04:驚く少年と微笑う少女の挨拶
お待たせしましたっ!
……え?誰も待ってない?
……わかっていても言いたくなるじゃないですか。せめて雰囲気だけでもっ!
少し?書き方を変えてみました。
そして僕らはやっと目的地についたらしい。
……ただその目的地というのが……なんていうか……お城です。
いや、確かにやけに街の奥のほうに歩いていってるな~って感じはあったけどまさかお城だなんて誰が予想できただろうか。いや、できない。(反語)
……アリウム、いや、アリウムさん。秘密っていうのはこういう意味だったんですね……
たしかにお城に連れて来られたら驚くだろうけど少々行き過ぎたドッキリのような気がする。
だってお城だよ?僕みたいなのは言うまでもなく、貴族だって用も無く立ち入ることができないあのお城だよ?
そんなお城に僕なんかが入ってしまってもいいんだろうか、いや、いいはずがない、というか近づくことすらダメだろう。
そんな風に僕が混乱しているとアリウムが、
「どうですか?びっくりしたでしょう?実は私はこの国のお姫様なんですよ?」
と、イタズラが成功したときの子供のような笑顔でおっしゃった。
その笑顔を見るとなんだか今まで考えていたことが馬鹿らしくなってしまった。
「まったく、驚いたよ。ドレスなんか着てるからそれなりにいいところの人なんだろうなぁ、とは思ったけどまさかこの国のお姫様だったなんて」
「えへへ、ちょっとしたドッキリが成功して嬉しいです。というわけで改めましてアリウム・フローウェルです。以後、よろしくお願いします」
「あ、えっと、森で倒れていた少年です。こちらこそよろしく」
名前がないことの不便さを感じながら挨拶を返す。っていうかこれは『ちょっとした』ドッキリじゃない気がする。絶対に。
「……やっぱり名前が無いのは不便ですよね。何とかしてあげたいんですけど……」
「とりあえず僕を呼ぶときはアリウムが好きなように呼べばいいと思うよ。当面はそれでなんとかなるでしょ?」
少し感性がずれてる気がしなくもないけどやっぱりアリウムは優しい。自分のことのように他人のことを悩める人はなかなかいない。
僕は今までこういった純粋な優しさに触れる機会が片手で数えられるほどしかなかったので、その優しさが自分に向けれらていることがたまらなく嬉しい。
「そうですね……それじゃあナデナ、っていうのはどうでしょう?」
「別にかまわないけど……ちなみになんでナデナなの?」
「そういえばどうしてでしょう?なんだか頭にパッっと浮かんでこれだ、と思ったんですけど……もしかして嫌でしたか?」
「いや、なんとなく男の名前じゃ無いような気もするけど、でも嫌じゃないよ。」
これは嘘じゃない。むしろ正式な名前ではないけれど自分に初めてつけられた名前が嬉しくてたまらないくらいだ。……まぁ男っぽくないような気もするけど。
「名前、ありがとうね。とっても嬉しいよ」
「いいえ、喜んでもらえたなら私も嬉しいです!」
そういってアリウムはふわりと微笑んだ。
「それじゃあ改めて、ナデナです。よろしくお願いします」
「こちらこそ!」
そんな風に挨拶を交し合って僕らはお城の門をくぐって行った。
……そういえば僕はこんな風にお城に入っても大丈夫なんだろうか……?
本当はもっとはやく投稿しようと思っていたんですけど夏休みの宿題が……
次話はもっとはやく投稿しようと思ってます。
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