05:待たされる少年と信頼する騎士の漫才
待っている方がいたのならば本当に遅くなってすみません。
城に入るとアリウムとはいったん別れることになった。なんでも王様と正式な場で僕のことを話すからその準備のためにいろいろやることがあるそうだ。がんばってねーと言うと、ナデナにも出てもらいますからねーと返された。果たして僕が王様と会う意味はあるんだろうか?
そして城のなかで唯一の知り合いを失って心細くなっている僕は現在部屋に通されて待たされています。数人の騎士っぽい方々というオプション付きで。
城の騎士たちが何者かわからない(あちらから見て)少年と一緒に部屋の中にいる。……ギスギスした空気が流れてると思うでしょ?でもそんなことはなく、むしろ何故か騎士たちからの僕に対しての警戒心が薄い。時間がなく、アリウムが何もほとんど何も説明していないのにもかかわらず。
でもそれは仕事をちゃんとしてないから、ではなさそうだ。その証拠にさっきから気を抜いていないし、何かあればすぐに動けるように直立不動で立っている。ただ、本来僕に向かうはずの警戒が外に向いている。
なぜだろうか?よし、そこにいる騎士Aに聞いてみよう。
「あの、すみませ「おい少年、なんか今失礼なことを考えていなかったか?」
質問しようとしたら騎士Aさん(ただ今命名)がギロリと睨みつけてきた。たしかに優秀だとは思っていたけど、まさか読心術ができるなんて……!
「すみません騎士Aさん。名前がわからなかったもので」
これから王様に会うかもしれないのに今騎士に悪い印象を持たれるわけにはいかないので素直に謝っておく。うん、ナイス判断だ、僕。
「ついには口に出したか。いいか、俺の名前はヘイシェーだ!」
少し怒りながら言う騎士Aさん改め兵士Aさん。おしい、兵士だったか。
「はぁ……もう兵士Aでいい……で、なんだ?何か聞こうとしていたみたいだったが」
おっと、そうだった。だけど毎回さりげなく心を読むのはやめて欲しい。プライバシーの侵害ですよ?
「あなたたちから見れば、僕は得体の知れない人間なのに警戒心が薄くないですか?子供だからと侮っているのならばやめたほうがいいと思うのですが」
「なんでおまえをそんなに警戒してないかって?…簡単な話だ。べつにおまえが子供だからってわけじゃない、姫様が連れてきたからだよ」
「アリウムが連れてきたから?」
「あぁ、そうだ。ウチの姫様は人の本質を見抜く…とまではいかないが、感じ取れるんだ。その姫様が連れてきたんだからおまえは悪いやつであるはずがない」
「……ずいぶん信用してるんですね。でもなんでそこまで信じられるんですか?王族だから?」
「いや、違う。そんなんじゃない。ただ感じるんだ、姫様は間違ってないって。……ってまぁ口で説明してもわかんねぇよな。俺だって最初はそうだったんだ」
…そうか、だから僕は警戒されてなかったのか。っていうかいくら子供が相手だからと言ってもさっきから兵士Aさんの口調が砕けすぎな気が……
「……」
……ごめんなさい。もう失礼なことは思わないのでそんなに睨まないでください。クッ、思想の自由はどこへ行ったんだッ!
「おっと、そろそろ時間だ。行くぞ、少年」
「あ、はい」
そんな無言でのやりとりをしているうちに時間が来たようだ。
「一応言っておくがくれぐれも無礼のないようにな、少年」
「もちろんわかってますよ。それと僕にはちゃんとした名前が――」
「はいはい、わかってるよ、少年」
……うわぁ、絶対この人兵士Aって言ったの根に持ってるよ……
まぁいいや、ともかく僕はさっさと王様に会って住む場所を提供……あれ?おかしいな、最初は偶然通り掛かった人に住む場所を提供して貰おうと思っただけなにどんどん大事になってるような……?
まぁ今さら考えても仕方ない、どうせ最初から失うものも何も無いんだから。
……ええぃ、なるようになれ!(泣)
そんなふうに半ば自暴自棄になりながらも僕は王様に会うことになった。
まずは更新がとても遅れてしまって本当にすみませんでした。
言い訳になってしまいますが、期末テストや文化祭の準備でこちらの方まで手が回りませんでした。
最低でも今月中にナデナくんの今後が決定するところまで進めたいと思います。
ところでこのヘイシェーさん、今のところは名前がある法則から外れた唯一のキャラです。
誤字脱字や話の内容に関する指摘がありましたらどんどん言ってください。
感想をお待ちしてます。