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本にはさまったクマ

作者: ドラ太郎

ほのぼの児童文学です。(^^♪

良かったら、読んでみてください。

 今日も、森の小学校で先生をしているクマのトントは怒っています。

 だらしのない子供は大っ嫌いだったのです。

 ライオンのタンくんには、

「こら、何ですか? そのするどい爪は?

切ってきなさい」

 パンダのロンくんには、

「こら、何ですか? 黒のサングラスは禁止です」

 とにかく、子供たちに厳しかったのです。

 しかし、子供たちも黙っていません。

「先生だって、帽子かぶってるじゃん」

 そうなのです。トントはいつも帽子をかぶっていたのです。

「先生は…、いいんです」

「そんなのおかしいよ」

子供たちが、文句を言っても、

「はい、授業を始めます」

かまわず、トントは授業を始めるのでした。

 ある夜、トントが眠る前に本棚に見覚えのない本が置かれていることに気が付きました。

「あれ? こんな本うちにあったかな?」

本は、表紙も真っ白で何も書かれていません。

 トントは、本を持ってふとんの中で顔をちょこんと出して、ページをめくっていきます。

 1ページを開くと、土から小さな芽が出ている絵が描かれていました。

 2ページ目を開くと、今度は、少しだけのびて小さな葉っぱが出来始めています。

 3ページ目を開くと、今度は、さらに成長して葉っぱも大きく背も高くなっていました。

 4ページ目を開くと、今度は、嵐がやってきて、茎が曲がりくねっていました。

 5ページ目を開くと、何とか嵐に負けずに成長し、花のつぼみまでできていました。

 6ページ目を開くと何も描かれていません。

「あれ、おしまい? まあ、いっか…」

本に顔をうずめたたまま眠ってしまいました。

 目が覚めると、そこはトントの部屋ではなく、どこまでも真っ白な世界だったのです。

「え、ここは? 誰かー、誰かー?」

「はーい」

上の方から返事が聞こえました。

しかし上を見上げても誰もいません。

「…? あ、そうだ帽子」

トントが、あわてて帽子を確認します。

 すると、帽子の代わりに何かが頭に生えていたのです。

「何これっ」

手探りで、調べていくとはっきりしました。

この感触、頭には「花」が咲いていたのです。

「助けてー」

「失礼ね。助けてーだなんて。あたしだってこんな毛深いクマさんなんていやよ」

「な、勝手に人の頭に生えておいて、はやく出て行ってよ」

「そうはいかないわ。やっと花をさかすことができたんだもの」

「土の上で咲けばいいんだ」

「あら、花が土の上で咲かなければいけないなんて誰が決めたのかしら? それにあなたこそ…」

「は?」

「耳、片方どうしたのよ?」

トントには、耳が一つしかなかったのです。

「とれたんだよ。頭をタオルで拭いてる時に」

「ぷっ」

「なにがおかしんだよっ」

トントはしゃがみ込んで泣いてしまいました。

「泣いたらいいのよ、思いっきり。私と違ってしゃがんで泣くことが出来るんだから」

「え…」

「わたしはどんなにつらくても立っていなくちゃいけないんだからさ、いいじゃない」

「…ちょっと、泣いてすっきりした」

トントは、立ち上がりました。

「引き抜いたりしないから。一緒にいこう?」

「…わたしも?」

「うん、もうこんなところから出よう」

「…分かった」

 その頃、森では生徒たちが遊んでいました。

「あーあ、明日は学校か…。またうるさく言ってくるんだろうな」

「あ…」

歩いてくるトントを見て呆然としました。

「先生、かわいい…」

トントのなくなった耳の代わりにはかわいい小さな花がつけられていたのです」

「先生、女の人だったんだ」

「ふふ、そうよ」

トントは、話を続けました。

「ロン君のサングラスもかっこいいな。でも、タンくんの爪は危ないから切ってほしい」

「…分かった、先生」

子供たちは、優しくてかわいい先生が大好きになりました。




もし、面白ければコメントをお願いいたします。(#^^#)

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