第41話 修行開始
四宮京也 男 16歳
ジョブ:なし
スキル:ラーニング レベル7
:ライト レベル3
:癒しの風 レベル4
:瞬発 レベル6
:聖剣召喚クラウソラス レベル1
:剛力 レベル7
:剣術 レベル7
:水魔法 レベル7
:炎魔法 レベル5
:風魔法 レベル5
:精気吸収 レベル4
:素手 レベル7
:身体操作 レベル7
:土魔法 レベル3
:纏魔導 レベル3
:鑑定魔法 レベル4
久しぶりにステータスを確認したところ結構な数のスキルが上昇していた。よく使う剛力・剣術・水魔法がレベル7に上がったのが一番大きいだろうか。常に使っていると言ってもいいだろう身体操作が1レベルも上がってないことから、7レベルから必要経験値はかなり多くなってそうだ。
あとはそれらのレベルが上がった関係かラーニングが7レベルになった。そして1つの能力というかオプションが追加された。それはコピーしたスキルの削除だ。これまでは一度コピーしてしまったらやり直しは出来なかった。しかしこれからは枠が一杯になってもスキルを削除することで枠を空けることが出来る。
スキルの取り過ぎで前回のように倒れたら、いくつか削除する必要があるかもしれない。今のところは特にいじらなくてもいいだろう。
ドラゴンとの魔法修行。ドラゴンが教育者として優秀かはわからないが、魔法使いとして破格の力を持っているのは間違いない。そんな存在に俺たちが一番最初に教えてもらったこと。それは……
「名前を教えて欲しい? そう言えば名乗っておらんだったか」
名前だ。今までずっとドラゴンドラゴンと呼んでいたが当然これは名前ではない。子供はクローネという名前があるんだから当然親ドラゴンにも名前があるはずだ。
「はい。これから色々教えて頂くのにいつまでもドラゴンさんと呼ぶのは失礼かと」
「人に名乗るなど久しぶりよの。我の名はアトゥ。今後はそう呼ぶがよい」
「よろしくお願いします、アトゥさん」
こうしてドラゴン、改めてアトゥとの修行が始まった。その内容はドラゴンの修行という字面とは裏腹に、あるいは想像を裏切らずに地味なものだった。
「お主はまず魔力操作がなっておらん」
「駄目ですか? 師匠の教えでかなり力を入れていたつもりなんですが」
「全然じゃな。少なくとも我からしたら。魔法、いやお主らは魔導とか呼んでいたか。いちいち呪文名を呟いているじゃろう。まずはそれをやめることだ」
確かに俺は勿論アンも魔導を使う時は呪文名を口に出して発動している。試しに無言で発動しようとしてみるが上手くいかない。なんと説明すればいいか……口を閉じたまま喋ろうとしている感じに近いかもしれない。魔力は出るがそれがはっきり魔導という形にはならない。この原因が魔力操作の練度の低さか。
「とりあえず無詠唱で魔法が使えるようになるまでは魔力操作の向上じゃな」
毎日ひたすら纏と錬というやつだな。その後アンはアトゥに見られながら魔力操作に励んでいたが、具体的にどんな修行をしているのかは知らない。あくまで修行をつけてもらうのはアンだからだ。俺も頼めば見てもらえるのだろう。しかし折角ドラゴンになんでも言うこと聞く券をもらったのだ。もっとアトゥじゃないと出来ないことに使いたい。俺はエリクサーは裏ボスを倒すまで取っておく主義だからな。
「フィーが下から蹴る、キョウヤは右手でそれを止める」
「こうか?」
「腕じゃなくて手のひらで足をつかむ」
「痛そうだな」
「フィーたちはそうやって体をきたえた」
アンがアトゥと修行をしている間、俺はフィーに獣人に伝わる組み手を教えてもらっていた。いわゆる約束組み手というやつで攻撃する方を攻め手、される方を受け手と呼ぶ。受け手は攻め手の攻撃に合わせて決まった返しをする。これだけ聞くと簡単そうに聞こえるが攻撃の順番は決まっていない。Aの攻撃の返しはA’だがAの次の攻撃がBになるのかCになるのかは決まっていない。
受け手は攻め手がしてくる攻撃に対して常に正しい返しをしなければいけない。それも攻め手の攻撃はどんどん速くなっていくのだ。正しい動きを体が覚えて自然に動けるようにならなければついていけない。今の俺は正しい返しを覚えるので精一杯。あらかじめ攻撃の順番を決めておいてどうにか対応できるというレベルだ。
「フィーたちは小さい頃からこれをやっていたのか」
「うん。フィーはトトさまから教わった。トトさまは族長だから1人でやることも多かったけど」
覚えるのは大変だが慣れてくると結構楽しくなってくる。リズムゲームに近いだろうか。もっとも失敗すると痛い思いをするという点では似ても似つかないが。
「片足でタックルする際は膝を地面につけるんだ」
「こう?」
「そんな感じだ。それで頭は相手の腹におしつける。横に出すと首を取られるからな」
「わかった」
フィーに組み手を教わる代わりに俺は柔道を教えた。以前から頼まれて教えていたがしっかり腰を据えて教えるのは初めてだ。
とは言っても俺も部活でやっていたわけでなく授業で経験したことがあるだけだ。大したことは教えられない。しかし長い年月かけて積み上げられた術理はこの世界にはないもののようで、俺の拙い知識でもフィーには新鮮らしい。
そんなこんなでドラゴンの修行は割と地味に始まった。
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