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山の中の縹時雨  作者: takonano
第二章 この身が振るうは一対の。
15/38

集落にて

今回ちょっと短めです。


書いたかどうか怪しいんですが時雨&来来ぺあのミッションペア名は「花浅葱」。

縹色と浅葱色を合わせた、まさに二人のためのような色。


モモ(桃山海松)&あづ(安土剛桜)ぺあのミア名は「戦国」です。


仕方なく来来は床でふて寝した。






***





時雨は翌日には何とか回復した。

時雨自身も疲れがたまっていたんだろうと自覚はあったし、熱もすぐに引いたためそれほど深刻な話でもなく終わった。


さて。


時雨は床でふて寝している来来(駄犬)をおいて、単身組長のもとへやってきていた。


こんこんこん、と重厚感のある扉にノックをする。

ちゃんと中に音が届いているか心配だったが、杞憂だったらしい。


「だれだ。」


組長の威圧感のある声が中から返ってきた。


「時雨です。入室の許可を。」

「入れ。」


少し重い扉を押して入れば、最初の時はあまり余裕をもってみることのできなかった部屋が視界に入る。

いかにも893とナンバーをつづってしまいそうなほど、高そうな金のツボや日本刀、掛け軸が目に飛び込んでくる。


組長自身は部屋の奥に設置された豪奢なデスクに構え、せわしなく書類を処理していた。


「で、今日はどうした。」

「勿論先輩のことです。」

「だろうな、お前が俺のところに来るのはそれしか問題がない。」

「なぜ布団をもう一つ準備するくらいできないんですか!」

「俺は存外忙しい。」

「何かあってからでは遅いんです!適切な対処を!」


組長は紙の上で踊らせていたペンを止める。

そしてつと、顔を上げる。


「ナニカ、ねぇ。」

「な、なんです。」


組長は意味ありげににやつく。


清らかな雨のように清廉潔白そうなこの時雨だが、なんで彼女も女子高生だ。

その手の知識がからっきしない人生など、この現代社会ではよほどの箱入りだ。

かまととぶった女は惚けた(とぼけた)顔をするし、潔癖な女は嫌悪のまなざしを向ける。

勿論オープンにそういう話を受け入れる人もいるし、むっつりと無反応を決め込む人もいる。


要して時雨でも、そういう話題に直面するのかとなんだか不思議な感慨を得たのだ。


「いや、なんでも。ちなみに言っておくが布団の配給にストップをかけたのは”戦国”だ。」

「戦国……モモさん……!」


ご名答。

といわんばかりに組長が右の口角を上げる。


時雨は顔を真っ赤にして組長のデスクを叩いた。


「なんで受け入れたんです!」

「相手が戦国だったからだ。」


何でもないように組長は言う、そうしてまた文字の海に視線を溺れさせていった。、


「お前ら結成したてのミア”花浅葱”はまだミッションすらこなしていない。信頼値も当然低い。だが戦国は違う。」


組長が視線を上げて、がちりと時雨の瞳を捉えた。

凄みのある顔の無表情さに時雨はぐ、と息をのむ。


「あいつらは戦国の名に恥じない功績をあげている。多少の我儘も受け入れられる。」

「そんな無茶苦茶な。」

「悔しいなら、戦国を超えてみろ。そしたら布団の一つや二つ、いくらでも用意してやる。」

「い、言いましたね。」

「ああいった。」

「……帰ります。」


唇をかんでうつむく時雨は、そのまま踵を返して扉に向かう。

組長はその背に声を投げる。


「精進しろ、その先に答えはある。」


時雨は、はぁ、と息を吐いて、振り返らずに答える。


「善処します。」


組長はまた、人知れずほほ笑んだ。

杭調質の扉が閉まったのを眺めて、ぽつりと呟いた。


「精進しろ。その先に救いはある。」


この時組長は知らなかった。

縹時雨が、何者であるかということを。







「戦国を超える。

その先にあるのは答えでも救いでもない。

江戸だ。

もしくはぶっとばして令和だ!」

と組長はくだらないことを考えていました。

嘘です。



またのご来店お待ちしております。



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