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第32話 ドラゴンの事情

投稿が遅れてしまい申し訳ございません。以後気を付けます。


 一説によると人類がこれだけ発展できたのは複雑なコミュニケーションがとれたためらしい。会話することで脳みそが発達してその結果他の猛獣たちに対抗できる知恵を得た。つまり相手と対話をしてこそ人間というわけだ。



『む? まだ残っていたか。鬱陶しい奴らよ』


「ちょっと待ってくれ! 俺はあんたと争うつもりはない!」



 苛立たしげに口先からチロチロと炎を覗かせているドラゴンにしっかり伝える。早とちりして攻撃されたら敵わん。武器を持たず両手を上げて出ていく。



「実は俺たちはエルフからあんたをこの森から追い出すように頼まれたんだ。どうすれば出て行ってくれる」


『どうやら会話は出来るようだな。ここら辺の者は話が通じぬから言葉を解さぬ猿どもかと思ったわ』



 とりあえずいきなりブレスで死亡、ということはなさそうだ。それにしても随分と怒っている。話が通じない、というのは長谷川たちのことか? いやそれならここら辺の者、なんて言い方はしないか。当然と言えば当然だが俺たちに任せる前にエルフたちも自力でなんとかしようとしたのだろう。



『我がこの森にいるのはそのエルフの秘薬が必要だからだ』


「エルフの秘薬?」


『ああ。あらゆる万病に効く秘薬。どうしてもそれが必要なのだ。……我の子供の病気を治すためにな』



 子供の病気を治すために薬が必要で、それをもらうために家の前で座り込みとは。そこだけ聞くと童話か何かを想起させるが実際はドラゴンだからな。



「因みにそのことをエルフは?」


『無論伝えておるわ! それをあやつら汚らしい魔物に渡す物はなにもないなどと』



 魔物か。殆ど人間と同じレベルの知能があるであろうドラゴンも魔物扱いなんだな。つまりドラゴンも魔王が作り出した存在ということか。ますます持ってとんでもないスキルだな『魔王』は。デメリットがないならまさにチートだ。

 おっと脇道にそれた。つまりエルフは薬は渡したくないし森からも出ていけという考えなのか。



「あんたは秘薬の代わりになにを差し出せるんだ?」


『我が出来ることならなんでもしよう。鱗や爪、牙などは貴様ら人間にとっては貴重な薬や武器防具の材料になる。街に持っていけば高値で売れるだろう。倒して欲しい敵がいれば死力を尽くして戦おう』


「因みに魔王は倒せたりするか?」


『無理だ。魔王の力は強大。我でも一瞬押さえ付けるのがやっとよ」



 おいおい。長谷川達を蹴散らしたこのドラゴンでもまるで敵わないほど強いのか魔王は。本当に地球に帰れるのか俺は? ……あまり考えないようにしよう。



「キョウヤ、ドラゴン助けてあげたい。子供可哀そう」



 クイクイとフィーが袖を引っ張りながら言った。俺としてもドラゴンと戦うくらいなら、そうしたいがあの頑固そうなエルフが秘薬を出してくれるかどうか。チラリとアンを見ると彼女は首を横に振った。婆さんがいたら違ったのかもしれないが……。



「子供が掛かってる病気はなんなんだ?」


『魔石肥大病だ。体内の魔石が異常なまでに大きくなり、内側から体を破壊する』



 初めて聞く病名だ。まあ魔石は地球にはないものだ。それも当然か。



「わかった。俺たちもどうにか出来ないか試してみる。それまで暴れたりするのは待ってくれないか」


『……こちらからも頼む。しかし我はいざとなればエルフどもを虐殺してでも薬を手に入れるつもりだ』



 そりゃそうだ。子供が目の前で死ぬとなれば、秘薬の在庫があるかはわからんがその可能性にかけるだろう。いくら嫌な奴らでもアンの故郷だ。焼け野原になるのは困る。



『では里まで送ってやろう』



 ドラゴンが前足を地面にドン! と叩きつけると地面に魔法陣が浮き出て俺たちはあっという間にエルフの里に戻っていた。便利だなホントに。もし秘薬を渡せたら俺たち専用のタクシーになってくれないだろうか。ドラゴンタクシー略してドラタクだ。ドラレコは付いてないが目的地まで一瞬だからトラブルも起こらないだろう。



「すみません2人とも。私がわがままを言ったばかりにこんな難題を」


「アンに気にしない。フィーもドラゴンの子供助けたい」


「無理そうならドラゴンが暴れる隙に杖だけ盗めばいいだろ」


「それは流石に……」


 まさに火事場泥棒だが母親の形見を手に入れるためならば許してもらえないだろうか。まあそれは最後の手段だ。流石にそれだけのことをしでかしたらアンと里の溝も決定的なものになってしまうだろう。


 ジーロンの家に行くと何人か集まってお茶会をしていた。誰も彼も質素な服装がエルフの中にあって高そうな装いをしている。里の名士とか有力者だろう。俺たちにドラゴン討伐を任せて呑気なものだ。テーブルにあったお菓子をひょいひょいと口に入れるフィーを横に俺たちは事情を話した。



「魔物なんぞに我らが秘薬を渡せるものか」


「そうだ! あれを作るのにどれだけの手間がかかると思っている!」


「その分の対価はしっかりと払うとドラゴンは言っているぞ」


「対価は重要ではない! あの薬を使う資格があるのは我らエルフのみだ。他の劣等種族などゴブリンに教典もいいところよ」



 豚に真珠的なことざわだろうか。それにしても予想通りの反応だな。そんなに耳が長いのが偉いかね。しかし無理やり奪うなんて出来そうにない。ジョブにシーフの文字が入るようなことをするしかないか?



「あんたらだってドラゴンにこの里で暴れられたくはないだろう。星屑の杖だって壊れちまうかもしれんぞ」


「ジジイ薬出せ。ドラゴンの子供死んじゃう」


「ふん。脅迫の次は泣き落としか。流石は人族、交渉が上手なことだ」



 馬鹿にしたようにジーロンが言う。だが確かにこいつの言う通り俺のやっていることはそのまんま脅迫だ。実行犯は俺ではなくドラゴンだしフィーは獣族だが。



「なんにせよ秘薬を渡すつもりはない。ドラゴンが暴れたらそれはそれよ。この世には命よりも大事なものがある」



 そう決め顔でいうジーロンだがヴェリテの手紙を読んで命惜しさに俺たちを里に入れたの忘れてないからな。となるとやはりヴェリテをここまで連れてくるのが一番近道なのか? できれば頼りたくはないがいざとなればそれもやむをえないだろう。




「面白い!」


「続きが気になる!」


そう思っていただけたら


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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の性格設定なんでこんなのにしたんだろ残念
[一言] 話の流れも忘れたし、登場人物もほぼ忘れた…
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