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冷や飯

作者: 泉田清

 夕方、いつものようにコンビニへ入る。まず漫画を立ち読みした。近頃は雑誌にテープが貼られ立ち読み出来ないようになっている。ここは未だ立ち読みが可能であり、発売日には自然と足が向くようになる。

 立ち読みというのは店確かに側にとって迷惑なものだ。商品が劣化してしまうし、他の客の邪魔にもなる。とかくマナーとやらに五月蠅いこのご時世。立ち読みの排斥運動が行われてもおかしくない。そうなったら喫煙者のように「時代は変わったなあ」とかいうのだろう。


 そんなことを考えながら雑誌を棚に戻し、総菜を物色した。バン!勢いよくドアが開き一人の大男が入ってきた。作業着姿の老人だ。彼はは陳列棚を行ったり来たりして、「ないな、ない」ブツブツいっていた。しばらくウロウロした後、レジにいた店員に「テレビでみた--が無いんだけど!」と凄んだ。二,三言葉を交わした後、舌打ちして出て行った。全くマナーどころではない。総菜を手にしてレジに持っていくと「〇〇のテレビ番組で紹介されました!」というポップ広告があった。彼が探していたのはこれだったのか。いい歳をして情けない、と思ったが、十年後に自分もこうならないとも限らない。

 「温めますか?」店員に聞かれたので「無しでお願いします」と答えた。食べる直前に温めないと覚めるではないか。


 コンビニで飲み物を選んでいたある日「おお、久しぶり!」声をかけられた。声の主は十年前から音信不通となった幼馴染だった。思いがけない出会いに「おお」と声を漏らした。

 彼とは付き合いが古い。共通の友人が一人いて、三人でよく遊び歩いた。その友人が転勤で県外へ行ったことがきっかけで、我々三人は互いに連絡を取らなくなった。

 一見すると何も変わらないように見える、が、細部に十年の歳月が見て取れた。お互い様だが。「独りで気楽にやっているよ」変わらない様子で幼馴染はいった。「自分も同じだよ」と応えた。連絡先を交換することもなく我々は別れた。自分の番号が変わってないように、彼もそうなのだろうが。


 休みの前の日、缶ビールと総菜を手にしてレジに行く。商品をカウンターに置き、千円札も置いた。「---ですか?」聞かれたので「無しでお願いします」反射的に答えた。若い女性店員は戸惑っている。彼女は「千円からでいいですか」と言ったのだ。「千円でお願いします!」叫ぶように自分はいった。脂汗がでる。彼女は目を白黒させている。


 清算が終わり、渡された総菜はしっかりと温められていた・・・

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