01.
「勇者よ、名はなんと言う…。」
もう死ぬ寸前の魔王が言った。
「俺は、シリウス。シリウス・アルファルド。」
「そうか…私を魔王を倒したお前は…呪いを受けることになる。……それでいいのか?」
魔王は、ニヤリと笑った。
「まぁ、俺以外の皆は、そう思っているだろうな。皮肉なものだが、世界の平和のために俺は、たくさん傷付いたあげく死ななければならないらしい。」
シリウスは、少しため息をついた。
「そうか…では、黄泉の世界が…あるなら…お前が死んだ時また戦えるのを…楽しみにしている…次は…我が勝つ。」
魔王は、死ぬ間際だと言うのに悪どく笑っている。
「俺も、死んだときは、楽しみにしているよ。」
皮肉を込めたつもりだったが、魔王は気にせず続けた。
「…最期に一つだけいいか?」
「何だ?」
「我の娘がこの奥にいる…。お前なら死ぬまで守ってくれるだろう?」
「おいおい。一応俺勇者だからな…。お前を殺した相手だぞ。」
「お前だから頼むんだ…これでも、私は人をみる目には自信がある。なにか理由があったのだろう?それに魔王はもう疲れた……」
魔王はとだえとだえになりながらも言葉を繋げた。
(そんな風に言われたら断りづらいだろ。)
「最期だから仕方なく。いいか、し・か・た・な・く。だからな。」
「二度も言わんでいい。…それじゃあ頼んだぞ。」
魔王はその場で灰になり崩れた。
そして、シリウスの左手には、禍々しい模様が浮かんだ。
「はぁ~。面倒なもん頼まれちまったな。」
(娘は、奥にいるって言っていたな。)
俺は玉座の後ろにある扉を開けた。そこには泣いている女の子がいた。
まぁ、自分の父親が殺されれば泣きたくもなるだろうな。
「ひぐっ…ぐすっ…」
「そんなに泣くな。」
シリウスは、少女の頭を撫でようとした。
「さわらないでください!」
少女はびくっ!と体を震わせていった。
「あぁ、わかったよ。さわんねぇから。俺はお前の親父に頼まれたんだよ。お前を守れって。だからまぁ、泣くな。」
「見ていたからわかっています!それと私は、お前ではありません!エノアです!お父様が名前をつけてくださいました…お父様が…なぜお父様を殺したのですか!?お父様を…うわぁぁぁぁん!!!!」
エノアは泣いた。
「…謝ればいいってもんじゃないだろうが、すまなかった。」
( 本当に何で殺さないといけなかったのだろうな…。)
◆ ◆ ◆
しばらくして泣き止んだエノアと魔王城の中を見て回った。魔王が居なくなったことによって魔物の数もほとんど居なくなっていた。
「ここが宝物庫です。」
エノアが突き当たりの壁を指した。
「ただの壁じゃないんだな。」
「はい。ここは、魔王の血を引くものだけが開けられます。」
「開けてくれるか?」
「分かりました。」
そう言ってエノアは、壁に手を当て聞き取れなかったが呪文のようなものを唱えた。
ーカッ!ー
すると壁が無くなった。最初から無かったかのように、目の前は、宝物庫にふさわしい光景になっていた。
「すごいな。」
「これだけあっても、本当にすごいものは、奥にあるものだけなんですよ。」
俺は、この壁が無くなったことについて言ったんだが。
「それで何か持っていくものはあるか?」
「貴方が持っていくのではないんですか?」
「俺は、別にいい。金には困ってないからな。まぁ、さっきの戦いで剣が歯こぼれしてしまったから、剣は一つ貰っていくが。」
「こんなに金貨や名画等があるのに持っていかないんですか?」
エノアは、少し信じられないといった表情をした。
「さっきも言っただろう。金には困ってないって。それより、思い出深いものとか無いのか?しばらくは、戻ってこれないと思うぞ。悪くて二度とな。」
「私は、大丈夫ですけど。ですが、この先のためにも私も剣を一つ持っていきます。」
「そうか。なら、これにするといい。」
シリウスは、少し小さいレイピアを選んで渡した。
「どうしてですか?」
「お前の魔力適正は、光と闇だろ。なら、そのレイピアが一番相性がいいからだ。」
「いつの間に私の適正を見たのですか!?」
エノアは、凄く驚いた様子でシリウスをみた。
「そんなもん見りゃわかる。安心しろ。お前の親父との約束は守るから。」
エノアは、一瞬迷ったみたいだがおとなしく受け取った。
「わかりました。この剣にします。」




