第2話 冒険者登録
ステータス
四宮京也 男 16歳
ジョブ:なし
スキル:ラーニング レベル2
:ライト レベル1
:癒しの風 レベル1
:瞬発 レベル1
:聖剣召喚クラウソラス レベル1
:剛力 レベル5
:剣術 レベル6
:水魔法 レベル4
:炎魔法 レベル4
:風魔法 レベル4
これが今の俺のステータスだ。ラーニングに意識を集中させると細かい説明文が浮かんできた。
スキル:ラーニング 効果 対象のスキルをコピーして自分のものにすることができる。レベルはコピーした相手と同じになる。コピーするにはそのスキルの発動を自分の目で見なければいけない。またコピーできる数はラーニングのレベル×5まで。一度コピーしたスキルの削除は現在は不可。
ラーニングは非常に便利なスキルだがコピーできるのはレベル×5つまり今の俺は10個までだ。そしてそのうちの9個を既に埋めてしまっている。これに関しては正直悩んだがここは賭けに出ることにした。
何故なら俺がレーティアに言った要求は剣と魔法の腕前で国でも上位の人間の技をそれぞれ見せてほしいというものだからだ。そうして俺に紹介されたのは王国第二騎士団の副団長と宮廷魔導士の1人だった。2人の肩書から言ってこれらのスキルは有用であり、またレベルも高いことが予想される。
恐らくスキルレベルの上限は10だろう。騎士団の副団長の剣術がレベル6なのだ。仮に20など上限はもっと上でもそこまで上げているのは非常に稀だろう。
まああの2人が貴族のコネで地位についたりしてたらこの予想は外れることになるんだが。相手のスキルやレベルはコピーするまでわからないのも弱点の1つだ。剣術をコピーするつもりで使ったから剛力があったときは驚いてしまった。あと1つの枠は慎重に使わないとな。
「ここが冒険者ギルドか」
スキルについての考察をしているうちに目的地にたどり着いた。大きな木造の建物がそれだ。入り口は西部劇で見るような開き戸になっている。そこを押し開いて中に入ると何人かが俺の方を見たがすぐに興味をなくしたのか視線を外した。ふむ、どうやら服を現地のものに換えてもらったのは正解だったな。
この世界に来たときは学生服だったわけだが決して動きやすいとは言えない服だ。新しいものをもらえないか聞いたところ大喜びで服、どころか革鎧やブーツなど一式と交換してらえた。とりあえず縫製技術に関しては地球のほうが勝っているらしい。
「冒険者登録をしたいんだが」
今はお昼ごろだろうか。ギルド内は混んでおらず直ぐに俺の順番が来た。受付にいるのはなんとウサギの耳を生やした胸の大きな女性だった。コスプレ……だろうか? いや魔法がある世界なのだ。バニーマンとかそういう種族なのかもしれない。表情は異世界共通なのかニコニコビジネススマイルだ。
「はい冒険者登録ですね。他の国や支部での登録経験もしくは推薦状はございますか?」
「いやない。あるとどうなるんだ?」
「確認が出来た場合冒険者ランクの飛び級が可能になります。お持ちでない場合最下級のコッパーからです。こちらの書類に必要事項をご記入ください。そこに書かれたものがあなたのギルドカードに記載されます。必要であれば有料で代筆も承っております」
「じゃあ代筆を頼む」
不思議なことに会話に関してはまったく問題ないが文字はまったく読めなかった。まさに異世界文字だ。尤も俺が読めるのは英語くらいだから実は地球にある言語と同じでも読めないかもしれないが。
代筆の価格は500ゴールドだった。来るまでにいくつかの店を覗いたところどうも1ゴールド1円ほどらしい。つまり代筆は500円。これはどうなのだろう。高いのか安いのか。新人冒険者なんて金を持ってないだろうから恐らく安いと思う。
「では名前と性別年齢を」
「なあこれって偽名とかでもいいのか?」
「大丈夫です。ですが高ランク冒険者のギルドカードは身分証明にもなります。上位の冒険者を目指すなら特に理由がない限り本名で登録した方が後々面倒が少ないですよ」
「そうか。じゃあキョウヤで登録してくれ。男で年齢は16だ」
「わかりました。では続いてジョブとスキルをどうぞ」
「ジョブはないんだが大丈夫か?」
「大丈夫です。冒険者として活躍するうちにジョブを手に入れる方も多いですから。個人的にはしっかり修行を積んでジョブを得てから冒険者になることをお勧めしていますが」
先ほどまで決められたことをビジネススマイルでただ喋っていた受付に初めて諦観のようなものが浮かんだ。これまでも色々な人に似たことを言ったが誰も聞き入れなかったのだろう。いたとしてもその人数は少ないか。尤も俺もそのうちの1人だから何も言えないが。
しかしジョブは修行で得られるんだな。レーティアたちが長谷川のジョブを聞いた反応から生まれつきのものとかで後付けでの取得は出来ないと思っていた。色々調べる必要がありそうだ。
「その分スキルは持ってるから安心してくれ。ライトと剛力そして剣術の3つだ。ライトはレベル1それ以外は3だ」
「はあぁー」
そこまで言うと受付に大きくため息を吐かれた。なんだ? そのまま申告すると王城の奴らにバレた時不味いことになると思って数とレベルを過少に報告したんだが。これでもまだ高いのか? もしくは逆に低すぎたか?
「いいですか先ほども言いましたが高位の冒険者のギルドカードは身分証明書と扱えるほど信頼性が高いものです。特にジョブとスキルは重要なんです。そしてそれらを守るためレベル3、つまり一人前を自称する場合は試験を受ける必要があります。本当に申告通りのレベルなら受かって当然のものです。落ちた場合は虚偽の申告をしたとして罰則もあります。ではもう一度お尋ねしますのでご自分のステータスを確認してからお答えください。あなたのスキルとレベルはなんですか?」
「さっきも言っただろ。ライトレベル1に剛力と剣術レベル3だ」
「毎回毎回どうしてこういう馬鹿は尽きないんだか」
ボソッと非常に小さな声で受付が漏らす。なるほどここまで言っても嘘をつくやつは断てないのか。受付も大変そうだ。尤も俺も嘘はついているんだが。過剰ではなく過少の方向で。
「では試験場まで案内します。ついてきてください」
「面白い!」
「続きが気になる!」
そう思っていただけたら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白ければ星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。よろしくお願いいたします