第6話 ホブゴブリン
その後も何匹か出会ったゴブリンを殺して魔石を取っていく。魔法を使っていくうちに徐々に上手くはなっているがやはり思ったようには出ない。イメージより大きかったり小さかったり狙いがずれたりするのだ。
「これは町に戻ったら誰かに教わったほうがいいな」
冒険者ギルドのように魔法師ギルドもしくは魔導士ギルドのようなものがあるのだろうか。しかし冒険者ギルドは別に冒険について教えてくれる場所ではない。魔法師ギルドもそうならどうすればいいだろうか。いや同じシステムなら俺が依頼者となって依頼を出せばいいのか。魔法の使い方を教えてくれ、みたいな感じで。金がかかりそうだが仕方がないかもしれない。
「ゴウ!! グブルギア!!」
お、どうやらまたゴブリンたちがいるらしいな。数回の戦闘で風上にいると匂いでばれると分かったからな。ゆっくり風下に移動してそこからバレないように覗き見る。
「なんだあいつ? ゴブリンにしてはデカいよな」
そこにいたのは5匹のゴブリンだった。3匹はさっきまでのゴブリンと同じだが残りの2匹が問題だ。まずデカい。身長が180ほどありその体もやせ細ったゴブリンと違い脂肪と恐らくは筋肉で覆われている。手にはデカい棍棒を持っておりそれで地面を殴ってチビゴブリンたちになにか命令しているようだ。
「さしずめホブゴブリンか。あいつと直接戦うのは今は避けたいな」
少なくとも見た目は俺よりよっぽど強そうだ。剣術と剛力でどこまでやれるかわからない現状で戦いを挑むのは怖い。しかしだ、これを逃すのは正直惜しい。ホブゴブリンは恐らくゴブリンよりも討伐報酬はデカいだろう。数時間魔の森を探索して初めて会ったのだ。もしかしたら珍しいのかもしれない。今後の生活のためにも出来れば倒しておきたい。
「火魔法、は火事が怖いな。風魔法でいくか」
ゴブリンが横一直線に並ぶように移動すると精神を集中させる。最初の一撃で確実に殺しておきたい。イメージするのは風の刃だ。触れたもの全てを切り裂く不可視の刃。何回かゴブリン相手に使っていたので直ぐにイメージは出来た。
「ウインドカッター!!」
俺が隠れていた茂みごと切り裂いて風の刃が進む。狙い通り横並びになったゴブリンたちを切り裂いてくがイメージよりもその全長は短い。しかし威力は十分で刃の位置をゴブリンの頭に調整していたのでゴブリンは頭を飛ばしホブゴブリンは胴体を切り裂かれる。流石に切断することは出来なかったが腹から血を噴き出してその場に倒れこむホブ。しかしウインドカッターが短くなったせいで端っこにいたもう一匹のホブは無傷だ。
「グギャァ!!」
「くそ相手してやる」
俺の姿をみとめたホブは部下と仲間が殺されたことに怒り狂ったのか棍棒を振り回しながら近づいてくる。俺は剣を抜くと正面から打ち合わないように気を付けて立ち回る。可能ならばここで魔法を使いたいのだが残念ながら今の俺は魔法を使うのに数秒の集中がいる。こんな接近している状態ではその数秒は命取りだ。
「シッ!!」
「グゲ!?」
ホブが力任せに棍棒を地面に振り下ろした瞬間思いっきりそれを蹴り飛ばす。俺の本気の蹴りを食らった棍棒はホブの手を離れ遠くに転がっていく。それを信じられないという目で見ている隙に、間抜けにがら空きになっているその首へ俺は全力で剣を振り下ろした。ゴロンとホブの首はあっさり胴体から離れた。
「思ったより強くなかったな」
試しにとやってみたが想像以上にあっさり蹴り飛ばすことができた。もしかしたら正面から力勝負をしても勝てたかもしれない。ホブが持っていた棍棒を拾ってブンブン振り回しながらそんなことを思う。この太さの棍棒が野球のバット並みの重さに感じるとは。剛力スキルはコピーしてよかったな。
「こいつから魔石をとったら今日は帰るか」
棍棒を放って俺はナイフを取り出し解体を始めた。初めての冒険にしては結構いい成果だろう。
「面白い!」
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