか。天才だな。天才。
次だ次。ん?この赤いカードは?
「あれ?それも混ざっておりましたか。ですが、引いたカードを戻すことはできません。ですので、あけさせていただきます。これは、ステータス、ですか。よくもまぁ。」
ステータスが見れるってのは、今の自分の強さを見れるってことだよな。よく考えたら、それもチートか。はずれだったりしてな。
「いえ、はずれじゃないです。大当たりですよ。さて、最後の1枚を引いてください。」
最後なので、覚悟をして引く。
「これです!」
っと取り出したカードは、普通の色。ほかのカードと変わらず。
「では、あけさせていただきますね。・・・・これは・・・大地操作、ですか。」
おお、最強クラスのチート能力だ。これなら、転生しても楽ができる。大地を味方につけて、勇者とか・・・ふふふ・・・
「では、お時間となりました。よい鉱生を・・・」
「え?」
不可解な言語とともに意識はブラックアウトしていく。さて、転生までおちついていこう!
えっと、がんばって書いていこうかな。できれば最後までかきたいところ。誤字脱字報告あったら作者が喜びます。