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気がついたら蝶になってました  作者: 雪山
第一章 全ての始まり
1/10

蝶になる

「ん? なんじゃこりゃあああああ!」


 俺の名前はサイガ。気がつくと空を飛んでいた。下を見ると蝶の体、広場に寝ている俺の体が見える。さっきまで広場で寝ていただけなのに。


「ってそれより俺の体!」


 慌てて近づいてみるが、呼吸はしている。寝ているだけみたいだ。いったいどうなっている? どうやったら戻れる? 俺の体の周りを飛び回りながら考える。すっごい変な感じだ。しかし心当たりが全くない。そもそもなんで俺の体は生きてるのだろうか? 俺の意識はここにある。幽体離脱とかじゃないわけだし、考えると生きてるのも不自然だ。なんらかの魔法かスキルが影響しているとは思つけど。


「ダメだ、わからない。これからどうやって生きればいいんだよ……」


 今の俺にできることはヒラヒラ飛ぶことだけ。それ以外は何にもできない。てかなんで蝶なんだよ。意思疎通もとれないじゃんか。


「はぁ。なんかお腹空いたな」


 落ち込んでヒラヒラと飛んでいると、空腹感を感じた。


「ん? こっちから甘い匂いがする」


 匂いのする方に飛んでいくと、花畑が見えた。匂いはあそこからしているみたいだ。空腹感から一目散に飛んでいき、花に止まる。


「どうやって吸うんだ? お!」


 食べ方がわからずあれこれ悩んでいたが、蜜に近づくと口からストローのようなものが勝手に伸びた。これで吸える! とりあえず一口飲んでみるとやはり甘い。


「うまいな」


 とりあえず腹がいっぱいになるまで頂こう。人間だった時には味わえなかった甘味に、蜜を吸うスピードが上がる。


「ふぅ。腹いっぱいだ」


 まだ蜜は残っているがもう食べれない。そう考えると俺はかなり小さいのかもしれない。


「ステータスが見えたらなぁ……って見えるじゃんか!」




  サイガ


 種族 レッドバタフライ


 ステータス

 体力 10

 魔力 10

 攻撃力 2

 防御力 1

 俊敏性 100


 スキル

 食事強化


「ひっく! これからどうすればいいんだよ……」


 子供でさえ、最低でも100ずつはあるっていうのに。マジでちょっとしたことで死ぬ。スキルもよくわからないし、早く人間に戻りたい。


「まずは元の体に戻る方法を探すしかないか。俺の体をもう一度見てみるか」


 ヒラヒラ飛んで広場に戻る。捜査の基本、現場検証だ。


「はあ!? なんで動いてんだ!?」


 広場に戻ってみると、俺の体は立ち上がって街に向かって歩いていた。俺が蝶になったのなら、あの体は良くて仮死状態のはずだ。それなら納得がいく。なのにどうなってんだよ! 


「……まさか……俺の体に誰かいるのか!?」


 自分の中で考えていた一番起きてほしくないことが起きているのかもしれない。もしそうなら簡単には元の体に戻れないだろう。


「ちくしょおおおおお!!」


 俺は怒りのままに羽を動かし、飛び回ることしかできなかった。

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