第15話 緊急依頼発令
今更ですがギルドのランクはこんな感じです
コッパー
シルバー
ゴールド
プラチナ
ミスリル
アダマンタイト
オリハルコン
長谷川に絡まれてから数日後冒険者ギルドは喧騒に包まれていた。適当な冒険者を捕まえて事情を聞いてみると、
「緊急依頼だよ緊急依頼! そこ見てみろ」
普段依頼が張ってある掲示板には1枚デカデカと大きな依頼書が張ってある。どうやら全員その依頼についていろいろ話しているようだ。
「王様ゴブリン戦う、でいいのか?」
「いえ。正確にはゴブリンキング討伐ですね」
魔導と一緒に言語も習っているがまだ勉強が必要だな。それにしてもゴブリンキングか。以前ミリムとギルバートが話していたな。とうとうそいつらの集落を見つけたのか。しかし依頼書に押してあるのはプラチナのハンコだ。俺には関係ないだろう。しかしいつの間にか現れたミリムに俺の考えを否定される。
「ところがそういうわけでもないんですよ。キョウヤさんこちらへどうぞ」
「俺はまだゴールドじゃないから緊急依頼は受けれないし受ける義務もないはずだが?」
ニッコリと笑いながら俺の背中を押してギルドの奥に連れていこうとするミリムに肩越しに言う。緊急依頼が出された場合それを受注可能な冒険者は受ける義務がある。その分報酬も割がいいのだがシルバーの俺には今回関係ないはずだ。
「来たか坊主、とアンちゃん。そこに座れ。アンちゃんはお菓子でも食べるかい?」
「いただきます」
「随分アンに甘くないかおっさん?」
「こないだの件で婆さんに絞られちまったんだよ。馬鹿勇者の行動に二度と弟子を巻き込むなって」
いい気味というやつだろう。しかし婆さんも意外と弟子のこと大切に思ってんだな。普段の様子を見てるとあんまり感じないが。まあこんな小動物みたいのが孫だと嫌でも大事にするか。出されたクッキーを幸せそうな笑顔を浮かべなら食べているアンを見てそう思う。
「それで? 俺たちにも緊急依頼を受けろってか」
「流石に察しがいいな。お前らの実力はパーティ単位なら確実にゴールドに届く。ゴブリンキングの下にいるゴブリンどもは通常のと比べて強力だがお前らなら問題ないだろう。ギルドマスター様からの命令だ参加しろ」
「俺は構わんがアンはどうだ?」
「んっ。私もふぁい丈夫です。報酬にはこのクッキーもつけておいてください」
「わかったよアンちゃん。明日はこのマークしてあるところに集合だ。遅れんな」
渡された地図を開いてみると魔の森の入り口あたりにしるしがついてた。ここなら普段から通ってるから迷わなさそうだ。
「そういうわけで明日俺たちは魔の森に行く。アンを連れていくが構わんな?」
「私に聞かれてもねぇ。アンのことはあの子自身が決めることさ」
何言ってやがる。二度と勇者を近づけるな、なんて命令出したくせに。まあ俺が親でもあいつは遠ざけるか。何をしでかすかわからんところがあるからな。
「ああそれとね。あんたが言ってた特別製の鞘作っておいてあげたよ。感謝しな。私自ら魔道具の作成なんてゴールドにしたらいくら掛かることか」
「間に合ってよかった。ありがとうな」
「それと魔力の精密操作についてもう一度教えようか。きっとあの魔導の役に立つ。以前教えた土魔法への応用はまだ時間がかかるだろうがね」
「助かる」
「コツはね相手の魔力の動きを感じることさ。そして相手の弱い部分をつくんだ」
夕食にアンが呼びに来るまで俺は修行を続けた。お陰で完ぺきではないが大分上達することができた。明日の緊急依頼も多少は楽になるだろう。
「あれ四宮君も来てたんだね! もうゴールドに上がったの?」
「いやまだシルバーだ。ギルバートから参加するように言われてな。お前たちこそ冒険者じゃないだろう」
「今日のゴブリンキング討伐は国とギルドが協力して行うんだって。橋本君なんてやる気満々なんだから」
集合場所には数十人の冒険者たちだけでなく長谷川達4人に加えて揃いの鎧を身に着けた兵士たちもいた。合計で50人くらいか。それだけ強力な魔物なんだな。しかし俺たちはこの後どう行動すればいんだ? 今さらながら詳しい話を聞いていなかったことを思いだした。そのとき集団の中でも一際巨漢の男が大音量で話しはじめた。
「おいお前ら! 殆どの奴は知ってるだろうが俺は巨人の四肢でリーダーやってるイノームだ。冒険者どもは俺が仕切らせてもらう!! 文句ある奴はいるか!!!」
「右腕のイノームか」
「プラチナランクだろ? いいんじゃないかあいつで」
他の冒険者たちからは特に反対の意見は出ない。右腕のイノーム、俺でも聞いたことがある名前だ。確かメンバー全員がとんでもない巨漢でそれぞれが体になぞらえた2つ名を持っていたはずだ。今声をあげているイノームにしてもオーガほどではないがかなりデカい。
「な、なんか強そうな人ですね」
「そうなじゃなくて実際強いだろ。それといい加減お前も人見知りを治したらどうだ」
「努力はしています」
他の冒険者から身を隠すように俺を盾にしているアン。初対面であれだけ堂々と喋れていたのは魔導をバカにされたと思いカッとなっていたかららしい。そもそもこれまでずっと魔導の研究と修行で外に出なかったようだし。自分で言うのもなんだが外に出るきっかけとなった俺に感謝するべきだろう。
「騎士団の指揮は当然だが団長である私が取る。我々が一緒に行動してもお互いの強みを消すだけだろう。別々の行動を提案する」
「話がわかるなあんたも。俺たちはあっちからゴブリンどもぶち殺す。あんたらは別方向から行ってくれ」
「ああ。ただのゴブリンと侮るな」
「わかってる。おいお前ら! どうせ俺たちは碌に連携も取れん。他のパーティーの邪魔をしないように位置取りに気を付けろ!! 気抜いてゴブリンなんぞに殺されんなよ!!!」
「「おう!!」」
こうして俺たちは魔の森へと足を踏み入れた。騎士団と別れる直前一言も言葉を発さなかった長谷川がこちらを睨んでいるのに気付いたが結局奴は何も言うことなく離れていった。何かしでかさないといいがな。
新作短編投稿しました。さくっと読める分量なので読んでくださると嬉しいです。好評でしたら連載化しようと思っています。
支援スキル超育成を持つ僕。大魔王討伐後500年間歴代勇者の師匠をしていたけど新米勇者に追い出されたので今度は魔王を育成することにしました
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