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気がついたら蝶になってました  作者: 雪山
第一章 全ての始まり
7/10

第一歩

すいません。本当はもう少し早く更新したいのですが、なかなかまとまった時間が取れません。すいません。

 クライズの家は豪邸だった。先祖がかなり有名な実業家だったらしく、お金持ちらしい。


「すいませーん。誰かいますか?」


 ミレーナが声をかけると中からメイドが出できた。


「何か御用ですか?」

「すいません。私、クライズと同じ衛兵団のミレーナです。クライズの父親に少しお話を聞きたくてきました」

「クライズ様の同僚の方ですか。少々お待ちください。旦那様に聞いてまいります」


 メイドが一旦中に戻っていく。


「行ってくる。できる限り話を長引かせて時間を稼いでくれ」

「うん。バレないように気をつけてね」

「ああ、気をつける」


 俺はメイドの後について飛んでいき、家に入っていく。中は二階建てになっていた。正面に会議室らしき大きな部屋。左右には絵が飾られているだけだった。クライズの部屋は二階にありそうだ。そう思って二階に向かう。二階には思った以上に部屋があり、基本的に扉が閉まっているが扉の隙間からなんとか部屋に入れそうだ。


「旦那様。失礼します」


 メイドは一番奥の部屋に入っていった。一番奥はクライズの父親の部屋らしい。


「うーん。どこから調べようか」

「あ! ちょうちょだ!」

「うぉっ! 危ねえ!」


 二階を行ったり来たりしていると男の子の声と俺を捕まえようとする手が飛んできた。ギリギリとどかなかったからよかったものの、もしとどいていたら潰されていただろう。あわてて俺は天井付近まで上昇する。男の子はクライズの弟なんだろう。目をキラキラさせた状態で必死にジャンプして捕まえようとしている。


「逃げよ」

「あっ! 待てー!」


 男の子は逃げても追ってくる。このまま騒がれると誰か大人がやってきてしまう。そうなってしまったら探索が困難になる。


「ごめんね」

「待てー! ……ん? なんだか……ねむ……く……」


 羽からそっと出した眠り粉を吸い込んで、男の子は廊下に座りこんで眠ってしまった。昨日ミレーナに頼んで眠気を誘う効果がある寝霊花(しんれいか)を用意してもらって、スキルをゲットして正解だった。麻痺とか毒とか人体に影響のあるスキルなんて使えないからな。これで心置きなく調べられる。


「よし。ここから調べるか」


 一番手前の部屋に扉の隙間から入ってみる。部屋の中には大量の本。ここは資料室なんだろう。念入りに調べるが特に怪しいものは見当たらなかった。


「サルト様。こんなところで寝ると風邪をひきますよ。よいしょっと」


 俺がちょうど扉の隙間から出た時、隣の部屋にメイドがサルトと呼ばれたさっきの男の子を運び込んでいるのが見えた。隣はあの男の子の部屋みたいだ。その部屋にはないだろう。ラッキー。一部屋飛ばして隣の部屋にいく。


「ここにもない。次」


 次の部屋、その次の部屋、その次の部屋……誰かの私室や物置部屋をどんどん見ていくが、やはり怪しいものはなかった。


「ここが最後か」


 ここになければ終わりだ。覚悟を決めてクライズの父親の部屋の一つ手前の部屋に入る。隣の部屋からはミレーナとクライズの父親の会話が聞こえる。急がないと。


「ここはクライズの部屋か!」


 部屋の机の上にはクライズの名前が入った衛兵の制服が置いてあった。念入りに部屋の中を調べる。


「お! この剣は!」


 ベットの下に入ってみるとナナ婆を殺した剣と同じ剣を見つけた。これ以上ない証拠だ。しかし俺の力では剣は運べない。急いでミレーナのいる隣の部屋に向かう。


「あと二日程度で動けるようになるそうなんで、そしたら私も協力させて頂きますよ」

「ありがとうございます。バラスさん。とても助かります」

「ミレーナ! あった! 証拠があった!」


 話をしていたミレーナに興奮を抑えられないまま叫び、伝える。ミレーナは俺の話を聞いて急に真顔になった。突如現れた蝶とミレーナの様子にバラスと呼ばれたクライズの父親は首を傾げた。


「ミレーナさん?」

「……すいません。実は今日は別の目的があって来たんです。単刀直入に言います。バラスさん。クライズ……あなたの息子がナナ婆殺害の犯人なんです」


 ミレーナの冷ややかな声がこの部屋に響き渡った。

ありがとうございます!

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