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第31話 ドラゴン登場


 俺に少し遅れて向こうも気づいたのか飯田が手を振りながらこちらにやってきた。



「あれ四宮君? 四宮君もエルフの里に来てたんだ!」


「まあな。お前らこそどうしたんだ」


「この里にスタークという魔導士が使っていた強力な杖があってな。恵の戦力強化のために王命でそれをもらいに来たんだ。四宮と違って俺たちは遊びで来ているわけでじゃないんだよ」



 勇者も大変だな。こんな里に武器のために来なきゃいけないなんて。というかそれって勇者の仕事なのか? もっと下っ端がやってもよさそうな気がするんだが。それにあの頑固そうなジーロンが素直に杖を渡すかも疑問だ。



「でも杖が欲しかったら森にいるドラゴンを倒してこいって言われちゃったの」


「腕が鳴るぜ! ドラゴンって言えばファンタジー世界では定番だからな!」



 橋本は飯田と違いやる気満々だ。流石は戦闘狂だな。ドラコン、どれくらいの強さなのだろうか。強いというのは聞くが。しかし近くにドラゴンがいてこの村は平気か?



「じゃあ私たちはこれで」


「ああ」



 勇者たちが去るとアンがポツリと言った。


「スタークって私のお母さんの姓です」


「……なら形見みたいなもんか。俺たちがドラゴン倒したら俺たちにくれないかな」


 あのジーロンが素直に渡すだろうか。もしくは長谷川達に交渉するという手もあるが、おそらくアンが勇者パーティーに入ることを条件に出されるだろう。ダメもとだ、先にジーロンに聞きに行こう。




「星屑の杖が欲しい? どこぞの馬鹿が漏らしおったか」



 この感じ、当然だがその星屑の杖がアンの母親の物だと知っていて黙ってたな。簡単には渡してもらえなさそうだ。



「ああ。勇者たちにはなんか条件付きで許可したんだろ? 俺たちもそれに加えさせてもらえないか」


「どうかお願いします」


「ジジイ頼む」



 フィーの言葉に眉毛をピクピクさせていたジーロンだがお茶を一口飲むと、いいだろうと言った。意外だ。あれだけ俺たちのことを疎ましく思っていたわりにあっさり許可を出すとは。



「貴様らがヴェリテに泣きついてまた暴れられたら敵わん。この森の奥にドラゴンが住み着いて困っておる。そいつを討伐したらくれてやろう」


「その言葉忘れてないでくれよ」



 

 どんだけ恐れられてるんだ婆さん。条件付きとはいえ杖を渡すという言質をとれてよかった。尤もあまり簡単にはいかなさそうだな。先ほどの様子から見て長谷川達はすぐにドラゴンのもとに向かうだろう。ドラゴンがどれくらいの強さなのかこの目で確かめるか。



「長谷川たちが万が一ドラゴンを倒してしまったら、あとで襲って杖を奪い取るか」


「なにを物騒なことを言っているんですか。流石にその時は諦めますよ」


「冗談だよ」



 しかし出来れば星屑の杖はアンに渡してやりたい。襲う、は冗談にしてもなにか手は考えておきたいところだ。





「見て! ドラゴンだよ!」


「デカいな」


「ええ。一筋縄ではいかなさそうです」




 ジーロンに教わった場所まで行くと既に長谷川とドラゴンが戦っているところだった。赤い鱗を持ちその全長は数十メートルはあるだろう。流石にクジラ程大きくはないだろうが、大きすぎて遠近感が狂いそうになる。ドラゴンが足を踏み鳴らすたびに大きな地響きが起こった。



「ぐあ!!」


「智弘!」



 ドラゴンの巨大な尻尾に薙ぎ払わて橋本が吹っ飛ばされる。慌てて飯田が治療しているがその間前衛は長谷川1人だ。おいおい大丈夫か?

 流石に加勢したほうがいいかと腰を浮かしかけるがおかしい。ドラゴンの攻撃が妙に弱い気がする。現に先ほどまで橋本と長谷川の2人で抑えるのがやっとだったはずなのに、長谷川が1人で攻撃をしのいでいる。ピンチで勇者の力が覚醒した、とかではない限りドラゴンがわざと手加減しているのか? もしくは先ほどの攻撃で力を使い過ぎたか。



「来なさいゴーレム!!」


「グゥオオオ!」


「なんか出てきた!」



 大野が杖を振ると地面の土が盛り上がり人の形になっている。そしてわずか数秒で3mほどの大男になった。あんな魔法もあるのか。いやあれは魔導か? 土蛇を出す魔導に似ている。魔導はコピーできないのがラーニングの弱点の1つなんだよな。



『今さら土くれ程度、無駄だ』


「ドラゴンって喋るのか?!」


「数百年生きた魔物は人語を解するとは聞きますが……まさか本当だったとは」



 折角呼び出したゴーレムはドラゴンの爪で一閃されると、活躍する前に消えてしまった。やはり少し違和感がある。ゴーレムが見掛け倒しなだけかもしれないがあのドラゴンわざと手加減してないか? 先ほどから代名詞であるブレスも使わないし、後ろで回復されている橋本にも追撃をしようとしない。長谷川の攻撃が効いているようにはまったくみえない。



『消えよ』



 ドラゴンが地面を前足で大きく叩くと長谷川達の足元に魔法陣が浮かび上がった。そして次の瞬間長谷川達はこの場から消えていた。残ったのは大野が出したゴーレムの残骸である土の山と戦闘跡だけだ。



「消えちゃった」


「転移魔法ですね今のは。普通は巨大な魔石や、数日間に及ぶ儀式を行ってようやく発動できる魔法なんですが」


「ドラゴンは魔法の腕も魔力も桁違いということか」



 転移魔法なんてものまで使えるのには驚きだがこれでほぼ確定したな。わざわざ長谷川達を転移させずともあのドラゴンなら勝てた。長谷川達を殺さないように手加減している。理由まではわからないが。ただ暴れ回るだけの魔物でないなら話し合いの余地があるかもしれない。要はあいつをこの森から追い出せばいいんだからな。





 

「面白い!」



「続きが気になる!」



そう思っていただけたら



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[一言] 主人公の良い部分がイマイチ分からんな
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