表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/53

第1話 不滅のプロローグ

 意識が朦朧としている。何が起こったのか、分からない。

 宰吾は揺れる視界の中、目の前の景色を何とか捉えようとしていた。

 会議室のような部屋。人が、ひぃふぅみぃ……三人。自分は、ベッドで横になっている……?


「目が覚めたか。不知宰吾(しらずさいご)


 真ん中に立つ、スーツの男が口を開く。年齢は……三十代か。いや、四十代? 貫禄があるようなないような、掴みどころのない容貌だ。


「……ここは?」


「詳細な場所は言えないが、安全だ」


 宰吾の問いに淡々と答える男。両隣の男と女は黙りこくっている。男の方は、還暦くらいだろうか。上品だがどこか嫌な空気を纏っている。いや、この人見たことあるぞ……?

 そこで宰吾は気づいた


「こ、国防長官!?」


 勢いよく飛び上がった宰吾は、反動で首を痛めそうになった。


「知ってくれているようだね。いかにも、私は国防長官を任されている、護国寺(ごこくじ)隆宗(たかむね)だ」


 ニュースでしか見たことのない存在を前に、宰吾の心臓は拍を早める。


「って……じゃああなたは何者……?」


 女性の方は見るからに護国寺長官の秘書である。では、この真ん中のスーツの男は……。


「私は、ロキとでも名乗ろうか」


「……は?」


 ……中二病?

 状況にそぐわぬ北欧神話の名前が飛び出してきて、宰吾は思わず間抜けな声を上げてしまった。


「まあ、無理もない……が、もう世間は突然現れた“神”の存在にてんやわんやしているだろう。これくらいは受け入れてもらいたい」


 爽やかな笑顔で言うロキ。

 なんだ? なんなんだ? 神? 一体どういうことだ?


「おや、記憶が曖昧かな。まだ意識がはっきりしていないようだね」


 顎に手を当て、首を傾けるロキの表情はやはり何とも掴みどころがない。


「まあいい、単刀直入に言う。不知くん」


 ロキはネクタイを締め直し、軽く咳払いをした。

 宰吾は喉が渇き切り、そのくせ額や脇は汗でびっしょりだった。


「キミに日本を救ってほしいんだ。突如現れた四つの異世界を又にかけて」


 は? 日本を……救う?

 四つの異世界……?

 待て待て待て待て。一旦落ち着こう。

 頭をぶんぶんと振ってみる。深呼吸をして、無機質な天井を見上げる。

 そうだ、思い出せ。ここに至った理由を。

 ただただ不滅なだけの平凡なヒーロー、不知宰吾がこんな状況に置かれているまでの、いきさつを。

隔日更新中!

感想や評価、SNSでの拡散やフォロー(X @zzz_0522)などいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ