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幕間 勇者の転落

19時にもう1話幕間を投稿します。


 京也が長谷川達と別れてから数日後。マリス王国の精鋭たる第一騎士団と4人は訓練をしていた。



「そこまで! ハセガワ殿の勝利!!」


「マジかよ。数日前はまともに剣も振れなかった勇者様が小隊長のイゴールさんに勝っちまったぞ」


「これが勇者のジョブの力か」



 長谷川とイゴールの試合稽古を見ていた騎士たちは思わぬ結果に沸き立った。わずか数日で異常なまでに上達している。最初は異世界から来た子供なんぞに頼ってなるものかと思っていた彼らも徐々に認識が変わりだしていた。



「ありがとうございますイゴールさん」


「もう私では敵いませんな。ただハセガワ殿は勢いだけで攻めようとするところがあります。もう少し相手の動きを見たほうがいいでしょう」



 確かに長谷川は非常に速い速度で上達しているがまだまだ未熟なところが多い。天性の才能だけで今後も勝てるほど魔物は甘くないのだ。そう思ったイゴールの親切なアドバイスだった。



「しかしイゴールさん。最初に先手必勝で相手を倒してしまえばそれが一番じゃないですか。実際さっきはそれでペースを握った俺が勝ちましたよ」


「それはそうですが。しかしこの世界には無数のスキルがあります。どんなスキルを持っているか知らない相手の懐に飛び込むのは非常に危険ーー」


「龍吾マジ強いね! たった数日で小隊長のおっさんに勝つなんて。来週には団長にも勝てるんじゃない!」



 イゴールの言葉は横合いから長谷川に抱き着いてきた大野により遮られた。大賢者である彼女は本来別の場所で訓練を行っているのだが面倒くさくなって逃げ出してきたのだ。



「ありがとう恵。ただ俺はこんなところでは満足していられない。もっと強くなって一日でも早く魔王を倒して世界を救わないと」


「おい龍吾! イゴールのおっさんと終わったなら今度は俺とやろうぜ!」


「ああ! 望む所だ智弘!!」



 もう既に相手を出来る人間が減って来た勇者の2人を見てイゴールは小さくため息をついた。本来ならこの後は別の訓練メニューがあったのだ。勇者たちはまだまだ基礎が出来ていないからそれを補うためのものである。

 しかしこのように度々勝手な行動を取るので思うように進まずにいた。そして質の悪いことにそれでも彼らは順調に強くなっている。現場を知らない大臣などは勇者の好きにさせろと言うがそれではいつか足元をすくわれる。イゴールにはそう思えて仕方がなかった。





「異世界人にも関わらずこの国のことを本気で考えてくれているのには感謝の言葉しかありません。しかし少々他人の話を聞かないところがございまして。それだけご自身の持っている信念が強いというーー」


「もうよい。お前以外からも似たような報告は上がっている。まとめてしまえば自分がもっとも正しいという考えが強いらしいな」


「恐れながら」



 イゴールからの報告を聞いて第一騎士団の団長クロウはため息を吐きたくなった。根拠もなく膨れ上がった自信とプライド。毎年彼らのような新人は騎士団にも入ってくる。その場合は簡単だ。試合稽古などで可能な限り打ちのめしプライドを粉々にする。その上で上官には絶対服従するように叩き込むのだ。考える頭を持てるようになるのはその後の話。



「問題は彼がレーティア王女のお気に入りということだな」



 現在城内の勢力図は勇者召喚を成功させたレーティアの派閥が大きく力を伸ばして一強状態になりつつある。国王でさえ彼女の意思には簡単に逆らうことが出来ないほどだ。そんな状態で勇者に新人にするのと同じことをしたらどうなるか。第一騎士団の団長と言えども左遷される可能性は十分にあった。



「まあいい。彼があのまま成長して魔王を討ち果たす可能性もあるかもしれん。とりあえずは様子見だ」


「かしこまりました」



 数日後クロウは長谷川ががシルバーランクの冒険者に喧嘩を売って返り討ちにあったと聞きこの決断を後悔することになる。





「クソ! あいつがこそこそ逃げ回るなんて卑怯なことをしなければ!!」


「落ち着けよ龍吾。負けは負けだろ」


「っ黙れ!!」



 クソ! 四宮のやつ! 一体どんな小細工を使ったんだ。別れた時はあっさり俺に殴られるような雑魚だったくせに。俺があれからどれだけ血の滲むような努力をしたと思ってる!! オーガを倒した? どうせ汚い罠に嵌めて倒したに決まってる。



「何か仕掛けがあるんだ。そうさ俺だって本気じゃなかった。俺の力は聖剣を使ってこそ発揮されるんだ」


「だよねー。龍吾は勇者だもん。聖剣もそろって初めて龍吾の本気って感じ?」


 そうその通りだ。俺のジョブは勇者だ。聖剣を使わなかったってことは手加減したってことだ。四宮が勝ったんじゃない。俺が勝たせてやったんだ。その証拠に俺はこんなに強い。ステータスと心の中で言うと毎日のように確認している文字列が目の前に浮かんだ。



長谷川龍吾 男 16歳


ジョブ:勇者


スキル:聖剣召喚クラウソラス レベル6

   :アークブラスター レベル4

   :ライトザッパー レベル6

   :ヴァリアンス レベル5

   :剣術 レベル4

   :全状態異常耐性レベル3

       ・

       ・ 

       ・


 一番上のジョブ勇者に意識を集中させると詳しい説明分が出てきた。しかし既に何十回も見たので読まなくても空で言うことが出来る。


 

 ジョブ:勇者 選ばれし者のみ就けるジョブ。対魔物特攻・身体能力上昇・魔力増大・勇者専用スキルの必要経験値減少特大・汎用スキルの必要経験値減少中の効果を持つ。聖剣召喚により聖剣を呼び出すことが出来る。



 続いて聖剣召喚に意識をあてる。


 

 スキル:聖剣召喚クラウソラス 全ての魔を断つ聖剣。スキルの使用には勇者のジョブが必要。召喚時に使用者に対して身体能力上昇・自動回復を付与する。この効果はレベル上昇に伴い上がっていく。

 


 見ろスキルにも書いてある。俺の真の力は聖剣を使ってこそなんだよ。それを四宮の奴手加減して負けてやったのにいい気になりやがって。次に会った時は覚えていろよ。


「面白い!」


「続きが気になる!」


そう思っていただけたら


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒頭の「京也が長谷川たちと別れて数日後~」は京也が城を追放されたときのことなんでしょうけど 「決闘」の後でこの話を挟まれると決闘直後のことかと勘違いしてしまいら読んでて混乱してしまいま…
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