表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Grenze 境界  作者: 8X
2/11

選抜失敗

 盛大に尻もちをつきました。涙が滲みます。

 見回すと、さっきまで外を歩いていたのに今は室内です。古そうな床板と、薬の臭い。壁一面の本、並んだ悪そうな顔。

 「なんだこれは。」

 悪そうな中でも一番豪華な服を着てエラそうなのが、不満気に私を見ていました。

 なんだちみは、だったらちょっと面白かったのに。見た目も変だし。

 「魔人に対抗しうる者を選べと言ったはずだ。」

 私を挟んで反対側にさっきの猫。びくびくと小さくなっておびえています。

 「し、しかし、送り出された先にはそれらしい者が一人もおりませんでしたので…。」

 しゃべる猫はにょるん、と姿を変え、ちいさな子供の姿になりました。何これ!何これ!!

 「貴様、わしらが術に失敗したと申すか!」

 悪そうの一人がつばを飛ばしながら猫だった子供に詰め寄ります。悪そうなおっさんは全部で6人。みんなでぎゃーぎゃーと責任のなすりあいを始めたようでした。うるさいな。


 「まぁまて。もしかしたら高名な術者かもしれんではないか。娘よ、お前の得意とするものを教えてくれるか。」

 勝手に話が進行してると思って眺めていたところで、急に質問されたからあわててしまいました。

 「えっ、わ、私?えーっと…得意なもの、得意なもの…。あっ、カラオケ?」

 少し間があって、カラオケとはなんだ?とおっさんたちがどよめきました。

 「カラオケって歌よ。曲に合わせて歌うの。DAMとか知ってる?採点がいまアツいの。」

 マイクを持つポーズで振付まですこし披露したけれど、全員茫然。


 考えてみると、得意なものってないなぁ、私。ちょっとへこみます。


 「術が使えるわけでもないらしい。」

 「何のためにわしらはあれほど力を尽くして・・・」

 「それより王になんと申し上げるべきか。」

 「もう一度やるには材料が足りんわい。」

 またわいわい始まったようです。

 「用事がないなら家に帰してくれませんか。学校行かなきゃいけないし。」

 そう言ってみました。

 全員の視線が集まります。

 エラそう、が鼻をフンと鳴らして

 「地下にでも入れておけ。」

 と言い放ちました。

 「へ?」

 私は数人がかりで箱に押し込められました。しばらく階段を下るように移動され、箱から出された時には石でできた牢の中です。

 

 「なんなの?どういうことよ!」

 この時になって、急に恐怖が襲ってきました。

 夢?これって夢じゃないの?

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ