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冤罪で追放された悪役令息ですが、北の辺境で幸せになります。恐ろしい噂の銀狼将軍に嫁いだら、予想外の溺愛と極上のモフモフ生活が待っていました  作者: 水凪しおん


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第12話「新しい命の予感と、未来への約束」

 結婚を約束してから数ヶ月。私たちは正式な手続きを済ませ、晴れて夫婦となった。

 式はまだ挙げていないが、街の人々はすでに私たちを「将軍夫妻」として温かく迎えてくれている。

 そんなある日の朝、私は激しい吐き気で目を覚ました。


「うっ……」


 ベッドから起き上がれず、口元を押さえる。

 隣で眠っていたグリーグ様が、瞬時に目を覚まし、飛び起きた。


「ジュリアン!? どうした、顔色が悪いぞ!」

「すみません……少し、気分が悪くて……」


 胃のあたりがムカムカする。昨夜の食事にあたったわけではないはずだ。

 グリーグ様は大慌てで医者を呼びに行った。

 数分後、息を切らして戻ってきた彼と共に、年配の医師が私の脈を診る。

 医師はしばらく沈黙した後、にこやかな笑顔で私たちを見た。


「おめでとうございます、将軍。ジュリアン様はご懐妊です」

「……え?」


 グリーグ様が、間の抜けた声を上げた。

 私も呆然とする。

 オメガバースの知識として、男性オメガが妊娠することは知っていた。けれど、まさかこんなに早く授かるとは思っていなかった。


「に、妊娠……? 俺と、ジュリアンの、子供……?」


 グリーグ様は、信じられないという顔で私のお腹を見つめた。

 そして次の瞬間、彼は震える手で顔を覆って、男泣きした。


「うぅ……っ、よかった……! ありがとう、ジュリアン、ありがとう……!」


 あの強面の将軍が、ボロボロと涙を流している。

 その姿を見て、私も目頭が熱くなった。

 私のお腹の中に、新しい命が宿っている。彼と私の、愛の結晶が。


「嬉しいです……グリーグ様」


 私が手を伸ばすと、彼は私の手を取り、何度も何度も口づけを落とした。

 それからのグリーグ様の過保護ぶりは、凄まじいものがあった。


「重い物は持つな! 俺がやる!」

「階段は危ない、抱っこして移動しよう」

「野菜をもっと食え、栄養をつけるんだ」


 兵士たちも一緒になって私を甘やかすので、私はまるで女王様のような扱いを受けることになった。


「もう、将軍ったら心配性なんだから」


 私は苦笑しつつも、その過保護さが嬉しかった。

 スノーバームの事業も順調で、私は体調を見ながら無理のない範囲で仕事を続けた。

 街の女性たちも、妊娠中の私を気遣って手伝いに来てくれるようになった。


「ジュリアン様、これ、安産のお守りよ」

「赤ちゃんの肌着を縫ったの、使って」


 たくさんの優しさに囲まれて、お腹の子供はすくすくと育っていった。

 ある夜、ベッドの中で、私はグリーグ様の胸に寄りかかりながら言った。


「男の子でしょうか、女の子でしょうか」

「どちらでもいい。元気に生まれてくれれば、それだけでいい」


 彼は愛おしそうに、膨らみ始めた私のお腹を大きな手で撫でた。


「……でも、もし男の子なら、俺のような無愛想な男にはしたくないな」

「あら、私はグリーグ様のそういうところ、大好きですよ? それに、きっと貴方に似て優しくて強い子になります」

「女の子なら、ジュリアンに似て賢くて美しい子になるだろう。……虫がつかないように、俺が全力で守らなければならないな」


 彼は真剣な顔で拳を握りしめ、まだ見ぬ娘の恋人候補を威嚇するシミュレーションを始めた。

 その様子がおかしくて、私は声を上げて笑った。


「気が早すぎますよ、パパ」


 パパ、と呼ばれて、彼はまた照れくさそうに鼻の下をこすった。

 窓の外では、雪がしんしんと降り積もっている。

 でも、部屋の中は暖かく、未来への希望に満ちていた。

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