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ルナティック・カース  作者: 星空シャル
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02.

エノアに宝物庫で見つけたマントも着けさせ邪魔にならない程度の金貨も持たせた。


「ここから、王都シチカルまで行く。距離は、まずここから、港まで歩いて3ヶ月位はかかる。そのあと船にのってシチカルがある大陸に行くそれでまた歩くから。まぁ、シチカルまで半年はかかるだろう。食料は足りるが、長旅はしたことあるか?」


シリウスは、簡単に旅の流れを説明した。


「大丈夫です。長旅は一度しかしていませんが、ジルフォードがいるので。」


エノアは初めてにこやかに笑った。


(こんな風にも笑えるんだな。)


「ジルフォード?」


「今呼びます。」


エノアは、首にかかっている笛を吹いた。

テイマーが所持している笛だ。テイマーは魔物が生まれたときから世話をし手懐けさせなければならないのでかなりの実力が要るのだがこの年で使役しているだなんてさすがは魔王の娘ってことか。


ピュィィィィ!!


笛の音が鳴り止むと空からグリフォンが飛んできた。


「ジルおいで。」


エノアが呼ぶとグリフォンは、スリスリと頬擦りを始めた。


「ジルフォードか、よろしくな。」


シリウスが近寄ると、ジルフォードは、頭を垂れた。頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めた。


「ジルが大人しく触られるなんて…」


「あぁ、昔から動物はすぐ心を開いてくれる感じだった。人とは違ってな。」


シリウスがジルフォードを撫でながら言うとエノアは、顔を曇らせた。


「貴方は…いえ、何でもないです。」


すぐに無表情になってしまったが、目には何処と無く悲しさが残っているように感じた。


「気にするな。俺はお前の父親の仇でいずれこの呪いで死ぬだけの身だから。」


シリウスは左手をみせて笑った。


「その前に私が貴方を倒し、お父様の仇を討ちますから。」


エノアはさっきまでの表情とは打って変わり真剣な眼差しを向けてきた。


「そうか。」


(それも言いかもしれない。どうせ死ぬならこの娘の気が済むようにしてやるのも。)


「ところで、王都までいくんですよね?それならジルに乗れば一週間で行けますよ。」


エノアは地図を指差した。


「ダメだ。王都までの直線距離なら可能かも知れないが一度港まで行かなくてはならないんだ。」


「何故ですか?」


「港に俺の監視係がいるんだよ。俺がきちんと魔王を殺すかを確認する為のな…。」


「お父様を……。なぜ貴方は正真正銘世界で一番お強いのに監視がついているのですか?」


エノアは困惑した表情で不思議そうに首をかしげた。


「まぁ、取り敢えずここから港までの中間までならジルフォードに乗って行こう。乗っている間に説明するから。ジルフォード行けるか?」


「グルゥゥゥゥ!」


「それじゃあ行くか。」


俺とエノアはジルフォードの背中に乗って空を飛んで移動した。道中俺はさっきの問いについて答えた。



「監視がある理由だったな。俺が嫌がったんだ。何故魔王を殺さなくちゃならないんだってな。」


「なら何故お父様を殺したのですか!?」


理解できないといった風に前から振り向いてシリウスを見た。


「倒すだけじゃダメらしい魔王がいるだけで世界は滅びるらしい。」


シリウスは両手を軽くあげ首を振りながら理由をのべた。


「らしい。…それだけの理由で殺したのですか。お父様は人間の世界には干渉せず大陸のなかだけで魔物たちと暮らしていただけです!」


エノアは目に涙を溜めてまた泣いてしまいそうな表情になった。


「知ってたよ。人間の王や貴族達が大陸を侵略するって言ったからだ。」


「何故ですか!こちらは何一つ干渉していないというのに!」


「それがきっとよくなかったんだ。」


俺は、国の文献に魔王が存在していると魔素を集め、魔物を使役し国を侵略しに来るというのが見つかったことを説明した。


「何故今まで見つからなかったものが急に見つかったのですか?」


「元々あったんだよ。ただ誰も読めなかったんだ。だが捕らえられた魔族の一人が読めると言ったらしい。そして国は軍隊を形成し魔王を殺しに向かったんだ。」


「その事なら私も知っています。ですが人間は魔素を吸って急死したり魔物に殺され誰一人城にたどり着けませんでした。」


「それで益々文献の信憑性が増したわけ。最初は信じていない貴族もいたらしいその魔族の嘘じゃないのかって、国に有るものが何故魔族が読めるのかって。けれど軍が城に着く前に全滅したということもあって、貴族の…いや、国民の全員が信じたんだ…。」


「貴方は何故一人でお父様を殺しに来たのですか?……来れるかも分からない場所に。嫌だと思うことをわざわざするためだけに。」


「まぁ、色々あるんだよ。事情がな。」


俺が顔を背けるとエノアは何も言わずに前に向き直った。




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