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森の中の別世界  作者: 灼眼龍
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自分の家の前に着いた。100段ぴったりある階段を上り始める。俺の家は神社だ。500年以上前からあるらしいが。俺は知りたくもない。まぁ、とにかく俺の家には「何とかの井戸」とか「何とかの樹」とか「何とかの池」みたいなのがある。

俺は別に自分の家が嫌いな訳じゃないが、家の裏にある森は大ッ嫌いだ。どこまで続いているかさえ分からない気味の悪い森だ。誰も入ったことはないし。親にも何故か入るなと言われている。今日もその森は気持ち悪いほどに静かで闇に包まれていた。

「相変わらず気持ち悪ぃな」

毎日のように言ってしまう一言。玄関に着き鍵を開けて中に入る。

「ただいまぁ!って誰も居ないか・・・」

親と妹は海外に旅行だそうだ。俺は自分から行かないと言った。行ってられるか。めんどくさい。家に居た方が自由じゃないか。

「腹減った。」

冷蔵庫を開けると空だ。はぁ とため息が3回くらいで出る。

「まぁいいか。少し早いけど寝るか。」

時間は8時48分。学校の帰りにコンビニで立ち読みをしていたらこんな時間になった。

寝ようとして自分の部屋行き、電気を消して布団に入る。

それなりに睡魔が俺を誘う頃にそれは起きた。


バンバンバンバンバン


「え?何?うわぁあああ!」

手。窓を手が叩いてる。手だけが・・・

月明かりで黒いシルエットとなった手が俺の部屋の窓をバンバン叩いてる。

慌てて電気を付けると黒いシルエットだった手が肌色に変わりこの世の物だと安心する。いや、まだ安心は出来ないが。次の出来事で安心を通り越して疑問が生まれる。

「さっさと開けろ!ボケッ!」

この声には聞き覚えがある。学校を俺への殺意で満たした声だ。

鍵を外し窓を開けると ぴこぴこ とアホ毛が苛立っていた。クミだ。クーも居る。

「開けるの遅いんだけど」

唖然とした。学校では無表情で言葉は必要最低限しか使わないクーが、今は不機嫌そうな顔をして文句を言ってきたのだ。

「あ、すいません」

びっくりしすぎて敬語になってしまう俺。

クミはニヤニヤしてる。いらつく、ニヤニヤするなっ!

「入って良い?」

クー様はまだ不機嫌なようだ。

「あ、どうぞどうぞ」

俺はクーが怖くなった。昼間の無表情なクーもある意味怖いが、今のクーは普通に怖い。

昼間のクーが表なのか?今のクーが表なのか?とか考えながら2人を窓から入れると、クミのアホ毛が ぴょこんっ と動く。

まぁ、あらかた予想はできてる。俺はこれでも掃除好きだ。今のアホ毛の動きは俺の部屋が意外と綺麗でびっくりしたのだろうと俺は推測した。

「きっ、汚い部屋ね!」

「顔引きつってるぞ?」

俺はクミの顔を軽くペチペチと叩く。

「気安く触るんじゃないわよっ!このエロ豚があっ!」

クミが赤面して叫んだと思ったら、俺は足払いをうけてすっ転んだ所をサソリ固めされた。クーに。

もう、意味がわからん・・・

「ちょっと、痛いからマジでっ」

ギブサインとして床をバンバン叩くさっき窓を叩いていたクミのように。

「ねぇ、喉乾いたー」

クミが椅子でクルクルしながら言ってくる。

サソリ固めされたままの俺に対して言う言葉かっ!内心で叫んだ。

「喉乾いたんだったら、飲み物持ってきてやるから・・・」

次の言葉が出ない。

「何?どうして欲しいの?」

クミはニヤニヤしながら椅子を降りて俺の顔の前にしゃがみ込む。

「たっ、、助けてくれっ!」

クミは満足げな顔をしてクーに顔を向けて、クーとアイコンタクトを取るだけで俺はサソリ固めから解放された。

全身が痛い。

「で、何でも良いのか?」

俺は聞くとクミはまた椅子でクルクル、クーは勝手に俺の部屋のマンガを読みながら、各自、飲みたいものを言ってきた。

「うちはコーヒーが良い!出来ればブラックでっ」

以外だ。体型上オレンジジュースとか言うのかと思った。

「分かった。で、クーさんは何が良いんだ?」

敬語とタメ語が混ざったような質問の仕方をするとクーは即座に答えた。

「オレンジジュースが良いっ!」

ダメだ。この子は不思議すぎる。そんなことより問題が1つ。

「家にコーヒーはあるけどオレンジジュースは無いぞ。」

「買ってくれば良い。」

即答っ。素晴らしいほどに即答。

「俺が買いに行くのか?お前等は?」

人の家で待ってるとか言うなよ?と願いつつ聞いてみる。

「「待ってる」」

はぁ・・・

俺は最近ため息が多いと今になって思う。

そして、これから多くなることも嫌々ながら感づいていた。

「じゃあ、買って来るから大人しくしてろよ。」

俺は家を出る。

大人しくしてろ。と言ってしてる奴らではないよな・・・

と、思いながらまた、ため息が出る。

俺は夜風に当たりながら1つの疑問を持つ。

「クミはあんなにクルクルしてて気持ち悪くならないのだろうか。」


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