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第17話 VSゴブリンキング

19時頃にまた投稿します

「グゲゲゲ」


「クソ! そんな後ろに隠れて卑怯だぞ!!」


「恵、範囲魔法は?」


「もう魔力がなくて無理!! これ以上使ったら倒れちゃう」


「雑魚がいなけりゃ楽勝なんだが。ちくしょう!」



 長谷川達は数十匹のゴブリンの集団に囲まれていた。中にはホブやシャーマン、数匹だがチャンピオンもいる。そして一番奥には嫌らしい笑みを浮かべているゴブリンキング。一匹だけおんぼろだが革鎧を身に着けているし間違いないだろう。意外なことに体躯はチャンピオンよりも小さいがその顔には確かな知性がみてとれた。


 長谷川たちは魔力も尽きているのか徐々に劣勢に押し込まれている。物量戦で消耗させてから本命の戦力で弱ったあいつらを叩く。戦闘の経験が少ないことを突かれたな。冒険者、例えば巨人の四肢のメンバーならしっかり体力魔力を回復させてから先に進んでいただろう。


「あいつら派手に近づき過ぎたんだ。準備万端で待ち構えられたな」


「助けますか?」


「今俺たちが行ってもあの中から数匹が来るだけだろう。……いいことを思いついた」



 先ほどの咆哮を聞いた騎士団がこちらに来る音が微かに聞こえる。このままの速度だと到着にもう少し時間がかかるだろう。それを少し早めにすることにした。



「大変だ!! 勇者様がゴブリンにやられたぞ!! このままでは勇者様が殺されてしまう!!」



 俺が出しうる限りの大声で叫ぶと騎士団の奴らが慌てて移動速度を上げた。あいつらは勇者に死なれたら困るからそれこそ死ぬ気で助けるだろう。俺の予想通り森の中だというのに騎馬にのった騎士がゴブリンたちに向かって突撃していった。よしこれなら俺たちが移動しても気づかれないだろう。



「勇者様! 一旦お下がりください!!」


「俺たちはまだ戦える! お前たちが他のゴブリンを抑えろ!!」


「おい!! 無理やりにでも後方へ送れ! 死なれたら俺たちの首が飛ぶぞ!!!」



 なんとかその場に残ろうと暴れた長谷川だが数人の騎士に羽交い絞めにされるように連れていかれる。当然ゴブリンキングはそれを邪魔しようとするが騎士団の連携は見事なもので巧みな動きでゴブリンを近づけさせない。躍起になったゴブリンキングがさらに手下を行かせようとした時、冒険者たちがその場に到着する。



「騎士団に手柄を奪われるな!! 行くぞ!」


「おう!!」



 右腕のイノームを始めとした冒険者が次々にゴブリンに襲い掛かる。一度は手中に入れながらも取り逃しかけている獲物と、時間差で新たに登場した脅威。その2つにゴブリンキングの注意が集中する瞬間を俺たちは狙っていた。



 「「《愚か者は上を見る(キーヒンシュランゲ)》」」



 静かにゴブリンたちの背後に移動していた俺たちは無防備なキングの背中めがけて魔導を放った。右足に俺がそして左足にアンが土蛇を絡ませこちらに勢いよく手繰り寄せる。作るのに時間はかかるが簡単に千切れないように調整済みだ。数十メートル引きずられてようやく戒めから逃れたゴブリンキングだがその時には既に周りに手下の姿はおらず完全に孤立していた。



「いつの間に後ろにって顔だな。尤も答えるつもりもないが」


「他の冒険者が来る前に倒しましょう」


「グギャァア!!」



 やれるものならやってみろ、そんな雰囲気を漂わせながら背中に背負った大剣をゴブリンキングは抜き放った。ゴブリンなんぞには勿体ない見るからに業物だ。魔物が持つに相応しく禍々しさも感じる。しかし豚に真珠というわけではないのか構えからして剣術を持っているのは間違いない。おまけにしっかり鎧まで身に着けている。



「フンッ!!」


「グォォ!!」



 蒼霧ではあんなバカでかい剣と打ち合ったら数回で壊れてしまう。奴が攻撃してきたらそれをかわし素早く一撃入れる。ヒット&アウェイがいいだろう。徐々に深くはないが体に傷が増えていくゴブリンキング。



「キョウヤ!」



 アンの合図が聞こえた瞬間俺は大きく横に飛んだ。その横を火球が飛んでいく。うろちょろと動いて自分にチクチクと攻撃してくる俺に気を取られていたゴブリンキングはそれに対応できない。



「グゥォォォ!」



 流石に顔面に食らうのは不味いと思ったのか間に左腕を挟むことで致命傷は避けたか。しかしこれで使えるのは片腕だ。


「このまま決めるぞ」


「はい!」



 両腕無事でさえ俺とアンの攻撃を食らったのだ。最早結果は見えている。しかしようやく命の危機を感じたのかゴブリンキングは俺に背中を見せて逃げ出した。



「逃げんのかよ!」



 いやキングなんて偉そうな名前をしているが元々はゴブリンだ。王様の威厳とかプライドを期待するほうが無駄というもの。慌てて追いかけようとした瞬間奴が反転して何かを投げつけてくる。



「ウォーター!!」



 咄嗟にただの水魔法で何かを防ぐ。投げられたのは大量の粉が入った袋だ。さっき背中を見せたのはそれを懐から取り出すのを見られないようにするためだったらしい。小癪な。



「《バラの棘(フラムドーン)》!」



 そして俺の水魔法の隙を埋めるようにアンが炎を槍の形に凝縮した魔導を放つ。俺に追撃しようとしていたゴブリンキングは慌てて避けようとするが左肩をえぐられ衝撃で体のバランスを大きく崩した。


「グゥォオン!」


「仕舞いだ!」


 哀れさすら感じさせる鳴き声を上げたゴブリンキングの心臓に蒼霧を突き刺す。オーガのように暫くは動くかもしれないので急いで離れると支えを失った死体はその場に倒れた。俺は振り向いてアンに感謝の意を込めて手を上げる。



「なんというか強い、というより姑息な敵でしたね」


「だからこそ他のゴブリンを従えられていたんだろう。魔石を取って帰るぞ」



 そして再び視線を戻すとそこには異常な光景が。先ほど確実に心臓を貫いたはずのゴブリンキングの死体がそれをまるで感じさせない速度で立ち上がると手にした大剣で襲いかかって来たのだ。



「キョウヤ!」


「平気だ。それよりどういうことだ」


「わかりません。確実に死んでいたはずです」



 俺たちも冒険者になってある程度経験は積んだ。そういう生態を持つならともかくこいつは違うだろう。なにか仕掛けがある。そう思いよく観察すると大剣から禍々しい魔力が湧き出ているのを感じた。



「おい。恐らくあの大剣だ。妙に豪華なもんをもっていると思ったがどうやら邪剣妖刀の類だぞ」


「剣が死体を操っているのですか? では死体から武器を奪えば」


「ああ今度こそ終わりだ。第二ラウンドだな」



 先ほどまでは痛みにギャアギャアと叫んでいたゴブリンキングは当然ながら無言で剣を構えた。その様子は先ほどまでよりも堂に入っておりここからが本番だと感じさせられた。



 



 





新作短編投稿しました。好評だったら連載にする予定なので是非読んでください


支援スキル超育成を持つ僕。大魔王討伐後500年間歴代勇者の師匠をしていたけど新米勇者に追い出されたので今度は魔王を育成することにしました

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